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シンポジウム「沖縄県における中学校社会科教育の可能性」実施報告(終了)


開催の概要

1.日時:2007年2月10日(土) 13時30分〜17時30分

2.場所:沖縄国際大学 3−105教室

3.参加者:130名(内訳:学生74名、中学・高校・大学教員等56名)

4.日 程  別紙プログラムを参照

成果と課題

1.成果
本シンポジウムの成果の第1点は、「本学卒業生の現職教員による実践報告」が実現したことである。このことは、とくに、参加者の大部分を占めた本学在学生にとって、次の3点の効果をもたらしたと思われる
@ 具体的かつ身近な目標としての卒業生現職教員の存在の認識
A 学校現場での、実際の授業構成や実践の把握
B 次年度の模擬授業実践や教育実習へ向けての意識の高揚
成果の第2点は、中学社会科ゼミ在学生による報告実施がもたらした効果である。具体的には、次の3点が挙げられる。
@ ゼミ生自身が自らの模擬授業実践を振り返ることで、自分たちの取り組みを客観的に把握し、その長所・欠点を再認識することができた。また、現職教員を含む大勢の前で報告するための準備を通して、他人に情報をわかりやすく伝達することの訓練となった。
A シンポジウムに参加した卒業生や学外からの参加者が、現役ゼミ生の模擬授業実践の報告を聞き、展示された教具や指導案を見ることで、教材開発をはじめとする授業への取り組みに対して大きな刺激を受けていた。
B 本学教職課程における中学校社会科以外のゼミ(高校地歴、高校公民)に所属する学生が報告を聞いて、中学校社会科ゼミの取り組みの具体的内容を知り、自らのゼミでの取り組みを改善しようと啓発されただけでなく、高校ゼミにおける同種の企画実施を望むようになった。
こうしたことから、本シンポジウムは、中学校社会科ゼミだけでなく、本学教職課程で学んでいる多くの学生たち、並びに本学卒業の現職教員の資質向上に寄与したものと考えられ、このことは沖縄県の社会科教育の将来的な向上につながるものと期待できる。
他方、アンケートによれば、シンポジウムに対する満足度は「大変良かった」、「良かった」をあわせて90%にものぼり、また「今後も継続するべきである」との意見も90%を越えているため、全体的には成功だったと評価して良いだろう。上記の数字に込められた期待に鑑み、次年度以降も同種のシンポジウムを継続していきたいと考えている。

2.課題
(1)報告内容の調整不足
今回のシンポジウムは、「沖縄県における中学校社会科教育の可能性」と題したにもかかわらず、「沖縄県」でこそ実現可能な社会科教育実践について、議論が深まらなかった。この点は、アンケートでも指摘されており、今後大いに検討すべき課題である。
(2)双方向性の不十分さ
今回のシンポジウムでは、卒業生の現職教員と教職課程在学中の現役学生とが、双方向で対話することで、「沖縄県における中学校社会科教育の可能性」を模索することを企図していた。しかし、質疑応答の時間が短かったこと、パネルディスカッションを質問票形式にしたために報告者からの一方的な回答に終わってしまったこと等、運営上の改善点が残された。
(3)広報の検討
アンケートによれば、大学HPで本シンポジウムを知った人はいない一方、「誘われた」や「新聞記事」が意外に多かった。こうしたことから、次回開催に際しては周知方法の効果的なあり方を検討し、とくに卒業生現職教員の参加者数を増やす努力が必要だと思われる。
(4)ゼミ教育との有機的な連関
今後の企画として一番要望が多かったのが、卒業生現職教員による模擬授業の実施あるいは現役学生の実施する模擬授業に対する講評だった。こうした内容は、正課のカリキュラムである教科教育法演習と密接に関連するものである。他方で、今回のシンポジウムを単なるイベントとして終わらせるのではなく、新年度のゼミ教育でどのように反映させるかという課題もある。いずれにせよ、シンポジウムと正課教育との有機的な連関を検討する必要があるだろう。

 

参加者の反応

参加者の反応を把握するために、参加者を対象としたアンケートを実施した。その集計結果は下記の通りである。(回答数 75通)

1.ご職業、ご年齢をお教え下さい。
(1)ご職業
ア.小学校教員 2  イ.中学校教員 6  ウ.高校教員 2  エ.大学教員 4
オ.学生 47    カ.その他 13     無回答 1

1-(1)職業

(2)ご年齢
ア.10代  0  イ.20代 64  ウ.30代   4  エ.40代 3
オ.50代  2  カ.60代  0  キ.70代以上 1    無回答 1

1-(2)年齢

2.今回のシンポジウムの開催を何で知りましたか。
ア.大学からの案内状 26  イ.大学のホームページ  0  ウ.新聞記事 10
エ.誘われた  20     オ.その他  14    無回答  5

2 シンポジウム開催の認知方法

3.今回のシンポジウムの内容はいかがでしたか。
ア.大変良かった  26   イ.良かった  42    ウ.不満足  2
エ.大変不満足    0     無回答    5

3 満足度

4.今回のシンポジウムの感想を具体的にお書きください。(代表的な意見を抜粋)

○発表なされた先生方、学生の皆様、また運営に関わった皆様、大変お疲れさまでした。社会科の授業に対して様々な視点から、具体的な話が聞けて大変参考になりました。特に伊良波先生の発表は聴衆を「参加者」へと変える、興味深い内容でした。
○やはり、現場の先生方の実践はとても参考になりました。これまでの模擬授業などでは見られなかった新鮮な視点や意見があり、とても充実していました。(同様の意見多数)
○「沖縄県における中学校社会科教育の可能性」というテーマが漠然としていたため、シンポジウムの焦点がぼやけた印象があります。報告の方法として、伊良波先生が授業実践を具体的に紹介していることに好感が持てました。
○各分野の実践報告を聞くことができ、授業の中での「生きる力」の育成や学び方を学ぶことの大切さを改めて感じました。どの実践においても、子ども自身が考える時間、動く時間があり、教師主体の展開ではないことがとてもすごいことだなと思いました。また、各ゼミの報告では、時代に合わせた取り組みもあり(パワーポイント)、とても素晴らしかったです。
○実践発表をそれぞれの立場から、いかに社会を子どもたちに分かりやすく授業していくかを模索しながら作り上げているということを知ることができて良かったです。今後の勉強に参考にさせていただきたいと思います。
○現場での実践と模擬での練習との双方の意識の差が大きいが、共有することでお互いに気付きが得られる良いものだった。
○「百花繚乱」で、個々に深化できず、発表者にも不満が残ったと思います。
○二日間かけても良いと思います(内容は濃いと思います)。
○一般の人が少ないのが残念です。
○シンポジウムの開催が急で、学生としては都合を合わせるのが大変だった。
○おもしろい実践例が多かったが、発表によってはあまりおもしろさが伝わりにくい発表があったのが残念だった。
○社会科の授業はいろいろな方法があるなと感じることができた。今回発表した6名の方、それぞれ、授業の方法が違っていて、それぞれに良い点、問題点があり、無限の可能性があることがわかった。
○改めて、教材の大切さについて学ぶことができました。
○日頃なかなか聞くことのできない話を伺うことができ、大変勉強になりました。これから実習へ行くにあたって、しっかり探求していきたいと思います。「信念を持って努力すれば夢叶う!」大変心にひびきました。ありがとうございました。
○現場教師から見た「社会科教育」、学生から見た「社会科教育」、どちらも見られたことが良かった。比較することで、理想と現実(現場)のギャップが垣間見ることができた。
○中社ゼミ初の取り組みであるため、これから先改善していくべき点はいくつかあるだろう。ただ、外部から現場で教えている教師を招いての授業実践報告は、これから教育実習のある自分たちには、大きい「利益」があったように思う。また、今年一年の模擬授業の総括を、今回シンポジウムという形でおこなえたことは有意義だった。
○現場教師が授業をどのように工夫しているか、授業においての子どもの反応など、大学の模擬授業では捉えにくい部分を知ることができるということが良かったです。
○素晴らしいシンポジウムでした!学生の皆さん、導入・教材など楽しく工夫していて、やっぱり中学社会ゼミはすごいと思いました。努力した分、生徒に「先生、今までわからなかったけど、今日の授業でわかったよ!」と必ず言われると思います。その時は、私も涙が出るほどうれしかったです。頑張ってください。
○大学における中学校社会科ゼミにおける模擬授業の取り組みに加え、実際に現場で活躍なさっている実践報告を聞くことで、中学社会科の現在の課題がより明確になり、課題解決に向けてどのような取り組みをしていけばいいのか、多様に考えられて良かったと思います。
○内山先生のなされた教材研究のプロセスは、特に圧巻であり、興味深かった。大学時代のゼミの話が出ていましたが、ゼミで培った力が授業で生かされている面があるとすれば、「大学における教員養成」の成果として嬉しく思います。
○学生の発表も意欲的、チャレンジ的で興味深かった。ただし、教材づくりに偏しているかな。社会の仕組み迫る、主権者を育てるといった、教科内容研究・目標の検討をもっと深めると良いと思います。
○実践の発表があり、各現場の情熱が伝わってきました。
○学生の教材づくりの視点がグループ・ゼミで行われており、驚きました。大学生もやるな、と思い ました。
○教材づくりを「教育の命」としてこれからも取り組みたい。
○シンポジウムのテーマ「沖縄県における中学校社会科教育の可能性」と掲げているが、もう少し「沖縄」という地元性を前面に出しても良かったのではないかと思います。地元教材の発掘とか、現場の先生を交えて意見交換ができたら良いかと思います。
○伊良波先生の実践は私の理想としている体験的なものが多く盛り込まれたものだったので、とても参考になりました。
○教育現場で実際に行われている授業と、大学の教職ゼミで行われている授業実践を聞いて、いろんな視点から社会科の授業はつくられているという事を改めて実感しました。本当に社会科教育には無限の可能性が秘められていると思いました。その中でも、いかに生徒を授業に引き込み、参加でさせるかが重要かつ難しい事だという事を、教師の力量が左右するからこそ、教材研究の大切さを知りました。
○沖国大出身者が多方面で活躍している事に大きな刺激を受けたし、感動しました。次があれば、絶対参加します。
○今まで教職の授業を受けてみて、しっくりこないことが何度もあったが、シンポジウムに参加してみて、意識が変わったような気がします。また、実際に教育現場に入っている先生方の話や各ゼミの取り組みも聞けることができたので、とても勉強になりました。
○本学出身の現場教師3人と、これから教師をめざす3つのゼミの学生3人が実践発表した集会は、相互に学びあえるよい内容だと思う。
○時間の関係もあるが、ゼミを持つ教師から見た学生の実態・課題発言等も、学生を激励する意味で必要かとも思った。
○第1部実践報告において、歴史と公民の内容は、シンポジウムのねらいに即していたか疑問である。地理的分野の比嘉先生の内容は現場職員へも学生へも、スキルアップを図る上で、とても良かったです。分野ごとに発表しているのだから、その分野の目標達成のための、教師の支援、手だて等の内容が望ましいと思う!!

5.今回のシンポジウムの今後について、意見をお聞かせ下さい。
(1)今後も継続して開催すべきだと考えますか。
ア.今後も継続すべきである  70    イ.内容を変更して継続すべきである 3
ウ.継続すべきではない  0       無回答  2

5 シンポジウムの今後

(2)(1)でア、イとお応えになった方にうかがいます。今後企画して欲しい内容や、ご意見・ご要望をお書き下さい。(代表的な意見を抜粋)

○伊良波先生がしておられたように、授業実践の報告、検討を取り入れた方がよいと思います。
○質問の時間はもう少し長くあった方がいい。
○作った教材、指導案を展示する場所をもっと広げて、展示するものも増やすといいです。
○学生の模擬授業で使用した教材の展示コーナーを増やしてほしいです。
○現場の教師による、大学生への社会科模擬授業実践などあればいいと思います。(同様の意見多数)
○例えば採用状況の報告や、勉強方法など、自身の体験もふまえて聞きたいです。
○地域、学校独自の、又は個人で実践している独自の授業活動について紹介してほしい。
○社会科における個別の教科についての可能性だけではなく、それらを有機的に結びつけた「社会科」としての可能性についても議論していただきたいと思います!
○会場の関係上、教材や指導案が見づらいのではないかと思います。これからは、高校地歴・公民科の実践例も取り上げるなど、中学社会の枠にとらわれないようなシンポジウムにしていっても良いのではないかと思う。高校の模擬から見えてくるもの、中学の模擬から見えてくるものと互いに共有化していくことが、これからの沖縄教育の発展につながると思います。
○「沖縄県における高等学校公民科教育の可能性」というシンポジウムを企画してほしいです。(同様の意見多数)
○学生の発表に対して、現職教員からアドバイスをいただく、というコーナーの時間を増やした上で、今回の取り組みを継続してほしい(先輩の意見・アドバイスは親身だし、後輩もまた素直に聞けそうだ)。
○今回の発表で述べた課題などの対策の内容や、その過程を、今後行ってほしい。解決できた、また新たな課題など。
○今回のように、実践を取り入れた事例等を現場・学生の側からの報告する事で、新たな発見・疑問が出てきます。それを生かしていくと、社会科教育の発展につながっていくと思うので、今後も続けて欲しいと思います。社会科という教科を「嫌い、苦手」という生徒から、「好き、おもしろい」という生徒が増えていけるように、さらに教師のレベルアップになれる場を作って欲しいと思います。
○第2部の「模擬授業の取り組み」は、今後も続けてほしい!!!
○他の卒業生の先生方の実践がもっと見たいと思います。
○研究会として、OB・OG、在学生、さらにそれに共鳴する人々で、地域と現場に根ざす研究交流会になるようなイベント(学会?)になればいいと思いました。
○4で記述したように、実践報告の内容が単なる授業例では、シンポジウム(ディスカッション)の意味がないと思う。希望の例)学び方を学ぶ学習内容・形態の工夫、大規模校・小規模校(離島を含む)での授業形態の工夫、個に応じた指導等(P→D→C→Aサイクル等の)充実、選択授業や総合的な学習の時間・領域における時間との社会科の連携、地域の行事や歴史、地域の特色を題材に取り組んだ実践。

以上 

吉浜助教授の司会により開式 藤波助教授による開会の挨拶並びに趣旨説明
生徒の作った作品を示しながら報告された内山直美教諭 参加者を巻き込みながら報告された伊良波剛教諭

 

文責:藤波  潔
沖縄国際大学総合文化学部助教授
シンポジウム企画責任者

お問い合わせ先

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お問い合わせ・ご感想送付先:教務部教務課特色GP担当 E-mail: aafchr@okiu.ac.jp

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