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【法政研】沖縄法政研究所 第90回研究会を開催いたしました 

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 沖縄法政研究所では、1月23日(木)に第90回研究会を開催し、自治体関係者、一般の方、特別研究員、所員にご参加いただきました、その様子をご報告いたします。
ご参加いただいた皆様、ご報告者の前泊様どうもありがとうございました。

「沖縄県内市町村議会の議会基本条例制定と効果に関する一考察」
報告者: 前泊美紀 沖縄法政研究所特別研究員/元那覇市議会議員
報告概要:
 2000 年の地方分権一括法施行を機に、地方議会は役割と責任が増し、「議会改革の本史」に入った。
議会と市民、市長、執行部との議会運営に関するルールを定め、議会改革の目安となる議会基本条例は、2006年、北海道栗山町議会で初めて制定されて以来、現在では全国の地方議会での同条例制定は5割を超えている。
報告では、議会改革の目安である議会基本条例について、沖縄県内の制定状況を確認し、その効果を概観する。

研究会の様子
前泊氏写真       佐藤所員写真
 報告者 前泊美紀 氏       司会・コメンテーター 佐藤学 所員
特別研究員/元那覇市議会議員     元所長/法学部地域行政学科教授

 冒頭で司会・コメンテーターの佐藤学所員(元所長)から、前泊氏が4期14年8ヵ月に渡り那覇市議会議員としてこれまで議会改革に精力的に取り組んできた実務者であり研究者である旨の講師紹介の後、ご本人の自己紹介の後に報告へと移りました。
 報告では、始めに「議会基本条例」の定義や地方分権改革の推進に伴って地方議会の重要性と責任が増し「議会改革」の声が高まり2006年に北海道栗山町が全国で初めて「議会基本条例」を制定したが、その後全国の半数超の地方議会が同条例を定めることとなっており、今日ではスタンダードな装備となっているが、一方沖縄県では全県下での制定率が4割程で出遅れており、制定が進む一方で全国的にも「条例の形骸化や実効性が伴わない」との指摘もあることから「県内市町村の議会基本条例制定状況を確認するとともに、議会改革の効果を検証する」必要性を感じ今回の研究に着手した旨のお話がありました。
 その後、研究の手法としては、沖縄国際大学の前津榮健教授が2013,14年に実施した「議会改革に関するアンケート調査」を踏襲しつつ「議会の危機管理」「ICT、DXの導入」等、質問項目を幾つか加えてアンケート調査を行ったこと、当該調査から得られた知見や課題について、自身の経験談や関係者からの話も織り交ぜた報告の後に「住民参画については(定期や頻度)など開催を具体的に明記していない場合、形骸化する可能性がある」「請願・陳情の提出者の意見を聞く場について「設けるものとする」「~務める」「~ことができる」とあり、意識の差はないか」「見直し規定の明記なしや、「必要に応じて」という条文から見直しが形骸化している可能性がある」として条文の実効性に疑問を呈しました。
 前泊氏は最後に「今回の調査結果では、議会改革に果たす議会基本条例制定状況とその効果を一定程度概観できたが、考察するには不十分だったので、今後は調査方法に工夫を加え、議会基本条例と関連付けた調査方法」を考案し、引き続き「議会基本条例制定の効果をはかる取り組みを深めていきたい」と結びました。
 なお、報告後に報告会参加者との活発な質疑応答があり、参加者ご自身の経験も踏まえた質問や提言、助言が寄せられ、予定を10分程超過した頃に佐藤所員が閉会を告げました。

質疑応答中の様子
質疑応答の様子1   質疑応答の様子2   質疑応答の様子3

参加者アンケートから
・市民参画、議会審議の公開等、基本となる事項を取り決めるのは、なかなか難しいと思います。
・議会基本条例に記してあることは、当たり前の事ですが、実行していくのは大変だと思っています。
・具体的な事業(議会等)を、実際に実施することは、住民側の負担も大きいため、今後の大きな課題ですね。