沖縄経済環境研究所の所員（伊藤拓馬氏・経環研副所長、田代　豊氏・経環研特別研究員）の共著論文が、沖縄地理学会が発行する学術誌『沖縄地理』第25号に掲載されました。本論文は、本学卒業生の池原宇則氏（現在、琉球大学大学院生）の卒業論文を加筆修正したものです。また、本研究は、2024 年度宇流麻学術研究助成基金（研究代表者：伊藤拓馬）の支援を受けたものです。

◆研究の概要と成果
近年、沖縄県を含む全国各地で、環境中におけるPFAS汚染が深刻な環境問題として注目されています。本研究では、宜野湾市周辺の湧水を対象に、PFAS濃度の短期的な変動と降雨イベントとの関係を調査しました。その結果、各湧水におけるPFAS濃度は降雨の数日後に変動する傾向が認められ、しかもその応答様式には地点ごとに特徴があることが明らかとなりました。こうした特徴は、湧水地点からPFAS汚染源までの距離に起因する希釈効果などにより説明できる可能性が示唆されています。本研究の成果は、沖縄県におけるPFAS汚染の実態解明や将来的な水資源管理に貢献することが期待されます。


◆掲載論文情報
池原宇則，伊藤拓馬，田代　豊（2025）地下水の有機フッ素化合物濃度の短期変動と降雨イベントとの関係：沖縄県宜野湾市の湧水の例．沖縄地理，25，1–8．https://doi.org/10.34527/okinawachiri.25.0_1

◆使用した分析手法
本研究におけるPFASの分析は、in-port誘導体化GC-MS法（Tashiro et al. 2024）に基づいて行われました。この手法は、従来の分析法に比べてコストを大幅に抑えつつ、精度の高いPFAS分析を可能にするものです。分析は、沖縄国際大学所有のガスクロマトグラフ質量分析計（GC-MS）を用いて実施されました。

◆関連論文
Tashiro Y., Harada K.H., Ikehara T., Ito T. (2024) Analysis of perfluoroalkyl carboxylates and perfluoroalkyl sulfonates in environmental water by in-port arylation gas chromatography–electron impact ionization–mass spectrometry. Environmental Science and Pollution Research, 31, 65385–65392. https://doi.org/10.1007/s11356-024-35615-6

《お問い合わせ》
沖縄経済環境研究所
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