「グローカル(Glocal)」という言葉があります。「グローバル(Global:地球的な規模の)」と「ローカル(Local:地域的な)」を合わせた造語です。その意味するところは、「地域性を考慮しながら、地球規模の視点で考え、行動すること(デジタル大辞泉)」です。
ここで「地域」という言葉を冠した本研究科の意義を考えてみましょう。戦後、わが国は東洋の奇跡と称される高度経済成長を遂げましたが、その施政権外に置かれていた沖縄にその成果が十分に配分されることはありませんでした。結果として、1972年の復帰時には所得、生活基盤、産業基盤など多くの分野において沖縄と本土との間に大きな格差が生じてしましました。その上、他府県と比較して沖縄は狭隘な県土面積、中央(市場)から地理的に遠いといった島嶼性から生じる諸問題に直面する条件不利地域でした。しかし、沖縄振興開発計画により格差是正が進み、他方でグローバリゼーションが進展していく中で、沖縄は経済成長の著しい東アジアにわが国で最も近い地域として、その優位性や潜在力が注目され始めました。
こうした時代背景の中で、地域産業研究科は1998年に開設されました。本研究科は情報化されたグローバル経済の下で、地域産業・経済発展の原動力となる専門的職業人の育成を目指しています。教育研究分野は、経営領域、産業情報領域、経済領域、沖縄・環境経済領域にわたり、教育課程は比較経営、マーケティング、地域発展、応用計量経済、環境経済、沖縄経済、産業組織、地域社会経済システムそして財政といった9つの専門科目域から構成されています。
また、幅広い専門知識を修得できるように主専攻と副専攻が設置されています。さらには、企業などに籍を置いたまま入学を希望する社会人に対して、入学後も学びやすいように教育プログラムを組んでいます。本研究科は創設から四半世紀が経過し、これまで大学教員、公務員、研究員、税理士、中小企業診断士など多くの修了生を輩出しました。
皆さんが地域産業研究科での研究活動を通じて課題発見能力と問題解決能力を鍛え、グローバルな視野を持ち、ローカル産業・経済における諸課題に対処できる「グローカルな人材」として活躍されることを心から祈念しています。
地域産業研究科 研究科長
仲地 健 Ken Nakachi