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【学生インタビュー】言語によって時間の捉え方が変わる?~言語学を研究する小波津 豪さんへのインタビュー~

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 今回も、語学や言語学を学ぶ大学院生へのインタビュー第二弾をお届けします。(第1回目のインタビューはこちらより)

第2回目は、英語に加えスペイン語も習得し、大学院で言語学の研究をしている小波津 豪さん(地域文化研究科 英米言語文化専攻在籍)にお話を伺いました!
小波津豪さんプロフィール

Q. 高校生の時は、どのように過ごしていましたか?
 英語だけは好きだったので、誰にも負けないという気持ちで楽しみながら英語を勉強していました。高校で1ヶ月の文化交流プログラムがあり、それに参加してアメリカに行きました。その時に感じた文化の違いや言葉の壁などがさらにモチベーションになって、英語をもっと勉強したいという気持ちになり、英米言語文化学科を目指すようになりました。


Q. 学部ではどのような勉強をしていましたか?
 本学の授業では特に言語学概論という授業が強く印象に残っています。ゴリラが人間の言葉を理解できるのか、言語習得の臨界期など、語学習得以外のことを学んだときの衝撃は今でも覚えています。学外では基地の大学が行っているbridge programに参加しました。9:00~16:00まで大学の講義、その後は基地の大学(週2回)、それ以外はアルバイトを二つかけもち、という忙しい日々でしたが、あの頃がなければ今の英語力もないと思っています。


Q. 「言語習得の臨界期」とは具体的にどういうことですか?
 私達は英語を習う時に、すでに習得している日本語によって、英語を話す際、日本語訛りが出てしまうと思うのですが、英語学習を始める年齢によっては、ネイティブのように喋れるようになる年齢というのがあります。
発音を始めるには〇歳まで、文法を習うには〇歳まで、という適切な時期があって、それを臨界期と呼んでいます。しかし、語彙の習得に関しては子供より大人の方が優れているという研究結果もありますので、それは面白いなと思います。

Q. 大学ではなぜスペイン語を学ぶようになったのですか?
 両親が日系人でスペイン語を話すという環境にいましたが、大学に入るまではスペイン語を習うことがありませんでした。大学に入って授業を取った時に興味が出てきて、深く学ぶようになりました。


Q. 大学院では、どのような研究をしていますか?
 スペインに留学していたとき、初めて無意識の内に言語がミックスになっていて、「なぜこのようなことが起こるのか」というきっかけから、マルチリンガル話者の頭の中がすごく気になり、大学院を目指すようになりました。また、大学院で論文を読んでいくうちに、言語が変われば考え方、物の見方が変わるということに興味を持ち、バイリンガル話者の思考を研究することになりました。大学院では、第二言語学習者と日本語母語話者を対象に、抽象的な概念の捉え方が異なるのかついて調べています。


Q. 「抽象的な概念の捉え方」の例を示すとしたら、どのようなものがありますか?
 例えば「時間」のような目に見えない物を表現する時に、言語の傾向によって頭の中での捉え方が違うのではないかと思っています。日本語母語話者だと時間を多い、少ないと表現する傾向が多いので、時間を「量」の概念で捉えているのではないかと考えています。逆に、英語母語話者だと「long time」
「short time」と表すことが多いので、「線」の概念で捉えているのではないかと言われています。その流れで日本語を母語にしている英語学習者はどうなるだろう、という研究をしています。予想では英語が堪能になるにつれ、「線」の概念に近づいていくのではないかと考えています。


Q. 留学時代のことについて特に印象に残ったこと、留学して良かったことなどを教えてください。
 特に印象に残っていることが2つあり、1つ目はスペイン語があまりわからないのにも関わらず、地元のハンドボールチームに入ったことです。言葉の壁を感じながらも、チームメイトが優しく接してくれて、スペインがすごく好きになりました。2つ目は2回目の留学の時、大学の学部に留学していたのですが、授業に追いつくのに必死でストレスフルになり、体調を崩したときです。幸い、スペイン人の親友が優しく助けてくれ、おかげで授業も単位を落とすことなく、最後まで過ごせました。文化だけではなく、本学にない授業を通してさらに教養を身につけられたのも良かったと思います。


Q. 将来の夢は何ですか?
 博士課程まで進んで、出来れば沖縄国際大学に戻ってきて教員になりたいと思っています。学んだことを学生たちに還元できればと思っています。


-最後に高校生へのアドバイスをお願いします。
  自分も高校生の時はリーディングやライティングが出来ても、スピーキングの部分が全く出来なかったのですが、大学でそこを学ぶことが出来たので、心配する必要はないと伝えたいです。また先生と学生との距離も近く、学習面で困ったことがあれば専門的視点で適切に相談に応じていただけます。「英語が好きだけど、ついていけるか心配」という方がいるなら、まずは沖縄国際大学に入ってみてください。沖縄国際大学は熱心な学生を優れた英語学習の環境で手厚くサポートしてくれるので、英語力が抜群に伸びます。



 2回に渡り、大学院生のお二人のインタビューをお届けしました。
大学院というと、高校生の皆さんにはまだまだ遠い話かもしれません。しかし、お二人とも「語学が好き」という思いが留学や大学院への進学に繋がっています。好きなこと、興味があることを学び続けることが、様々な道に繋がっています。
高校生の皆さん、大学生の皆さんも今学んでいることを追求することで、今より広い世界が見えてくるかもしれません。