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合理的配慮について

 合理的配慮とは、障害学生が修学や様々な活動を行う上で生じる困難な状況に対し、建設的対話を通して周囲の環境調整を行い、その参画を可能にすることをいいます。
入学後、大学生活を過ごす上で、「スケジュール管理ができず課題の提出を忘れる」「特性や病状の影響等で授業を受ける際に何らかの困難がある」など、修学上の問題が生じた場合、本人や関係教職員との面談を実施し、可能な範囲で配慮内容を決定し提供します。
沖縄国際大学における合理的配慮の提供に関する流れは以下の通りです。

合理的配慮の提供に関する流れ

①相談
学生支援室は、学生及び教職員等から相談を受けた後、合理的配慮の申請方法について説明を行います。

②申請
学生が合理的配慮の申請を希望した場合、学生支援室より学生本人へ「学生支援申請書」の作成を依頼します。

③面談
学生支援申請書をもとに学生との面談を行います。また、必要に応じて所属学科長、アカデミックアドバイザー及び関係職員を含めた面談を実施します。面談では、障害の状況や希望する配慮等を確認します。

④合意
面談の中で申請された配慮内容について審議し、必要に応じて「授業履修に伴う配慮のお願い(配慮願い)」を作成します。
また、学生及び所属学科間で配慮内容に相違がないか確認し、双方の合意を得ます。

⑤合理的配慮の提供
作成した配慮願いについて、学生から各講義担当教員へ提出をします。
教員は、学生との建設的対話を通して
調整を行います。

合理的配慮の具体例

  • 教室の座席位置に関する配慮
  • 受講時における途中離席・退席の許可
  • 課題等の提出期限の延長
  • 試験時間の延長・別室受験の許可
  • 板書の写真撮影やICレコーダー等による録音の許可など
  • ノートテイカーおよび代筆サポーターによる情報保障や授業中の補助など

その他具体例については『障害学生支援ガイドブック第2版』p26やp47以降にも記載しておりますのでご参照ください。

特例で授業を行う場合について

 入院等でやむを得ず授業に参加できなくなった学生に対して、遠隔授業等の個別対応を行う場合は、学生とコミュニケーションを図りながら配慮をご検討ください。
ここでは、障害種ごとに修学上起こりうる困難や制限・制約、考えられる合理的配慮を紹介します。

目から情報を得ることが困難な学生への対応

<生じやすい課題>
  • 主に視覚資料(パワーポイント等)を用いて進められる授業の場合、資料にのみ記載されている情報を取得することが難しくなります。
  • 視覚障害等のある学生は、提供された資料について音声読み上げソフト等を通じて情報を得ますが、PDF資料のデータ形式によっては使用できない場合もあります。
  • 授業の音声をパソコンで聴きながら、音声読み上げソフトを用いて資料の内容を確認する等、2つ以上の作業を同時に行いながら受講します。
    音声を二重に確認する必要があるため、学習効率が悪い場合があります。

<対応方法>
  1. 遠隔授業ではパワーポイントの内容を読み上げるなど、音声による説明を加えて進めてください。
  2. 遠隔授業で使用する資料は、必ず事前に対象学生へ共有してください。その際、パワーポイント資料については音声読み上げソフトでの読み取りが困難なため、PDFデータではなく、元データでの提供をお願いします。
    ※学生本人が限定的に使用します。元データでのご提供についてご理解ください。
  3. 弱視学生が受講している授業でパワーポイント等の視覚資料を使用する場合は、他の学生に資料内容を配布するか否かに関わらず、事前に電子データ(PDF等)または元データをご提供ください。
  4. 授業で使用する教科書や参考書等が確定している場合は、テキストデータ化するための準備が必要なことがありますので、可能な限り早めに、対象学生にお伝えください。

※視覚障害学生に対する支援については、対面朗読室へお問合せください。



耳から情報を得ることが困難な学生への対応

<生じやすい課題>
  • パワーポイント等の視覚資料と教員の音声で進められる授業で、資料に掲載されていない内容を口頭で説明したり補足したりすると、情報を得ることができず、授業内容を充分に理解することが困難となります。
  •  通信環境によって音割れ等の音質不良が発生する確率が高まるため、補聴器からの正確な聴き取りが困難になる場合があります。

<対応方法>
  1. 聴覚障害学生が受講する場合、担当教員及び学生等はマスクを外し、口元(口形)が見えるようにしてください。
  2. 聴覚障害のある学生から学生サポーターの配置の要望が出された場合はご了解ください。
  3. 聴覚障害学生が受講する科目に必ずしも学生サポーターを配置できるとは限りません。
    サポーターが配置されない授業については、話す内容をチャット等の文字情報をあわせて提供するなどの工夫をお願いします。
  4. 配布資料について、事前に対象学生へご提供ください。
  5. 字幕のついていないDVDや映像資料等を遠隔授業で活用する際は、教材を使用する2週間前までに、学生支援室まで文字おこしの依頼をお願いします。
    ※2週間前のご依頼が不可能な場合は、作業日程の調整を行いますので、ご相談ください。
聴覚障害学生が受講する場合の対応方法については、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)のホームページに講義形態別に詳しい対応方法が記載されています。
また、お役立ちガイド等、遠隔授業で利用できる情報が多く掲載されておりますので、ぜひご活用ください。
【PEPNet-Japan】オンライン授業での情報保障に関するコンテンツ集




筆記や機器の操作、会話に困難さを感じる学生への対応学生への対応

<生じやすい課題>
  • 上肢の運動に困難のある学生では、授業内容についてノートをとること(筆記)がスムーズではない場合があります。また、パソコン等の操作に時間がかかり、期限内に課題をこなすことが困難になる場合もあります。
  • 講師の音声を聞き取ることや学生から発話をすることがスムーズではない場合があります。

<対応方法>

  1. 動画教材を用いる場合には、可能な限り十分な公開期限を設定してください。
  2. 受講中あるいは受講後に筆記試験や課題提出等を求める場合には、対象学生と事前に相談して提出方法や時間・期限についてご確認ください。
    ※1,2について
    上肢運動に困難のある学生は、筆記やパソコン操作に時間がかかる可能性を考慮した期限設定をする必要があります。また、疾病やうつなどの精神面での不調から課題に取り組むことが困難になることが予想される学生の場合も、同様の対応を検討する必要があります。

  3. 事前に授業で使用する資料等を対象学生にご提供ください。
  4. 対象学生に発言や反応を求める場合に適切な方法を事前にご確認ください。
    ※発話が困難な学生の場合には、マイクだけでなくチャット機能を活用したコミュニケーションの方が取り組みやすい場合があります。