講演会
第40回講演会 『建議書』は生きている-沖縄の現状がその証-
沖縄法政研究所では下記の通り、第40回講演会を開催しました。今回は手話通訳、講演前に講師関連映像の上映を行ったほか、会場内には沖縄県公文書館よりご許可をいただき『復帰措置に関する建議書』(全文)、講演会関連資料や当研究所刊行物が閲覧できるコーナーを設けました。多くの方が手にとってくださいました。ありがとうございました。
■日時・場所
2018(平成30)年8月4日(土)13:30~17:00
沖縄国際大学 3 号館 203教室

■講師
平良亀之助 氏(元琉球政府復帰対策室調査官)
■概要
『復帰措置に関する建議書』をご存知でしょうか。
日本復帰が具体的に進むなか、日本政府の復帰措置の中身は沖縄県民の要求を充分に反映するものではありませんでした。
『復帰措置に関する建議書』は、琉球政府が日本復帰に際して沖縄県の声を日本政府と返還協定批准国会(沖縄国会)に手渡すために、作成された建議書で、復帰についての県民要求や考え方が集約されたものです。
当時の屋良朝苗主席は、同建議書を携えて上京し、政府に要請しようとしたその日の沖縄国会で、沖縄返還協定並びに復帰関連法が強行採決され、政府施策には反映されませんでした。しかし、実際には屋良主席は、衆・参両議長だけでなく、総理大臣ほか全閣僚に対して、直接文書を手渡して要請しています。
同建議書提出から46年経った沖縄の現状から、『建議書』は、いまでも生きている沖縄の要求であるといえるのではないでしょうか。
この度、『復帰措置に関する建議書』作成に直接携わった平良亀之助氏をお迎えし、講演会を開催いたします。
約150名の方々がご参加くださいました。お忙しいなか、ご参加いただきありがとうございました。
建議書やポスター使用の写真等は、沖縄県公文書館ホームページより閲覧できます。
講演会では、元琉球政府復帰対策室調査官の平良亀之助氏が「復帰特別措置に関する建議書」作成の経緯をご自身の実体験を元に話されました。会場から質問も多く寄せられ、閉会時間が超過してしまいましたが、ご参加いただきました皆様のご協力で質問にお応えしていただくことができました。

《参加者アンケートより》
・参加者の多さに驚きました。世間の興味が向くことがタイムリーにトピックとして取り上げられているようだと感じました。また事実の生き証人が登壇することの意義を強く感じました。(40代・女性・会社員)
・現場の担当者の講演に感動しました。『復帰』の意味を再考し、沖縄の現実をさらに見つめたい。(60代以上・男性)
・質疑応答の内容は、まさに“歴史の証言”でした。(60代・男性)
・熱気あふれる平良さんの講演の話しは忘れた沖縄の魂を思い出した。建議書の原点を忘れてはいけない。-学びました-(男性・50代・会社員)
・建議書づくりに直接関わった人の話を聞けて感動しました。また事実の生き証人が登壇する意義を強く感じました。(40代・女性・会社員)
・「建議書づくり」に直接関わった人の話を聞けたことで感動しています。屋良主席羽田到着と同時に国会で強行採決ということは、以前に勉強して知っていましたが、『生の声』を聞けたことが本当に幸せです。(50代・男性)
・建議書の大切さを改めて実感しました。講演会を受けてみてとても良かったです。(20代・学生)
・私にとっては歴史の中の出来事、だけど、今日の話を聞いたら過去から現在に渡って続いている生きた事実だということが理解できました。『日本政府の不正を正すために建議書を使う』とても心に残った言葉です。真正面から、逃げも隠れも、イカサマもなしにして、沖縄権利を日本政府に訴えたいと思いました。(20代・女性・学生)
・平良亀之助様のご講演を聞いて今日の沖縄が歩んで来た事知ってとても良かったです。私の夢は七世代先の子孫に今何をするべきなのか?と考えて行動していく為の参考になりました。ありがとうございます。(60代・女性・自営業)
・生の平良氏の講演会をきいて、とても素晴らしいと感じました。最初の映像を見て涙が出てきました。資料を何故か持ち帰り、兄姉息子達にも伝えたいと思いました。本日は沢山の勉強が身に付き、感謝いたします。無知程おそろしい事はないですネ。(50代・女性)
多くの参加者の皆様よりご質問・ご意見・ご感想をお寄せいただきました。
誠にありがとうございました。
第39回講演会「映像教育の可能性」
「沖縄現代史を見る」with沖縄映像祭
-「地方の時代」映像祭提携企画-
【沖縄法政研究所】第39回講演会 「映像教育の可能性」
第38回講演会 『「貧困」を考える-子どもの成長発達と沖縄の明日』
沖縄法政研究所では下記の通り、第38回講演会を開催しました。
■日時
2017(平成29)年 2 月25日(土)15:00 ~ 17:00
■講師
三宅孝之 氏(沖縄法政研究所特別研究員/島根大学大学院法務研究科特任教授)
講演会の概要は沖縄法政研究所所報第26号(以下)に、三宅特別研究員の講演内容は
紀要『沖縄法政研究』第20号(2018年3月発行)に掲載しております。
第37回講演会 「観光の島」沖縄が問う-観光の未来を考える-
「戦後70年」連続企画 「沖縄の未来を考える」
【沖縄法政研究所】第37回講演会
「『観光の島』沖縄が問う-観光の未来を考える-」
■日時
2016(平成28)年 2 月20日(土)14:00 ~ 16:00
■講師
平良朝敬 氏((財)沖縄観光コンベンションビューロー会長)
■コメンテーター
伊達竜太郎(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部講師)
■共催:琉球新報
■後援:沖縄テレビ放送
第36回講演会 「『国境の島』沖縄が問う ― 自衛隊配備を考える ― 」
「戦後70年」連続企画 「沖縄の未来を考える」
【沖縄法政研究所】第36回講演会
「国境の島」沖縄が問う ―自衛隊配備を考える―
■日時・場所
2016(平成28)年 1 月30日(土)14:00 ~ 16:00
■講師
半田滋 氏(東京新聞論説兼編集委員)
■コメンテーター
野添文彬 氏(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部講師)
■共催:琉球新報
■後援:沖縄テレビ放送
第35回講演会「沖縄の進路」
沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件10年 連続企画
「問われる沖縄アイデンティティとは何か」
【沖縄法政研究所】第35回講演会「沖縄の進路」
■日時
2014(平成26)年 7 月21日(月)14:40 ~ 16:10
■講師
仲里利信 氏(前自民党沖縄県連顧問・元沖縄県議会議長)
■共催:沖縄タイムス社
■後援:琉球放送株式会社
第34回講演会「子や孫たちに明るい沖縄を引き継ぎたい」
沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件10年 連続企画
「問われる沖縄アイデンティティとは何か」
【沖縄法政研究所】第34回講演会「子や孫たちに明るい沖縄を引き継ぎたい」
■日時
2014(平成26)年 6 月21日(土)14:00 ~ 15:30
■講師
座喜味彪好 氏(元沖縄県副知事)
■共催:沖縄タイムス
■後援:琉球放送株式会社
第31回講演会「性犯罪者の刑事裁判と処遇の実際 ―司法サポートプログラムを中心に―」
第28回講演会「ジャーナリズムの現場から ―沖縄の社会を切り開く視座―」
■日時・場所
2010(平成22)年 6 月 2 日(水) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学13号館 3 階 13-308
■講師
幸地光男 氏(元・琉球新報記者)
■概要
1972年に沖縄が「本土」に復帰してから、およそ40年近くの歳月が経過しました。基地問題や開発による環境破壊など復帰当時と変わらぬ諸問題を現在も抱えています。しかし昨今、普天間基地問題や泡瀬干潟埋め立て問題など沖縄を取り巻く諸問題が、日本全体に関わる問題として受け止められ、全国的に報道され関心を集めています。沖縄は今まさに諸問題の解決に向けて転換期を迎えようとしています。
ご存じの通り、地元マスコミでは全国的に関心を集める以前より、これら沖縄を取り巻く諸問題を県民目線に立って取材してきました。講師自身も琉球新報の記者として、長年にわたり現場を見てきました。沖縄の社会が転換期を迎えようとしている現在、本講演を通して報道の現場から見えてきたものを学生・市民の皆様と共有し、沖縄社会の変革への一助となればと考えています。

第27回講演会「逆境の裏には宝物がある」
■日時・場所
2010(平成22)年 5 月20日(水) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学 5 号館 3 階 5-305教室
■講師
我喜屋優 氏(興南高校野球部監督)

【講師プロフィール】
我喜屋 優(がきや・まさる)。玉城村生まれ。59歳。興南高校の主将として68年夏に4強入りを果たし、「興南旋風」を巻き起こした。大昭和製紙北海道で中堅手として活躍し、74年都市対抗野球で優勝し、同チームの監督も務めた。07年より母校の興南高校野球部の監督を務め、強豪チームへと育て上げた。沖縄県勢甲子園初出場から50年目の節目の今年、興南高校4回目のセンバツ出場での初優勝へと導いた。
【ご案内】
この度、沖縄法政研究所では興南高校野球部監督の我喜屋 優 氏を招聘しての講演会を開催します。今春の選抜高校野球での興南高校の優勝は、県民に誇りを与えるものでありました。このように県民の誇りとなるような素晴らしい若者を育成された我喜屋氏の経験と知識を、多くの学生・市民に共有していただくことで、これからの沖縄の将来を担う学生たちへの啓蒙を図れたらと考えています。多くの市民のご参加をお待ちしております。
【講演概要】
興南高校野球部監督の我喜屋優氏を招いて沖縄法政研究所第27回講演会が開催しました。
春の選抜高校野球で興南高校野球部を優勝へと導いた我喜屋氏の講話を聞こうと、学生・一般市民合わせて166名が聴講しました。
講演は「逆境の裏には宝物がある」をテーマに行われ、春の選抜高校野球の優勝秘話や、生活態度がチームの強さに繋がっていったエピソードなどが、ときに笑いを交えて語られました。
第26回講演会「第三セクターの経営破綻と地方自治体の財政再建」
■日時・場所
2010年 3 月10日(水) 13:30 ~ 15:30
沖縄国際大学13号館 1 階 13-502教室
■講師
中島弘雅 氏(慶應義塾大学法科大学院教授)
■概要
近時、地方自治体の財政破綻が注目を浴びているが、そのパターンの1つに、自治体が設立した第三セクターの経営破綻が影響を及ぼす例があるのはご存じだろうか。その典型例が、北海道夕張市の事例である。
通常、第三セクターの設立や運営のための資金は金融機関から調達するものであるが、その際に、自治体が第三セクターの債務について金融機関との間に損失保証契約(第三セクターが経営破綻した場合には、金融機関の損失分を自治体が支払う約束)を締結することがある。そのため、第三セクターが経営破綻すると、その影響が自治体本体にまで及び、財政破綻に至ることがあるのである。しかし、そこに至るまで第三セクターの赤字経営問題は表面化してこなかったのだろうか。また、こうした事態に至ったときに、自治体を破綻させずに、第三セクターを清算、再生する有効な手立てはないのだろうか。
今回は、平成19年 1 月に総務省に設置された「債務調整等に関する調査研究会」で、こうした問題に取り組んできた1人として、その内容を、わかりやすくお話ししたい。

第25回講演会「イスラーム経済とイスラーム金融」
■日時・場所
2010年 2 月12日(金) 14:40 ~ 16:10
沖縄国際大学 5 号館 1 階 5-107教室
■講師
奥田敦 氏(沖縄法政研究所特別研究員/慶應義塾大学総合政策学部教授)
■概要
イスラーム金融とは何か。イスラーム法やイスラーム経済の全体的な枠組みの中での位置づけ、あるいはグローバル化におけるフェアトレードの在り方などとの対比を交えながら、現状と問題点を考える。

第24回講演会「カント平和論vs.ヘーゲル戦争論―東アジア共通政府論に向けて―」
■日時・場所
2010年 1 月29日(金) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学13号館 1 会議室
■講師
高橋 一行 氏(沖縄法政研究所特別研究員/明治大学政治経済学部教授)
■概要
カント『平和論』は、1795年に発刊され、その200周年を記念して、また、さらにその後の2001年に、アメリカが戦争を始めてから、その意義について、様々な議論がある。私はまず、それらの議論の中から代表的なものを取り挙げて整理をし、その上で私自身の解釈を示す。ヨーロッパの論者の多くは、貨幣を統合し、大統領まで出したEUをモデルにして、世界政府を構想しようとする。しかしアジアの歴史と現状を知る私たちの多くは、ヨーロッパは極めて例外的な地域であり、アジアも、また世界も、EUのようには統合しないだろうと考える。一方で、アメリカの論者は、民主主義が広がれば、世界は平和になると考えている。しかしアジアや世界の各地に民主主義を広げようとして、アメリカは却って戦争を引き起こしているのではないか。
カントの真意は、民主化は個々の国家の内生的な発展によるものであり、そして国家の機能はそのまま残し、ある程度民主化した国家間で、緩やかなネットワークとしての国際連合を考え、平和に至る道を示したのではないか。そしてその程度の国家間の連合ならば、アジアでも、また世界でも可能であり、問題は、そこからどうやって平和に至る道筋を見出すかということなのではないだろうか。
ヘーゲルは『法哲学』の中で、カント平和論を批判し、戦争を肯定する。両者は正反対の主張をしているようで、しかし、戦争は必然的であり、国家は戦争を通じて発展し、その中で諸個人の教養と文化を育てるという主張は、両者に共通するものである。私の見るところでは、両者の主張はほぼ重なる。問題はそうやって育てられた諸個人が、ナショナルなレベルだけでなく、ローカル、トランスナショナルといった様々な諸集団をどのように作り、それを活用していくかということである。
以上の考察を踏まえて、私はアジア連合、また国際連合のイメージとして、私は次のようなものを考えている。まずアジア通貨を作る。それぞれの国家通貨(円、元、ウォンその他)は残し、それと併用して、バスケット貨幣を考える。これは電子上の架空のもので、ネットワーク貨幣と称しても良いものである。これを国家通貨と併用することで、国家通貨の暴落を防ぐ。すでにローカルな通貨はたくさんできている。これはそのままトランスナショナルな通貨に転用できる。ローカル、ナショナル、トランスナショナルと様々なレベルでのネットワークが出来ることが、アジア連合、国際連合のベースとなるだろう。

第23回講演会「硫黄島と小笠原をめぐる日米関係 ―統治下の沖縄と沖縄返還過程の比較―」
■日時・場所
2009年12月22日(火) 14:40 ~ 16:10
沖縄国際大学13号館 1 階会議室
■講師
ロバート・D・エルドリッヂ 氏(沖縄法政研究所特別研究員/元大阪大学准教授)
■概要
沖縄の復帰の4年前、硫黄島をはじめ小笠原諸島などの南方諸島は、日本に返還された。奄美群島の返還(1953年)や小笠原諸島の返還(1968年)の何れも、沖縄の返還の前例となり、大きな歴史的な意味をもっている。が、その返還過程は、十分に知られていない。本発表は、拙著の『硫黄島と小笠原をめぐる日米関係』に基づいて、その返還過程を紹介すると共に、沖縄を含む南西諸島と同様な状態に置かれていた南方諸島は何故そもそも占領され、統治されたのかの歴史背景やその比較を紹介する。

第22回講演会「ボランティアコーディネーションの現状~刈谷市民ボランティア活動支援センターの取り組みから~」
■日時・場所
2009年 7 月14日(火) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学 5 号館
■講師
田中利昌 氏(沖縄法政研究所特別研究員/NPO愛知ネット職員)
■概要
愛知県安城市に本部を置く特定非営利活動法人NPO愛知ネットは、災害救援活動を主任務とするNPO法人である。ボランティア・市民活動センターの運営を通してボランティアの育成に日々取り組んでいる。県内5か所の公共施設の指定管理者として、愛知県、その他の自治体から運営を任され、そのうち、ボランティア・市民活動センターは4か所である。その中でも特に、刈谷市民ボランティア活動支援センターでの取り組みを中心にボランティアコーディネート論について報告をする。どのような方々が相談に訪れ、どのようなボランティアニーズがあるのか、実際にボランティアマッチングが成功した特徴的な事例、ボランティアマッチング成功率はどの程度あるか、などについてである。また、日本で最初の試みである企業と行政のボランティア情報のネット上での共有化についても報告する。以上の点を踏まえながら、地方都市におけるボランティアコーディネートのあり方や問題点を明らかにする。

第21回講演会「アメリカの陪審員制度に学ぶ ―裁判員制度開始にあたって―」
■日時・場所
2009年 7 月 7 日(火) 9:00 ~ 10:30
沖縄国際大学 3 号館
■講師
サブリナ S. マッケンナ 氏(ハワイ州第1巡回裁判所判事/元ハワイ大学准教授)
■概要
2009年 5 月21日から、日本でも裁判員制度が実施されました。私達は、いつ「裁判員」になるかもしれません。その日にそなえて日頃から、裁判に関心をもつことは、とてもよいことです。主権者である私達の司法参加の機会が増せば増すほど、私達の法的教養がひろがるだけでなく、法的なものの考え方が身に付き、日本社会に「法の支配」が定着します。
始まったばかりの裁判員制度の特色を知るためにも、私達が「アメリカの陪審員制度に学ぶ」ことはいろいろあります。裁判員制度や陪審員制度には、それぞれ長所と短所があることも事実です。本講演では、巡回裁判所判事として、家庭内暴力をはじめとする問題の法的解決にもあたって来られた日系のマッケンナ先生が、アメリカの法実務を踏まえた陪審員制度についてお話して下さいます。

第20回講演会「沖縄国際大学の学生に期待する~自立の時代の教育を考える~」
■日時・場所
2009年 6 月17日(水) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学 5 号館
■講師
川上辰雄 氏(北中城村教育長)
■概要
いつの時代でも若者は社会変革の原動力であり、午前8時半の太陽の如く世界を照らし出す。音楽・映画・フアッション・文学・スポーツ等に至るまで、若者文化が社会に与える影響は計り知れない。ただ、「学生時代」というのは、「モラトリアム」(人間が成長して、なお社会的義務の遂行を猶予される期間)として案外世間からは温かく見られているようだ。この度、「私学の雄」沖国大の優秀な学生を相手に「標記の演題」で、「講義」する機会を頂いた。有り難いことである。教育行政のしくみ、教育改革、家族・地域社会への関わり、歴史へのまなざし等々について、高校教師30年・村の教育行政4年間のささやかな体験から学んだ事柄を話してみたい。
ポイントは、「多様性の承認・共通性の発見」と「世界をコーディネート」できる若者の育成である。

第19回講演会「宮古支庁・宮古民政府・宮古群島政府 ―戦後の宮古における『自治』の原点、1945年~1952年―」
■日時・場所
2008(平成20)年11月29日(土) 15:00~
宮古島市立中央公民館 2階研修室
■講師
黒柳保則 氏(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部講師)
■概要
宮古の政治行政は、1945年12月から米国の軍政下に置かれたことにより、沖縄や八重山、すなわち戦前に沖縄県を構成した他の地域とは分離された。その後、1952年4月に琉球政府が発足し、再び他の地域と統合されるまで、近現代の宮古政治行政史のうえでは前例のない「宮古の、宮古による、宮古のための自治」を経験した。本公演では、今ではほとんどしられていないこうした事実について取り上げる。具体的には、この時期の宮古における「自治」の中心的な役割を担った宮古支庁・宮古民政府・宮古群島政府という3つの「政府」について、米軍政府の姿勢、組織の基本的な性格、首長や議員の特徴、執行機関と議決機関との関係、されには復興を目指して取り組まれた政策課題といったトピックを実証的に考察する。沖縄や八重山といった他の地域の政治行政との関係も視野に入れつつ、戦後の宮古における「自治」の原点ともいうべき時期の「政府」について、その「制度」と「実態」を掘り起こし、今後の「自治」を考えるためのよすがとしたい。

第18回講演会「規制緩和と自治体 ― 公共交通の分野を素材として ― 」
■日時・場所
2008(平成20)年 7 月17日(木) 14:00 ~ 16:10
沖縄国際大学 図書館4階 AVホール
■講師
前田成東 氏(特別研究員/東海大学政治経済学部教授)
■概要
「規制大国」と表現されることの多かった日本において、1990年代頃から本格的に規制緩和が検討された。段階的に規制の緩和・撤廃が実施され、福祉、教育、情報通信など様々な分野で民間活動の自由度が拡大し、行政の責任領域が見直されることにもなった。
しかし一方で、バスなどの公共交通機関の領域においては、「需要調整」の規制緩和を実施した結果、地方を中心に民間事業者が撤退するという傾向が顕著になっている。
本講演では、このような公共交通の分野を素材とし、規制緩和にともなう状況の変化を踏まえた上で、「住民の足」を確保するために自治体が中心となって検討している諸方策について考察する。
第17回講演会「沖縄とジェンダー」
■日時・場所
2008(平成20)年 5 月21日(水) 13:00 ~ 14:30
沖縄国際大学 3 号館 106教室
■講師
勝方=稲福恵子 氏(早稲田大学国際教養学部教授)
■概要
「ジェンダー」というのは、人間を「男」と「女」に二極化し、しかも「男」を「女」の上に据える近代的・社会文化的なシステムであると考えられています。このシステムは、人間ばかりでなく、森羅万象ことごとく二分化し、黒白のはっきりした二項対立の図式におさめ、自他を明確に区分する近代的な考え方の基盤になっています。
ところが「てーげー主義の沖縄」では、あいまいさや矛盾に対する耐性が強いのでグレーゾーンが広がり、そこに安らぎと癒しを求める人たちが憩うようにもなりました。この文化風土は、明治以来の「近代化」政策を受容する過程でさんざん苦しんできた沖縄の、創意工夫のたまものだと考えられます。ジェンダーの視点からこの仕組みをひも解いてみましょう。
第16回講演会「平和力としてのジハード~内面的・倫理的イスラーム台頭の可能性~」
■日時・場所
2008(平成20)年 2 月14日(木)13:00
沖縄国際大学 5 号館 107教室
■講師
奥田敦 氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)
■概要
テロリズムはジハードなのか?
テロリズムもジハードも決して教えの命じる通りには実践されていない。
2025年には、世界の人口の3分の1を占めるとされるイスラーム教徒が、個人の生き方のみならず社会のあり方についても拠り所とするのがイスラーム法である。国家にも制度にも支配者にも左右されない法のあり方は、近代法が根源的に抱える問題を照射するのみならず、グローバル化時代の人類社会のルールに対しても示唆を与える。
本講演会では、イスラームの教えが本来的に命じる意味でのジハードとテロリズムは、イスラーム圏に安定と発展を、そして世界に平和と繁栄をもたらすことを明らかにする。
第15回講演会「沖縄における消費者の契約トラブルあれこれ~若者に多いトラブルを中心に~」
■日時・場所
2007(平成19)年10月17日(水)13:00
沖縄国際大学 3 号館 106教室
■講師
小那覇涼子 氏(NPO法人消費者センター沖縄・理事長)
■概要
消費生活相談窓口に寄せられる相談から、若者に多いトラブルについて、事例を中心に紹介します。具体的には、出会い系サイトの料金の不当請求、二十歳になると同時に被害に遭ったデート商法、エステの次々契約、マルチ商法等について、対処法も含めて紹介します。
また、多重債務相談も多いことから、金利の問題や法改正、債務整理、クレジットカードの利用の問題についても触れたいと思います。

第14回講演会「政治をめぐる言葉」
■日時・場所
2007(平成19)年 8 月18日(土)15:00~
沖縄国際大学 5 号館 107教室
■講師
秋山和宏 氏(日本大学法学部教授)
■概要
政治の歴史は人類の歴史と共に古い。こうした長い年月の間に数多くの政治をめぐる言葉が生み出された。それらの中には政治を学ぶわれわれに有意義なものも少なくない。ここで言う「政治をめぐる言葉」というのは、(1)政治そのものを説明する言葉、(2)政治のあり方を示す言葉、(3)政治の姿を捉えた言葉 などの意味である。今回は主として(2)と(3)を中心に、皆さんも何処かで聞いたことのある「人民の人民による人民のための政治」、「英国人は自分たちは自由だと思っているが、それは選挙までのことで、選挙が終われば皆鉄鎖につながれる」、「政治家、政治屋、政治業者」、「政治の一寸先は闇」、「猿は木から落ちても猿だが、国会議員は一度落ちればただの人」等々の言葉を取り上げながら、政治の現状ならびに目標について一緒に考えてみたい。

第13回講演会「『みずからを直視する』とはどういうことか ―君たちに期待する―」
■日時・場所
2007(平成19)年 7 月11日(水)14:40
沖縄国際大学 図書館 4 階 AVホール
■講師
花崎為継 氏(北中城村文化協会会長)
■概要
「近頃の若者は・・・」といった若者論は、いつの時代にもありました。そう語る年配の先達は、往々にして、みずから位置する現在の地点から振り返り、そこに引き寄せる論法で説いていく。その当人も、かつてそうしたステレオタイプの「説法」に反発を覚えたことを忘れたかのようであります。
今回、時代の閉塞状況に圧迫されながらも、夢を追い求め、同時にそれに必然的に繋がる人生の意味や世界について考え悩み、苦しんでいる現在の若者の心情を汲みつつ、そこから言葉を発し、訴い合う若者論を企画しました。
青春時代に味わった深い挫折感を森鴎外の『安井夫人』によって慰められ、還暦を迎えた今は、世情への喜怒哀楽を「川柳」によって詠み流す先達の語りから、是非、みずからを問い直す、見つめ直すきっかけにしてほしい、と思います。

第12回講演会「行政・発想の転換 群馬県太田市の自治体改革に学ぶ」
■日時
2007(平成19)年 1 月11日(木)
■講師
清水聖義 氏(群馬県太田市長)
北村哲夫 氏(群馬県太田市役所行政経営課長)
■概要
わが国の多くの自治体では、国と地方の財政危機を契機にさまざまな自治体改革が行われている。特に群馬県太田市は、全国的にも注目されている自治体である。太田市の改革の先鞭をつけたのが現在の清水聖義市長である。清水市長は「市役所は、最大のサービス産業である」を基本姿勢に市政運営を実施し、注目すべく多くの改革を断行し、これまでの「行政の常識」を覆し、まさしく『行政の発想の転換』である。
一般的に「行政改革」というとすぐに「経費節減」を想起するのであるが、大事なことは「節約したお金をいかに有効に活用するか」である。太田市の場合、新たな行政サービスの財源に充てた。コスト削減によって、新たな価値を創造するための可能性を作り出した。その一つが「小学校教育活動指導助手」の配置である。これは全国でも最初の取り組みとなり、大きな成果を上げた。
沖縄県の自治体も行政改革の真っ只中にあり、太田市の改革は、大いに参考になるものと思います。この講演を通してこれからのわが自治体のあるべき姿をご一緒に考えてみませんか。多くの自治体職員のご参加をお待ちしております。

第11回講演会「個人情報保護制度 ―意義としくみ―」
■日時
2006(平成18)年11月30日(木)
■講師
前津榮健(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部教授)
■概要
情報化社会の進展により、生活に便利さと豊かさがもたらされた反面、個人データの不正な売買、個人情報の大量漏えい・悪用などといった事案が相次ぎ発生し、国民に強い不安をもたらしている。いったん個人情報が不適正に取り扱われると、人格的・財産的権利利益が侵害され、取り返しのつかない深刻な事態を生じるおそれもある。そのような状況の下、長年の懸案であった個人情報保護法が、昨年4月施行されるとともに、自治体の個人情報保護条例もほぼ整理されている。
本講座では、個人情報の保護の必要性、個人情報保護法・保護条例制定の意義、基本的なしくみ、判例・実例を概観すると同時に、個人情報の取扱いや運用上の問題点について考えてみたい。

第10回講演会「『らい予防法』は廃止されたけど…―ハンセン病患者への差別の歴史から何を学ぶか―」
■日時
2006(平成18)年11月 8 日(水)
■講師
金城幸子 氏(愛楽園ハンセン病国賠原告団副団長)
■概要
治療薬がなかった時代にはハンセン病は「不治の病」とされ、手足や顔が変形することもあり恐れられていました。しかし医学の進歩によってハンセン病の菌の感染力は極めて弱くまた遺伝病ではないこともわかり、1943年には治療薬が開発され完全に治る病気になりました。
日本では明治時代からハンセン病患者をあたかも「犯罪者」のように扱い、ハンセン病根絶を目的に療養所へ強制隔離する法政策がとられてきました。そのためハンセン病患者は、一度入所すると一生退所できない、家族と一緒に暮らせない、差別を恐れて実名を名乗れない、結婚条件として避妊手術を受けさせる、死亡後も故郷の墓に入れない等々多くの人権を侵害されてきました。
さらに「治る病気」だったにもかかわらず「らい予防法」(1953年)によって強制隔離政策は継続され、ハンセン病に対する恐怖と偏見、患者に対する差別が根強く残ってしまいました。これに対し患者たちは「人間回復」を求めて闘い続け法律は1996年に廃止されました。
ハンセン病患者に対する人権侵害の長い歴史から私たちは何を学ばなければならないのか、「らい予防法」廃止10年目を契機にあらためて考えることにしたいと思います。

第9回講演会「少年鑑別所の役割と最近の非行少年について」
■日時
2006(平成18)年10月25日(木)
■講師
畔上悦郎 氏(那覇少年鑑別所所長)
■概要
2005(平成17)年の矯正統計年報によれば、昨年全国の少年鑑別所に収容された少年の人員は19,627人であり、この10年間では平成15年をピークに減少傾向を示しています。しかし、収容される少年の問題は、むしろ多様化・複雑化の傾向にあります。
少年による凶悪な事件が発生すると、子供たちの「心の闇」が指摘され、子供たちが変わったのではという議論になりますが、少年非行を理解するためには、家族や地域社会など、子供たちを取り巻く社会の変化も合わせて考える必要があるように思います。
少年鑑別所の業務内容やその役割とともに、実務を通して見た少年非行の現状についてご紹介し、その問題点と対応策について皆様と一緒に考えてみたいと思います。

第8回講演会「あまりにも違う日・伊の米軍基地事情」
■日時
2006(平成18)年 7 月22日(土)
■講師
屋良朝博 氏(沖縄タイムス社社会部副部長代理)
■概要
何かおかしくないですか。日本の法律が及ばないなんて。ときに、米軍は大学キャンパスを占拠する事態も起こる。日本政府は黙って指をくわえている。
日本と同じ敗戦国のイタリアにも戦後、米軍が駐留する。同じような軍用機事故が起きると、当局は証拠品である米軍機を差し押さえ、パイロットを尋問し、独自に捜査する。
米空軍が使う飛行場は飛行回数を制限し、飛行経路や上昇角度も詳細に定め、騒音が住民地域に拡散しないような措置を講じている。
さらには、イタリアの習慣であるお昼寝「リポーゾ」の時間に、米軍戦闘機はエンジンを切って静かにする。平時において、住民優位である。イタリア人は主権が侵される行為を許さない。

第7回講演会「沖縄電子債権手形実証実験と沖縄発のIT立法~新法「電子債権法」の制定を目指して~」
■日時
2005(平成17)年12月19日(月)
■講師
大野祐輔 氏(経済産業省経済産業政策局産業資金課課長補佐)
■概要
IT化の進展の中、民法や手形法が定める既存の債権概念は様々な課題に直面している。政府は、これらを解決し、手形の電子化等を可能とするため、新法「電子債権法」の制定を目指している。政府の検討においては、昨年から本年3月末まで行われた沖縄県内での取組「沖縄電子手形実証実験」が大きな推進力を与えている。政府、県、地元銀行、地元企業等が多数参加したこのプロジェクトの概念と成果、それを受けた我が国のIT立法の道筋と今後の経済・金融へのインパクトを解説する。

第6回講演会「自治と改革」
■日時
2004(平成16)年 7 月26日(月)
■講師
逢坂誠二 氏(ニセコ町長)
林知己 氏(ニセコ町学校教育課長)
■コーディネーター
前津榮健 氏(沖縄法政研究所所長/沖縄国際大学法学部教授)
■主催
沖縄国際大学沖縄法政研究所
■後援
沖縄県市長会・沖縄県町村会・沖縄県市議会議長会・沖縄県町村議会議長会
■概要
「三位一体の改革」「市町村合併」でわが国の多くの自治体は、現在厳しい環境に追い込まれ、この状態をいかに克服し活路を見出すか模索している。ニセコ町を大きく変容させたのは、35歳の若さで町職員から町長に就任した逢坂誠二町長のリーダーシップであった。まず町を変えたのは徹底した住民への情報公開であった。すべての行政情報は、住民との共有財産であると考え、「情報の共有」と「住民参加」のまちづくりを実践し住民による自治体経営のシステムを大胆に創造した。このような先駆的なまちづくりは全国的に注目され、人口4600人の小さな町が、今では全国自治体首長アンケートで、モデルにしたい自治体No.1となった。この講演会を通してこれからの21世紀の自治体のあるべき姿をご一緒に考えてみませんか。

第5回講演会「多重債務者問題の現状と法的対応」
■日時
2003(平成15)年 9 月 6 日(土)16:30
■講師
山本研 氏(沖縄法政研究所特別研究員/国士舘大学法学部助教授)
■概要
「借りたお金をどうしても返すことができなくなった!」
このような危機的状況に追い込まれ、裁判所に借金の整理のために駆け込む人の数が、全国的に急増しています。沖縄においても、破産件数は全国を上回る伸び率で増加し、いまや「破産の少ない県」どころか「破産多発県」となっています。今回の講演では、このような多重債務者を取り巻く現在の問題-金利をめぐる問題、闇金融や換金屋などの悪徳業者に関する問題、そして、沖縄における現在状況-を読み解くとともに、県内各機関の対応、さらには、返すことのできなくなった借金を法的に整理するための様々な手法につき紹介していくことにします。とくに法制度については最近の深刻な多重債務者問題の現状を受け、特定調停制度、個人債務者再生制度、いわゆる闇金規制法といった立法的手当が相次いでなされており、これら最新の情報についてもお伝えしていきたいと思います。

第4回講演会「知的所有権法の今日的課題」
■日時
2001(平成13)年 4 月21日(土)13:00
■講師
篠田四郎 氏(名城大学法学部教授)
■司会
熊谷久世(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部助教授)
■コメンテーター
脇阪明紀(沖縄法政研究所副所長/沖縄国際大学助教授)
■概要
今日、人間の知的創作にかかる文化的所産が、多くの伝達手段(メディア)によって無限に近い方法で伝播されています。とりわけ科学通信技術の発達は、ニューメディアという今日的手段によって可能とされ、著作物という文化の伝播に時間と空間の観念を超越した状態をもって伝承されています。このような状況の中で、いわゆる知的財産権という法的権利をいかに保護するかという問題がクローズアップされているのは当然のことといえるでしょう。

第3回講演会「人間の法:個人から人類まで」
■日時
2000(平成11)年10月20日(金)15:00
■講師
千葉正士 氏(東京都立大学名誉教授)
■コメンテーター
徳永賢治(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部教授)
■司会
脇阪明紀(沖縄法政研究所副所長/沖縄国際大学法学部助教授)
■概要
20世紀最後のオリンピックはシドニーで開かれました。その開会式で聖火に火をともしたのは、アボリジニーの女性走者でした。白人が近代国家を樹立したオーストラリアにおけるこの出来事に象徴されるように、儀式とは言え、古代ギリシャに起源をもつ伝統的な西欧スポーツの社会は、21世紀に向けて少しずつ変化する兆しが見られます。この兆しは、スポーツだけではなく、法の分野にも見ることができます。国際化や情報のネットワーク化を通して、世界が次第にグローバル化する一方で、各地域の多様な伝統的法文化も自己主張を始めています。その結果、近代西欧国家法が、非公式法と対立したり相互補完しあう機会も出現しています。新世紀を間近に控えた法と法制度の転換期において、個人から人類に至る人間の法すなわち法の全体像を知るには、私達はどうすればいいのでしょうか。

第2回講演会「東アジア情勢と日米安保体制 ―南北首脳会談のインパクト―」
■日時
2000(平成11)年 7 月14日(金)13:00
■講師
吉次公介 氏(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部講師)
■コメンテーター
西原森茂 氏(沖縄法政研究所所員/沖縄国際大学法学部教授)
■司会
脇阪明紀 氏(沖縄法政研究所副所長/沖縄国際大学法学部助教授)
■概要
去る6月13日から3日間にわたって南北朝鮮の首脳会談が行われました。これによって、具体的にいかなる成果が得られたのかは別にして、会談そのもののもつ政治的・歴史的意義を否定することはできないと思われます。朝鮮半島における情勢の変化は、東アジアの国際関係に多大の影響をもたらすことになるとともに、日米安保体制にも微妙な影響を与えることになることが予想されます。さらに状況の進展によっては、沖縄の米軍基地の態様にもなんらかの変化をもたらすことになるかもしれません。

第1回講演会「沖縄戦後50年 ―政治の視点から―」
■日時
1998(平成10)年 3 月27日(金)13:00
■講師
西原森茂(沖縄法政研究所所員)
■コーディネーター
照屋寛之(沖縄国際大学非常勤講師)
■司会
山城将美(沖縄法政研研究所副所長)
■概要
沖縄戦後50年は、アメリカ施政権時代と施政権返還後の時期に大別できよう。その二つの時期は、政治制度の面から顕著に区別されるが、「革命」によって変革されたのではなく、「復帰運動」によって展開された。沖縄戦後史を「復帰」思想の論点から分析し、沖縄の政治について考察する。