第48回研究会「原子力災害対応における公法の役割」 沖縄法政研究所では、2013(平成25)年9月20日(金)に第48回研究会を開催しました。
研究会では、福島大学行政政策学類の清水晶紀准教授をお招きし、「原子力災害対応における
公法の役割」と題して、ご報告いただきました。司会は本研究所の西山千絵所員(法学部講師)
がつとめました。
清水晶紀氏は、福島第一原発事故後に実施された原子力災害の現状と課題について取り上げ、
公法(憲法・行政法)が果たしうる役割について、緊急時対応としての強制避難の法制度、
復旧時対応としての自主避難・除染の法制度を概観し、これらの制度下で実施された行政対応の
問題点について明らかにしました。それを「行政の不適切な裁量判断」という観点から捉え直し、
公法学の立場から憲法や法律に照らして行政の裁量判断をコントロールしていくこそが、原子力
災害対応における公法の役割と指摘しました。憲法や各法制度の理念を基礎とした実効的な原子
力災害対応の実現に向けた法的指針に照らした裁量判断のあるべきすがたについて言及しました。
また、原子力災害対応の法的指針は、沖縄の基地問題にも適用できる可能性があると示唆しました。