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大学概要

米軍ヘリ墜落事件

学生による意見発表(2013年度)

文書
共に希望と幸福を


法学部法律学科2年次
真喜志 彩乃

9年前のこの日、この沖縄国際大学にヘリコプターが墜落したことは、今でも忘れられない私
の中での悍しい記憶となっています。当時は、不幸中の幸いにも夏期休暇期間中だった為、負傷
者は出ませんでした。しかし、もし、これが学生のたくさんいる平日に起こったらと考えるとゾ
っとします。
しかし、私が最も驚異に感じたのはこのような大きな事件があったのにも関わらず、基地問題
が未だに解決出来ていないという事です。普天間基地を初めて見た米国防長官が「世界一危険な
基地」と言ったのは有名ですが、では世界一危険な基地に隣接している本学は「世界一危険な大
学」といっても過言ではありません。このような環境で安心して文武両道に励む事は極めて厳し
いのです。
更に、ヘリの墜落の心配以外にも大きな問題があります。それは、「騒音」です。普天間基地に
隣接している普天間第二小学校の調査によると、昨年の騒音による授業の中断は、実に50時間。
それだけの時間を子供達は奪われているのです。更に調査の結果、騒音による授業の中断が度々
起こる為、集中力の低下等も見られているそうです。
何故、私達は戦時中でもないのに、貴重な大学生活の中で、飛行機の墜落や騒音を気にしなく
てはならないのでしょうか?平穏な日々を過ごしたい。安心して学校に通いたい。私たちの願い
は、ただそれだけなのです。
しかし、このような県独自の悩みを抱えているのは、私達沖縄県民だけではありません。確か
に、国土面積 0.6%の沖縄に、在日米軍基地のおよそ 7 割を押しつけるのは比重が偏っていて、不
平等感を抱くかも知れません。
しかし連日報道されているように原発の影響で苦しんでいる福島や震災の爪痕を深く残す東北。
彼らもまた、被害者であり、日本の今後の課題なのです。
では私達は、彼らのためにいったい何が出来るのでしょうか?確かに、彼らの抱える問題と私
達の問題は大きく異なります。しかし、平穏で安寧な日々を愛する地元で過ごしたい。その気持
ちは同じなのです。
だから、私達は「何故、自分達だけ」という考えを改めなくてはいけません。苦しんでいるの
は、私達だけでは無いのです。
だから、今後の基地問題については、沖縄だけで考えるのではなく福島や東北の人を含む日本
全体で。復興や原発問題も、そこに住む人だけに任せるのではなく、沖縄も共に考える。そうい
ったお互いの抱える問題を理解し合い、助け合う形が今後の課題解決への近道だと私は考えます。
これからの沖縄と東北は、共に復興を目指し、共に基地返還を願う。そういった関係が築けた
らいいと思っています。自分達のことだけでなく、日本全体が幸福に満ち足りるにはどうしたら
いいのか?それを主体として考えられたら、日本はより暮らしやすく、平穏になるでしょう。
共に希望を持ち、共に幸福を願う。それが平和な日常への第一歩ではないでしょうか?



沖国大ヘリ墜落事件、現在の沖縄

法学部地域行政学科3年次
上江洲 海

2004年8月13日午後14時15分頃、沖縄国際大学の本館にアメリカ軍の大型輸送ヘリ
コプターCH53Dが墜落するという衝撃的な事件が起こりました。あの事件から今年で9年が
たち私は、沖国大に通っています。当時、私は中学生で基地に対してあまり関心がなかったので
すが、ニュースや新聞記事をみて強い憤りと不安を感じたことを覚えています。幸いなことに人
命に関わる事故ではなく安心しましたが、一歩間違えると大惨事になっていたに違いありません。
墜落事件では、事故現場を封鎖し大学関係者や日本の警察・行政が一切立ち入りを禁止し、大学
構内を占拠しました。沖縄県警が求めた合同による現場検証にも応じませんでした。また大学の
許可なく現場の木などを伐採し、墜落機や周辺土壌を回収し、基地内に持ち帰っています。私が
この事実を知ったのは、大学に入学したあとでした。この時、私は沖縄の中のアメリカ基地では
なくアメリカの中に沖縄が存在しているのか?と思うほど驚きを隠せませんでした。この事件は、
生まれたときから基地と隣り合わせで生活し、それが日常化している私たちにとって基地の危険
性を改めて身にしみて感じさせる出来事でした。
そして、昨年沖縄に新たな危険をもたらす米軍輸送機オスプレイが県民の反対意志に耳を傾け
ることもなく強行配備されました。私は、米政府にはもちろんのこと日本政府に対しても強い憤
りを感じました。日本では、大きな事件に繋がってはいないもののオスプレイは過去に起きた事
故がたびたび指摘され、開発段階だけでなく、実践配備後にも墜落事故を相次いで起こしていま
す。普天間基地は多数の民家や小学校周辺に位置しています。そこにこのようなオスプレイが飛
行することは住民の生命に直接関するほどの危険をもたらす事になります。また、米軍の軍事訓
練によって沖縄の大切な自然が破壊されヤンバルの森に生息する希少動物の生態系•環境を破壊
することも許せません。
それから、8月に入りオスプレイの追加配備がされ、さらに沖縄の危険が増加しています。人
口密集地域上での300件あまりの違反にもかかわらず防衛省は、「違反の確証は得られなかった」
としている。忘れてならないのが、つい先日の8月5日に米軍基地キャンプ•ハンセンに墜落した
米空軍のHH60ヘリコプターです。墜落したのが、民家から2キロほどの場所で、沖国大の時
と同じく県民に大きな被害は、出ていませんが一歩間違えると大惨事になっていたに違いありま
せん。
最後に今、基地の必要性が見直されるべきだと思います。日中、日韓の関係が悪化している中
で、アメリカ軍が本当に日本のために命を捨てて戦うことができるのでしょうか?米中は経済の
上で相互依存関係にあり、韓国とは軍事同盟があるため在沖海兵隊は、軍事上の役割がありませ
ん。そして、間違った認識で、対北朝鮮用としてオスプレイが普天間に配備されていると思われ
ています。実際に私も抑止力として普天間基地に様々な軍事機が配備されていると考えていまし
た。日本国民は、アメリカの言い分を鵜呑みにして自分たちが、騙されていることに気づかず基
地の負担を国内の力関係で沖縄に押しつけています。しかし、こうした大きな問題を抱える一方
で沖縄県内でもオスプレイがきたのは、一昔前かのような雰囲気が流れており、私を含めた20
代の若者からは「もう来てしまったから仕方ない」、「どうせ基地はなくならない」という声が多
く聞こえてきます。この機会で基地の危険性や必要性が改めて認識する事ができ、自分の住む地
域に関心を持つ事の大切さを知ることができました。未来の子たちのためにも一人ひとりが真剣
に考え、日本全体の問題として国民に認識されなければ、いつまでたってもこの状況は改善され
ないと思います。明るい未来を目指すために一人でも多くの人が、今日の機会に基地問題を自分
自身の問題として考えて行動していってほしいと思います。