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【研究目的】
 沖縄県八重山諸島群には、太平洋戦争の戦禍を逃れた多くの伝統的な染織物(古布・古裂)が残されており、それらは伝統文化の証としても、そして貴重な新しい被服や観光の資源としても有望です。そこで、それらの模様のデザイン、デジタルデータの顕微鏡写真や分光測色計などを用いた詳細な学術的研究を鋭意取り組み、新しい被服資源や観光資源として有効に活かそうというのが本研究の研究の学術的背景です。
 本研究では、沖縄県八重山諸島群にある伝統的染織物(古布・古裂)の詳細な科学的な調査研究を行い、八重山諸島群における新たな資源として活用を促すことをめざしています。

【研究計画・方法】
 八重山地方の伝統的染織技法を明らかにすることを目指していますので、八重山地方に行き、博物館や資料館、あるいは個人宅を訪問し、現地に残されている伝統的な染織物(古布・古裂)を調査します。そのため、携帯できる調査研究用のノートパソコンとそれに直接デジタルデータを取り込める携帯の顕微鏡と分光測色計を持参し調査したいと考えています。それによって、顕微鏡を用いた伝統的染織物(古布・古裂)の詳細な繊維画像データや材質のデータを取得します。取得するデータの種類は、糸の繊維、糸の撚り具合、織り方、染料・顔料の種類や状態を考えております。
【科研16K02101での業績】
 科研16K02101での論文等の業績は次の通りです。
  1. 又吉光邦,“南嶋民俗資料館の古布裂(形付・芭蕉・白地)の調査研究 (A study of old weave (Katachiki/Basho/Shiro-ji) in Nanto Minzoku Shiryou Kan),”産業情報論集第12巻1・2合併号,pp. 29-57, 2016.3.
  2. 又吉光邦,“南嶋民俗資料館の古布裂(紺地)の研究 (A study of old weave (Kon-ji) of Nanto Minzoku Shiryou Kan),”産業情報論集第13巻1・2合併号,pp. 1-46, 2017.3.
  3. 又吉光邦,“古文書「ラミー(Ramie)及苧麻」と「簡易絹糸精錬染色法」の翻刻(Reprint of "Ramie and Choma" and "simple method for silk thread refinement and staining)”,産業情報論集第14巻1・2合併号,pp.1-28,2018.3.
  4. 又吉光邦,“沖縄の龍舌蘭の繊維「トンビャン」(A New Viewpoint of a Plant Fiber of Maguey called Tonbyan in Okinawa)”,産業情報論集第15巻1・2合併号,pp.45-60,2019.
  5. 又吉光邦,奥間美之里,“喜宝院蒐集館の踊り衣装(打掛)の復元のために”,産業情報論集第16巻第1・2合併号,pp.43-54,2020.3.
  6. 又吉光邦,“沖縄の伝統工芸品の実用的な融合 ~伝統染織物入りピック製作~”,産業情報論集第17巻第1号,pp.1-5,2020.9.
  7. 又吉光邦,“琉球王朝時代の与那国島と沖縄島の衣裳の変遷 -台湾原住民の衣裳と装身具との類似性を含めて-”,奄美沖縄民間文芸学会,第18・19合併号,pp.1-11,2020.