トンビャン
沖縄にはトンバン/トンビャン等(微妙に異なる呼び方がいくつかある)と呼ばれる植物性の繊維で織られた布があったといわれている。漢字は “ 桐板布 ” あるいは “ 桐板齊 ” が当てられる。未だに原料の特定に異論が出てくる、まさに幻と化した布である。本論文では、その幻と化した布の材料(原料)について文献だけでなく、実物の調査研究を通して得られた新しい知見を述べる。結論を先に言えば、「“ 桐板 ” と記される繊維、あるいはトンビャンという音に似た名称を持つ異なる繊維が少なくとも2つ、あるいはそれ以上存在した」となる。本論文において、実物の龍舌蘭(トンビャン)の繊維を用いた古布裂を示す。