文字サイズ

大学概要

米軍ヘリ墜落事件

米軍ヘリコプター墜落事件から一年を迎えるにあたって(声明)

文書
       米軍ヘリコプター墜落事件から一年を迎えるにあたって(声明)

来る8月13日で米軍ヘリ墜落事件から一年が経過します。平和で静かであるべき大学と地域が混
乱に陥った悲惨な記憶は鮮明であります。二度とこのようなことが起こってはなりません。事件発
生直後に,本学は,まずもって学生,教職員の安否,安全の確認を行い,続いて米軍ヘリコプター
墜落事件対策本部(現在は米軍ヘリコプター墜落事件対策委員会へ移行)を設置し,大学機能の回
復,被害補償,事故原因の究明と情報公開という基本姿勢を確認し,大学を本来の姿に戻すため懸
命に対応してきました。この一年間のヘリ墜落事件に関連する諸般の対応はあまりにも目まぐるし
く,過重な負担を強いられるものでありました。このような混乱極まる中で,教育研究という大学
本来の使命を中断なく曲がりなりにも継続できたことは,学生や父兄の皆様のご理解とご支援,県
内外の多くの機関,個人の皆様から心温まるお見舞い,激励の言葉を賜り,勇気づけられ,教職員
が自主的,献身的な努力を続けることができたことによるものです。ここに深甚なる感謝の意を表
します。
ヘリ墜落事件は,米軍基地の存在にともなう根本的な問題を露わにしました。大学をはじめとした
教育機関や居住地域に米軍基地が隣接し,生命と安全が脅かされる危険性が極めて高いこと,米軍
に関連するこのような事件が発生した場合,日米安保条約,日米地位協定を元に,国家主権や大学
自治が侵害されうることです。事件発生以来,本学は平和で静かな環境で教育研究が全うできるよ
うに,大学の立場から「普天間飛行場を使用する全ての軍用機の飛行停止」,「普天間基地の即時
撤去」,「日米地位協定の改定」を主旨とする抗議・要請を県内外の関係機関へ繰り返し行ってき
ました。また政府,各政党関係者の事件現場視察においても同様の要請を行ってきました。しかし
ながら事態は解決に向かっているとはいえません。依然として米軍用機は,居住地域,本学上空を
飛行し,不安を募らせており,大学の重要な行事である入学試験や入学式の際にも米軍ヘリコプタ
ーが大学周辺を飛行しているというのが現状です。教育研究環境,地域住民の安心,安全を確保し,
このような惨事が再び起こらないように,事態の早急な解決を政府,米軍,および関係機関へ重ね
て強く要請します。
大学は,事件当日の混乱から徐々に平静を取り戻しつつありますが,依然として機能回復に向けて
の取り組みを余儀なくされています。本来ならば教育研究の向上に取り組めたであろうこの一年間
の機会損失は大きく,また教職員,学生の心理的負担も少なくありません。大学の中枢機能は,プ
レハブの仮住まいで担われ,不便な状況が続いており,損壊した本館の建て替えと中枢機能の復元
,物的補償を含めて大学に及ぼしたあらゆる被害の補償要求,本館壁の残し方についての議論の集
約と意志決定等が継続する課題として積み残されています。これらの課題については,米軍ヘリコ
プター墜落事件対策委員会を中心として学内の民主的意志決定プロセスを通じて主体的に対応して
いく予定です。本学は,米軍ヘリ墜落という大学設立以降かつてない惨事を乗り切り,地域に根ざ
し世界に開かれた大学として,今後とも教育研究の充実に真摯に努め,有為な人材を育成していく
所存であります。引き続き本学へのご理解とご支援を賜れば幸甚です。

                     2005年8月10日

                     沖縄国際大学 米軍ヘリコプター墜落事件対策本部
                        本部長(理事長・学長) 渡久地 朝明