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大学概要

米軍ヘリ墜落事件

学生による意見発表(2016年度)

文書
8 月 13 日 平和の尊さを語りつぐ想い

日本文化学科 3 年次 城間愛里

 当たり前のように流れていた時間が当たり前でなくなる時、人は何を想い、何を願うのでしょうか。みなさんにとって、忘れられない記憶は何でしょうか。私たちは様々なことを感じ、考えながら過去を紡ぎ、日々を生きています。きっと、私たちの周りには自分自身に降りかからないと感じ取れないことがたくさんあるでしょう。日常のふとした幸せは、悲しい出来事を通して改めて気づかされることが多いかもしれません。しかし、人はどんなに苦しくて涙が止まらないことがあったとしても、今よりもよりよい未来を信じ求めて時代を歩んできたのではないかと考えます。人は日々幸せな世界で誰かと共に「生きる」
ということを願わずにはいられないのではないかと思うのです。
 私がこのような想いや考えを持つようになったのは、昨年 8 月 13 日に本学で行われた朗読ライブ「VOICE」2015~僕らが繋ぐ明日へのバトン~に参加したことがきっかけです。12 年前の 8 月 13 日、沖縄国際大学内の建物にヘリが墜落し、炎上するという恐ろしい出来事を当時の沖国生が実際に目で見て、聞いて感じた想いを朗読で伝えるという活動でした。心に響いた想いと届けたい内容を「声」にして届けることで、「声」を通して人と人の心がつながっていくということを知りました。当事者は心の奥に深く刻み込まれた想いを抱えて生きていくということに覚悟を持って、その想いを伝えようとしていると思います。その想いを私たちはどれだけ汲み取って伝えていくことができるでしょうか。沖国生として沖国にヘリが墜落した出来事を語りついでいくことは、沖国生である私たちにしかできないことであり、平和な未来を見つめる時間を与えてくれると思います。
 私は朗読を通して、沖縄のことや基地のことについて考えるようになり、自分自身と向き合うことができました。「声」を通して伝える言葉は大きな力を持ち、人に「生きている」という実感を与えながら「生きる」ことの意味を私たちに問うていたのではないかと考えます。人はどうして衝撃的な出来事があったとしても忘れてしまうのでしょうか。きっと、自分自身の出来事として受け止めずに、自分には関係ないことだと思って、心の底から見つめて、理解しようとしていないからではないかと考えます。現在の沖縄の「平和」と「安全」を考える際、どうしても逃げることができず、向き合っていかなければならないことがたくさんあると思います。自分自身の主張だけを通して、相手のことを見つめることを疎かにしていることはないでしょうか。今私たちが生きている社会を変えるのは、少しの優しさと相手を思いやる心遣いではないかと思います。幸せの種はいつだって、身近にあるはずです。今生きている現在の「幸せ」を次の世代に伝えて広げていくことができるように、私たちは平和の尊さを見つめ、考え、発信し、多くの人に伝えていくことが大切ではないでしょうか。私たちができることは限られているかもしれませんが、互いに相手のことを知り、受け止めようとすることで生まれる「幸せ」を忘れてはいけません。これか
らみなさんは何を想い、何を考え何を語りついでいきたいですか。



私に出来る意思表示

英米言語文化学科 3 年次 名嘉一心

 沖縄国際大学に米軍機が墜落してから、今日で 12 年が経ちます。当時、8歳だった私は、テレビで報道されるこの事件を目にした時、すぐそこにあるやもしれない恐怖に身を震わせたことを覚えています。しかしながら、12 年経った今はどうでしょうか。あの時とは何一つ状況は変わっていません。学校に登校すれば、ほぼ毎日のように、頭上に飛ぶ米軍機を見ます。当時の事故では幸い人が亡くなるという事態には至りませんでしたが、今後もそのようなことが起こらないとは限りません。
 これまで、沖縄は 2014 年の県知事選挙を始めとする数々の選挙で基地はいらないという民意を示してきました。それにもかかわらず、現在、政府は普天間基地の辺野古移設に伴う新基地建設を強行しています。普天間から基地がなくなったとしても、沖縄から無くならないのであれば、基地があるゆえに起こる事故は、一生無くならないのではないでしょうか。また基地があるゆえに起こる弊害は、米軍機の墜落事故だけではありません。米軍人による飲酒運転による事故や、性暴行、殺人事件は後を絶ちません。このような事件、事故が起こるたびに、多くの県民が抗議や要求をしてきました。しかし、改善が見られないのは、到底理解できるものではありません。もし、日米両政府が沖縄の人々に寄り添うのであれば、最低でも普天間基地の即時返還、撤去、閉鎖をしてほしいと思います。
 ここで一つの言葉を紹介したいと思います。去年、沖縄国際大学に訪れた米退役軍人による団体 VFP のメンバーの一人による言葉です。「もし、英語やアメリカの文化を学びたいのならアメリカに行きなさい。基地というのは、破壊の文化なのです。」基地にも有益なものがあるのではないかという質問に対する答えでした。私たちにとって、基地とは何なのでしょか。
 私がこれから生きていく中で、この地に生きる人々が生きていく中で、これからもこのような事件、事故が起こりうる可能性があります。無いとは言い切れないのです。だからこそ、私たちは声を上げる必要があるのです。私たちは、ただ平和に、そして安心して生きていきたいという意思を表示していかなくてはなりません。