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米軍ヘリ墜落事件

沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落から、17年目を迎えて(声明)

文書
沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落から、17年目を迎えて(声明)

2021年8月13日
              沖縄国際大学
                         理事長・学長 前津 榮健


 2004年8月13日、この場所この時間に、米軍ヘリコプターが墜落炎上し、学生、教職員、市民、県民を恐怖に陥れてから、今日で17年目を迎えます。あの日の墜落現場の惨事と米軍の理不尽な事故処理に対する市民、県民の憤懣やるかたない強い憤りが、時間の経過と共に薄れていくことも残念ながら現実でもあります。米軍ヘリコプター墜落事件の惨事の記憶を風化させてはなりません。我々は今日、ヘリコプター墜落事件に対する憤りの記憶を改めて鮮明に呼び覚まし、受け継ぐとともに、事件以来求め続けてきた普天間基地の閉鎖を繰り返し要求し、ここに強い決意を込めて「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さを語りつぐ集い」を開催し、声明を発表します。
 沖縄の安全・安心・平和が脅かされていることは、全国土面積のわずか0.6%の沖縄に在日米軍専用施設面積の70.3%が集中し、幾度となく米軍関係の事件・事故が起きていることからも明らかであります。去った7月13日、普天間基地所属のCH-53Eヘリコプターが、渡名喜島と入砂島の海上で鉄製コンテナを落下させ、海には落下物が漂い、渡名喜村民や漁業者を恐怖と不安に陥れました。また、6月2日深夜、普天間基地所属のUH1Y多用途ヘリがうるま市の津堅島に不時着、7月27日には同じく普天間基地所属のAH1攻撃ヘリが県を越え宮崎県串間市の田んぼに不時着し、規制が引かれ田畑は踏み荒らされました。騒音の激しいF35最新鋭ステルス戦闘機を始め外来機の飛来、深夜の離着陸が増加し、深夜・早朝の飛行を制限する日米騒音防止協定はまったく無視され空洞化しているのが現状です。更に、昨年4月格納庫の消火システムが作動し、発がん性が指摘される有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が放出され、その泡が風にあおられ住宅街に降り注ぐ事故がありました。先月このPFOSを含む汚染水を基地外の公共下水施設へ放出する計画が示されるなど、住民は騒音被害、環境汚染など依然として基地負担を強いられています。
 普天間基地返還合意から今年4月12日で25年が経過しました。「5~7年で返還」との返還期限はとうに過ぎましたが、先に述べたように現状は何ら変わらずむしろ悪化していると言っても過言ではありません。当時の故橋本首相と共同会見し後年「長い時間がかかるとは想像もしていなかった」と語ったとされるモンデール元駐日米大使は今年4月死去、また「世界一危険な飛行場」と指摘したラムズフェルド元国防長官も6月に死去しました。普天間基地の撤去は、日米両政府で合意され、県民誰もが強く期待しているところであり、決して忘れ去られてはなりません。
 沖縄国際大学は、琉球・沖縄の歴史の中で、人々が求め続けてきた「真の自由と、自治の確立」を建学の精神として、地域に根ざし、世界に開かれた大学を目指して参りました。安全・安心・平和への思いは、大学人に限らず、思想・信条を超えて万人が求めるところであります。大学や地域社会の平穏・安寧を脅かす普天間基地の存続ましてや固定化を、認めることはできません。
 沖縄国際大学は、本学へのヘリコプター墜落事件から17年目の今日、危険この上ない普天間基地を即時閉鎖し、撤去することを、ここに改めて日米両政府に強く要求すると共に、平和を希求する沖縄の思いを世界に発信し共有されることを目指します。