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米軍ヘリ墜落事件

米軍ヘリコプター墜落から20年の節目にあたって(声明)

文書
米軍ヘリコプター墜落から20年の節目にあたって(声明)

沖縄国際大学      
理事長・学長 安里 肇


 2004年8月13日のこの時間に、米軍ヘリコプターが墜落炎上し、学生、教職員、市民、県民を恐怖に陥れてから、今日で20年目の節目となりました。何も変わらない現状と今後の展望が見通せない未来に大きな危機感を覚えます。あの日の墜落現場の惨事と米軍の理不尽な事故処理に対する市民、県民の強い憤りが、時間の経過と共に薄れていくことが非常に残念でありますが、米軍ヘリコプター墜落事件の惨事の記憶を風化させてはいけません。我々は、米軍ヘリコプター墜落事件に対する憤りの記憶を改めて鮮明に呼び覚まし、この記憶を受け継ぐとともに、事件以来、求め続けてきた普天間基地の閉鎖を繰り返し要求し、ここに強い決意を込めて「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さを語りつぐ集い」を開催し、声明を発表します。
 沖縄の安全・安心・平和が脅かされていることは、全国土面積のわずか0.6%の沖縄に在日米軍専用施設面積の約70%が集中し、幾度となく米軍関係の事件・事故が起きていることからも明らかであります。昨年1年間に普天間基地を軍用機が離着陸した回数は1万3612回で、前年に比べ約15%減った一方、日米の騒音防止協定で運用が制限されている午後10時から午前6時までの深夜・早朝の離着陸の回数は441回と34%も増加しました。日米騒音防止協定はまったく無視されているのが現状です。
 昨年11月、鹿児島県屋久島沖で米軍の輸送機オスプレイが墜落し、乗員8人が死亡した事故を受け、米軍と陸上自衛隊はすべての機体について飛行停止の措置をとっておりましたが、3月14日以降、整備などを終えた機体から国内での飛行を段階的に再開しています。事故原因の詳細が明らかにされていない中での飛行再開については、屋久島町長や宜野湾市長も懸念を表明しております。6月にはカール・チェビ司令官が「前例のない壊滅的な機械の故障」が発生していたと証言しており、全面的な任務再開は部品の交換を終える2025年半ば以降になるとの認識を示しています。普天間基地に関しては、運用の見切り発車の感は否めず、地元の住人に説明責任を果たしてもらいたいところです。
 また、昨年末から米兵による性暴力事件が相次ぎ、外務省や政府は、このことを把握していながら県には一切報告をしておりませんでした。沖縄では、米軍基地がある故に米兵による犯罪が繰り返し起きており、そのたびに、原因究明と再発防止、綱紀粛正が求められてきましたが、残念ながら大きく変わること無く問題が露呈し続けています。
 普天間基地返還合意から28年が経過しましたが、現状は何ら変わらずむしろ悪化していると言っても過言ではありません。普天間基地の撤去は、日米両政府で合意し、県民誰もが強く求めているところであり、決して忘れ去られてはなりません。
 沖縄国際大学は、琉球・沖縄の歴史の中で、人々が求め続けてきた「真の自由と、自治の確立」を建学の精神として、地域に根ざし、世界に開かれた大学を目指し開学しましたが、この米軍ヘリコプター墜落事件は本学の歴史に大きな傷跡を残しました。事件から20年経過してもなお変わらぬ現状に強い憤りを感じます。安全・安心・平和への思いは、大学人に限らず、思想・信条を超えて万人が求めるところであります。大学や地域社会の平穏・安寧を脅かす普天間基地の存続、ましてや固定化を、認めることは絶対にできません。
 沖縄国際大学は、米軍ヘリコプター墜落事件から20年にあたって、危険この上ない普天間基地を即時閉鎖し、撤去することを、ここに改めて日米両政府に強く要求すると共に、平和を希求する沖縄の思いを世界に発信し共有されることを願います。