沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落から、21年目を迎えて(声明)
文書
米軍ヘリコプター墜落から21年目にあたり(声明)
2004年8月13日のこの時間に、米軍ヘリコプターが墜落炎上し、学生、教職員、市民、県民を恐怖に陥れてから、今日で21年が経過しました。何も変わらない現状と今後の展望が見通せない未来に大きな危機感を覚えます。
あの日の墜落現場の惨事と米軍の理不尽な事故処理に対する市民、県民の強い憤りが、時間の経過と共に薄れていくことが非常に残念でありますが、米軍ヘリコプター墜落事件の惨事の記憶を風化させてはいけません。
昨年20年目の節目にあたり、本学では平和宣言を採択し、学年暦に「沖縄国際大学平和の日」を制定いたしました。これは、学年暦に記載することにより学生、教職員はもとより保護者や学外者に広く周知することが可能となり、本学関係者が事件から学んだことを繰り返し考える日としたいという想いからであります。
「平和の日」は平和を考える日、平和を希求する日など、当事者自身がそれぞれ想像することに意義があると考えております。米軍ヘリコプター墜落事件に対する憤りの記憶を改めて鮮明に呼び覚まし、この記憶を受け継ぐとともに、事件以来、求め続けてきた普天間基地の早期閉鎖を繰り返し要求し、ここに強い決意を込めて「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さを語りつぐ集い」を開催し、声明を発表します。
沖縄の安全・安心・平和が脅かされていることは、全国土面積のわずか0.6%の沖縄に在日米軍専用施設面積の約70%が集中し、幾度となく米軍関係の事件・事故が起きていることからも明らかであります。
米軍機関連では昨年11月に国頭村宜名真の牧草地に海兵隊のUH1ヘリコプターが不時着、本年5月に同じくUH1ヘリコプターから発火性のある信号炎管を含む重さ18㎏のバッグが民間地に落下するなどの事故がありました。
また、本年1月には輸送機MV22オスプレイによる物資投下訓練で提供区域外に400㎏以上の貨物を落下させる事象があり、オスプレイ機に関しては7月にも岩手県花巻空港に緊急的着陸を行っております。
このような状況下で普天間基地の2024年度における米軍機の離着陸回数が17853回と前年に比べ約4割増加し、防衛省沖縄防衛局が調査を開始した2017年以降で過去2番目に多かったことが報告されております。
本学において重要な行事である一般選抜試験日においても多くの離発着が確認され、騒音による影響の大きさを改めて実感する結果となりました。
また、日米の騒音防止協定で運用が制限されている午後10時から午前6時までの深夜・早朝の離着陸の回数は443回と34%増加した昨年度441回からほぼ横ばいの状況となっており、日米騒音防止協定による深夜・早朝の飛行制限が形骸化しております。
普天間基地返還合意から29年が経過しましたが、状況は何ら変わらずむしろ悪化していると言っても過言ではありません。普天間基地の撤去は、日米両政府で合意し、県民誰もが強く求めているところであり、決して忘れてはなりません。
沖縄国際大学は、琉球・沖縄の歴史の中で、人々が求め続けてきた「真の自由と、自治の確立」を建学の精神として、地域に根ざし、世界に開かれた大学を目指し開学しましたが、この米軍ヘリコプター墜落事件は本学の歴史に大きな傷跡を残したばかりでなく、事件から21年経過してもなお変わらぬ現状に強い憤りを感じると共に失望の念を禁じ得ません。
安全・安心・平和への思いは、大学人に限らず、思想・信条を超えて万人が求めるところであります。大学や地域社会の平穏・安寧を脅かす近接する普天間基地の存続、ましてや固定化を、認めることは絶対にできません。
沖縄国際大学は、米軍ヘリコプター墜落事件から21年目にあたり、危険この上ない普天間基地を即時閉鎖し、撤去することを、ここに改めて日米両政府に強く要求すると共に、平和を希求する沖縄の思いを世界に発信し共有されることを願います。
沖縄国際大学
理事長・学長 安里 肇
理事長・学長 安里 肇