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米軍ヘリ墜落事件

沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落から、19年目を迎えて(声明)

文書
沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落から、19年目を迎えて(声明)

沖縄国際大学      
理事長・学長 前津 榮健


2004年8月13日、この場所この時間に、米軍ヘリコプターが墜落炎上し、学生、教職員、市民、県民を恐怖に陥れてから、今日で19年目を迎えます。あの日の墜落現場の惨事と米軍の理不尽な事故処理に対する市民、県民の憤懣やるかたない強い憤りが、時間の経過と共に薄れていくことも残念ながら現実でもあります。米軍ヘリコプター墜落事件の惨事の記憶を風化させてはなりません。我々は今日、ヘリコプター墜落事件に対する憤りの記憶を改めて鮮明に呼び覚まし、受け継ぐとともに、事件以来求め続けてきた普天間基地の閉鎖を繰り返し要求し、ここに強い決意を込めて「普天間基地の閉鎖を求め、平和の尊さを語りつぐ集い」を開催し、声明を発表します。
沖縄の安全・安心・平和が脅かされていることは、全国土面積のわずか0.6%の沖縄に在日米軍専用施設面積の70.3%が集中し、幾度となく米軍関係の事件・事故が起きていることからも明らかであります。普天間基地所属米軍機の昨年の運用状況をみると、全機種の離着陸回数は1万5948回で前年に比べ11.5%減となっていますが、外来機は3293回で3.1%増え、過去5年で最も多く、全体に占める割合も20.6%で過去最多となっています。外来機の機種をみると、最も騒音の激しい最新鋭ステルス戦闘機やF18戦闘機、P8対潜哨戒機、それに加え、欠陥を抱えたMV22オスプレイが市街地上空を旋回し騒音をまき散らしています。また、深夜・早朝の飛行を制限する日米騒音防止協定はまったく無視され空洞化しているのが現状です。更に、基地周辺で発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)汚染が懸念されていますが、基地内での立ち入り調査は未だ認められておりません。住民は騒音被害、環境汚染など依然として基地負担を強いられているのが現状です。
普天間基地返還合意から今年4月12日で27年が経過しました。「5~7年で返還」との返還期限はとうに過ぎましたが、先に述べたように現状は何ら変わらずむしろ悪化していると言っても過言ではありません。普天間基地の撤去は、日米両政府で合意され、県民誰もが強く期待しているところであり、決して忘れ去られてはなりません。
沖縄国際大学は、琉球・沖縄の歴史の中で、人々が求め続けてきた「真の自由と、自治の確立」を建学の精神として、地域に根ざし、世界に開かれた大学を目指し開学、昨年2月創立50周年を迎えましたが、ヘリ墜落事件は本学の歴史に大きな傷跡を残したばかりでなく、変わらぬ現状に憤りを感じると同時に無念でなりません。安全・安心・平和への思いは、大学人に限らず、思想・信条を超えて万人が求めるところであります。大学や地域社会の平穏・安寧を脅かす普天間基地の存続ましてや固定化を、認めることはできません。
沖縄国際大学は、本学へのヘリコプター墜落事件から19年目の今日、危険この上ない普天間基地を即時閉鎖し、撤去することを、ここに改めて日米両政府に強く要求すると共に、平和を希求する沖縄の思いを世界に発信し共有されることを目指します。