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日本文化学科のブログ

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【連載①ゼミナール入門ーー西岡敏先生「琉球言語から多文化共生を考える」ゼミのご紹介】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。

9月24日の「ゼミナール入門」第一回目は、琉球文化コースを担当している西岡敏先生が登場。以下、当日の授業内容を簡単にご紹介します。
受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。

◎西岡敏先生はどんな研究をしているの?
西岡先生は、琉球言語を専門に研究しています。最近では「しまくとぅば」とも呼ばれ親しみもある琉球言語ですが、多様な発音があることが大きな特徴です。
たとえば、奄美の古仁屋方言では英語のように子音で終わることや、竹富方言ではフランス語などにみられる鼻母音があるなどがあげられます。このように独特の特徴がある琉球言語ですが、琉球処分や標準語励行運動などにより、抑圧されてきた歴史があります。多文化への関心・アイデンティティから言語復興の時代になった現在でも、日本国内の危機言語8つの内、琉球列島内の言語が6つもあるという状況にあります。
さらに、話者の多い多数派方言が優位に立ち、少数派方言を排除・抑圧しているという問題もあるそうです。講義では、言語再生運動の紹介として、沖縄県が行っているしまくとぅば運動のひとつである「しまくとぅば読本」や、ハワイ語再生運動のひとつハワイ大学ヒロ校のハル・オーレロ(言語の家)を紹介してくださいました。学生たちも、ハワイでの貴重なお話を興味深く聞いていました。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
西岡先生のゼミでは、①しまくとぅば・島言葉を知る、②フィールドワーク、③しまくとぅば再生への取り組みを行っています。実際にしまくとぅばを聞き、読み、分析を重ねて理解を深めていくゼミです。フィールドワークでは、話者の方への聞き取り調査を毎年夏休みの期間を利用して行っているそうです(昨年は伊是名島、今年は与論島に行きました⇒写真も見てね)。言語以外にも、琉球文化の研究をすることもできます。

ゼミ生は次のようなテーマで卒論を書いています。
・組み踊りについての研究
・瀬底方言についての研究
・言語復興についての研究

◎西岡先生からの一言
沖縄を中心に色々なことを学べ、かつ将来に結び付けることができる可能性のあるゼミだと思います。沖縄について学びを深めることは、教職を目指す人、司書を目指す人にとってもとても大事ですし、文化コンテンツを活かした観光業や公務員と言った職業にも役立ちます。西岡ゼミは企業内定率も高く、教員採用試験合格者もたくさん出ています。琉球言語・文化に興味のある人はぜひ選択支のひとつとして考えてほしいです。

次回の「ゼミナール入門」は、琉球の神話・芸能・昔話や民謡の研究を行っている狩俣恵一先生です。お楽しみに!