【4年間をふりかえって その④】
そのほかもろもろ
【4年間をふりかえって その④】
大学卒業を迎えた学生が4年間をふりかえる企画の第4弾は、文学の学びをめいいっぱい楽しんだ学生です。
ぜひ、読んでみてください。

長く思えた日々が、終わってみるととても短い合間の出来事だったように感じています。私はこの大学生活の中で、ろくに友人も作ろうとせず、サークルに所属なんてしないまま、ボランティアはおろかアルバイトもせず、資格も取得しませんでした。就職活動も、四年生の春にようやく動き始めたほど腰の重い人間です。そんな私の、講義だけを楽しみになんとなく通い続けた4年間のうち、特に印象的だった講義を三つほど紹介したいと思います。
3年生の頃、夏目漱石の『こころ』だけに焦点を当てて文学研究に挑戦する講義がありました。そのなかで、「お嬢さん」が「先生」の嫉妬心や結婚を希求するよう煽っていたとする策略家説や、「K」と「先生」・「先生」と「私」の関係性からホモソーシャル文学として読む見方、夏目漱石の生育環境と照らし合わせて『こころ』を読む見方など、一つの作品とは思えないほど多彩な読み方ができるのが印象的でした。私はこの講義をきっかけに文学研究の面白さに目覚めて教職課程を辞め、近代文学ゼミを選択しました。文学研究は趣味としての読書とは違い、何度も再読させられ、また一行を舐め回すように読むことが求められます。この作業を楽しいと思えるかどうかが判別できる講義でした。
「文学実作演習」という講義は、四年間で最も特別なものとして記憶に残っています。私はこの講義で、人生で初めて小説を書きました。日本文化学科では二万字程度の卒業論文が要求されますが、その半分以下しか要求されないにも関わらず、卒業論文よりも余程の苦しみをもって襲いかかってきます。他講義のレポートに取り組むのが息抜きとなったのは、後にも先にもこの時だけでした。産む苦しみはもちろんのこと、物語を終わらせることがどんなに難しいかという問題に直面できます。世の中に出ている小説すべてが尊く思える、とても素晴らしい講義でした。
文学関係以外だと「芸術学」が面白かったです。絵画の技法だけでなく、その絵画によって引き起こされた世論や時代背景なども含めて先生の軽快なトークで紹介されるため、印象に残りやすかったです。私はこの講義をきっかけに好きな画家ができ、気づいたら東京駅の近くにある美術館に立っていました。

日本文化学科に入学する皆さんは、たくさんのレポートに向き合うと思います。その全てのデータを保存しておくことをお勧めします。卒業した後に見直してみると、自分では思いもよらなかった傾向が見えてきます。今回の執筆をきっかけに振り返ってみると、卒業論文も含めて、様々なレポートにおいて変化と受容を取り上げていることがわかりました。見直していて少し怖かったです。
振り返りは以上となります。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後にはなりますが、この場を借りて関わった全ての先生方に感謝申し上げます。また私を信頼し、時には鼓舞してくれた父と、支えてくれた母には特に深い感謝を捧げます。4年間、ありがとうございました。

大学卒業を迎えた学生が4年間をふりかえる企画の第4弾は、文学の学びをめいいっぱい楽しんだ学生です。
ぜひ、読んでみてください。

長く思えた日々が、終わってみるととても短い合間の出来事だったように感じています。私はこの大学生活の中で、ろくに友人も作ろうとせず、サークルに所属なんてしないまま、ボランティアはおろかアルバイトもせず、資格も取得しませんでした。就職活動も、四年生の春にようやく動き始めたほど腰の重い人間です。そんな私の、講義だけを楽しみになんとなく通い続けた4年間のうち、特に印象的だった講義を三つほど紹介したいと思います。
3年生の頃、夏目漱石の『こころ』だけに焦点を当てて文学研究に挑戦する講義がありました。そのなかで、「お嬢さん」が「先生」の嫉妬心や結婚を希求するよう煽っていたとする策略家説や、「K」と「先生」・「先生」と「私」の関係性からホモソーシャル文学として読む見方、夏目漱石の生育環境と照らし合わせて『こころ』を読む見方など、一つの作品とは思えないほど多彩な読み方ができるのが印象的でした。私はこの講義をきっかけに文学研究の面白さに目覚めて教職課程を辞め、近代文学ゼミを選択しました。文学研究は趣味としての読書とは違い、何度も再読させられ、また一行を舐め回すように読むことが求められます。この作業を楽しいと思えるかどうかが判別できる講義でした。
「文学実作演習」という講義は、四年間で最も特別なものとして記憶に残っています。私はこの講義で、人生で初めて小説を書きました。日本文化学科では二万字程度の卒業論文が要求されますが、その半分以下しか要求されないにも関わらず、卒業論文よりも余程の苦しみをもって襲いかかってきます。他講義のレポートに取り組むのが息抜きとなったのは、後にも先にもこの時だけでした。産む苦しみはもちろんのこと、物語を終わらせることがどんなに難しいかという問題に直面できます。世の中に出ている小説すべてが尊く思える、とても素晴らしい講義でした。
文学関係以外だと「芸術学」が面白かったです。絵画の技法だけでなく、その絵画によって引き起こされた世論や時代背景なども含めて先生の軽快なトークで紹介されるため、印象に残りやすかったです。私はこの講義をきっかけに好きな画家ができ、気づいたら東京駅の近くにある美術館に立っていました。

日本文化学科に入学する皆さんは、たくさんのレポートに向き合うと思います。その全てのデータを保存しておくことをお勧めします。卒業した後に見直してみると、自分では思いもよらなかった傾向が見えてきます。今回の執筆をきっかけに振り返ってみると、卒業論文も含めて、様々なレポートにおいて変化と受容を取り上げていることがわかりました。見直していて少し怖かったです。
振り返りは以上となります。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後にはなりますが、この場を借りて関わった全ての先生方に感謝申し上げます。また私を信頼し、時には鼓舞してくれた父と、支えてくれた母には特に深い感謝を捧げます。4年間、ありがとうございました。


