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日本文化学科のブログ

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【国語科教職課程の恒例行事、教職春合宿を開催しました!】

国語科教職課程通信
 日本文化学科では、中・高国語科の教員免許の取得に向けて、多くの学生が勉学に励んでいます。教職課程の学びの一環として、3月4日(月)~6日(水)の三日間、沖縄県立名護青少年の家で春期合宿が行われました。

合宿研修は、①国語科教員を目指す上での知識を深め、国語科教員に向けての意識を高めること。②団体行動を通して、協調性・社会性を養い自主的に行動すること。の2点を目的に、かれこれ30年は続く教職の中核行事となっています。

 今年は、これまでの教材研究を中心とした研修のあり方を変え、1年次から4年次までが事前に教材研究してきたことを元に、班ごとに問い(学習課題)を検討し、指導案を作成。その指導案をもとに、教職課程担当の田場先生、桃原先生が示範授業を行い、研究討議を行いました。

 中学校3年教材の「少年-海(芥川龍之介)」では、語りに着目した読みの交流により、読みの幅を広げる学習を計画した班が代表に選ばれました。授業の柱となる問いは、①語り手は誰かを考える。②8段落「人生に横たわる代赭色の海にも目をつぶりやすい」とは、どういうことか。③8・9段落の語り手は誰か、その理由も考え、グループで交流する。の3つ。授業では、問い①の指摘が曖昧だったために、多様な語りを検討させる学習とならず、作者などの超越的な語り手という読みに偏ってしまいましたが、発問の立て方で授業の成否が決まることを体感する機会になりました。





 高等学校の「たきび(三浦哲朗)」は、キーワードから関係性を見出すことを単元名に、「「火」がつなぐ彼と里子の関係性について考えよう」というめあてを立てた班が代表に選ばれました。問いは、①作品における「火」の種類と位置づけをする。②どのような場面でその「火」が出てきているのか、「炎、火、下火」に込められた意味を考えよう。③①②を踏まえて、「火」がつなぐ彼と里子の関係性を考えようの3点。授業では、「「彼」にとって「暖炉」の火はどのようなものか」に焦点を当て、彼の心情をフィッシュボーンを用いて抜き出し、それ以外の「火」との違いを可視化させる活動が行われました。



 最終日の指導案作成報告会では、4年次の與那原さんから「「少年-海」では作品の特徴である語り手に気付き、問いにうまく活かせた班も多くありましたが、最後の8・9段落の価値についてはあまり押さえられていませんでした。最後の2段落は解釈が簡単ではないので目を背けがちですが、このような部分が問いになったり、深い学びを促すので、教材は納得するまで読みましょう。」とのコメントがありました。

また照屋さんからは、「「たきび」を扱ったグループ全体に共通する課題として「この教材でしかできないこと」を指導案に反映することができていなかったことがあげられます。「この教材でしかできないこと」を指導案に反映するには、①「この教材で〜」を見つけること、②見つけたことを指導内容に組み込むことの二つの段階があると考えられます。

 まず①を見つけるためには、他と比べるなかでその教材を捉えていくことが必要だと思います。例えば野球チームにピッチャーが1人しかいなければ、そのピッチャーの持ち味は分かりません。しかし3人いれば、それぞれの能力を比べながら一人一人の特徴を見出すことができます。教材も同じように、それだけを読むのではなく、同じ領域等の他の教材と比べることが大切です。

 次に②指導内容に組み込むためには、根本から問い直すことが必要だと思います。今回は学習指導要領の事項に沿うようにと考えすぎたことで、教材の特長と違う部分を指導内容に組み込んでしまうグループが多くありました。指導要領等、今あるものを鵜呑みにせず、この教材で本当に教えるべきことを自分なりに考えていくことが大切です。」との振り返りがありました。

 3・4年生にとって、後輩の意見や疑問を引き出しながら指導案を作成する今回の研修は、知識を教えることと、対話で考えを創造させることとのバランス取りが難しかったようですが、レク係による毎時間初めのアイスブレイクで、いつの間にか打ち解けて、仲の良い学び合うメンバーになっていました。



※写真は初日の様子より。