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日本文化学科のブログ

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【<文学>を学ぶってどんなことなの? 村上陽子先生「ゼミナール入門」より】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があり、毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。

10月7日の「ゼミナール入門」第3回目は、日本近代文学研究を担当している村上陽子先生が登場。当日の授業内容を簡単にご紹介しますので、受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。



◎研究室ではどんな研究をしているの?
村上先生は日本近代文学の研究をしており、「現実と文学の結びつき」をメインテーマに、明治期から現代にいたるまでの小説を幅広く研究なさっています。大学生時代に文学研究の道に足を踏み入れ、大学院時代には、沖縄にまつわる作品の研究や出身地である広島にまつわる作品を「戦争」という共通のキーワードで紐解いた論文を執筆されています。
今回のプレゼンテーションでは、ゼミの紹介、文学研究の入り口とも言える「テクスト論」の紹介、現4年次による卒業研究テーマの紹介がありました。

現代の文学研究は「テクスト論」という理論を用いた研究が主流となっています。このテクスタイル(織物)に語源を持つ言葉を冠した理論は、書かれた作品を「縦糸」とし、私たち読者の読み・解釈を「横糸」とすることで、織物の色彩を作り出すように、一つの作品に対する読みを広げていくものだそうです。かつて、神聖視されていた「作者」の思想・心情を別として、現代の読み手がどのように深く作品を読むのかを追及することが、現代の文学研究で大切にされていることだと語っていました。また、作品の外に飛び出していくアプローチもあり、例えば夏目漱石の「こころ」が新聞連載小説であったことに注目し、陶磁の人々が新聞記事の内容と併せてどのように読んでいたのかという視点からの研究もできるそうです。

現4年次の卒業研究テーマ紹介では、ゼミ生の吉川さん、富永さん、仲宗根さんの3名が、自らが研究対象に選んだ作品について熱く語ってくれました。また、仲宗根さんは教職課程、日本語教師課程も履修しているのですが、専門から外れたこのゼミへ進んだことで、自身が学んでいる専門科目への新しいアプローチが出来るようになったと話しており、2年生も熱心に耳を傾けていました。



◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
村上ゼミでは、明治から現代にかけての日本文学や、アニメ・マンガなどのサブカルチャーを対象として主にテクスト論を用いた研究を行っているそうです。ゼミ生たちは次のようなテーマで卒論を書いています。

・「千と千尋の神隠し」論―都市空間「油屋」の構造とシステム
・少年たちの幸福―宮沢賢治「銀河鉄道の夜」論
・ジェンダーの観点からの考察―中村明日美子「Jの総て」論
・金が生み出すエゴイスト―夏目漱石「こころ」論
・時代状況からみる河童―芥川龍之介「河童」論



◎村上先生からの一言
ゼミでは多くの作品を読み、理解を深める為に議論を行うので、知識や多角的な視点、司会進行の力やプレゼン能力も鍛えることが出来ます。また、文学研究は「自分の好きなこと」に真摯に向き合って取り組んだ、という大きな自信に繋がり、それは皆さんの多くが頭を悩ませる就活でもアピールポイントとなります。ゼミ生も根っからの文学好きだけではなく、文学にあまりなじみのない先輩もたくさんおり、ゼミ合宿などもにぎやかです。文学研究に少しでも興味があれば、ぜひ村上ゼミに来てくださいね。

来週の「ゼミナール入門」は多文化間コミュニケーションコースの授業や日本語教師養成課程を担当している奥山貴之先生が登場します。お楽しみに!