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日本文化学科のブログ

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【琉球文化・芸能を学ぶとは? 狩俣恵一先生の最後の「ゼミナール入門」より】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、3年生から選択する研究室決定の参考にしてもらっています。



2020年1月20日の「ゼミナール入門」では、琉球文化コースの中で芸能論を中心に授業を担当されている狩俣恵一先生が登場されました。狩俣先生は今年3月末で定年退職となりますので、ゲストとして狩俣先生の後任の先生もお招きして、琉球文化・芸能を専門的に学ぶとはどういうことか、レクチャーしていただきました。
当日の授業内容を簡単にご紹介しますので、受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。

◎狩俣先生からのメッセージ
古くから伝わる琉球の文化は、日本の古典文化と同じように、武士の階級がたしなんだ優雅な文化と、町人が楽しんだにぎやかな文化の2つに大きく区分できます。琉球の場合は、武士=官人・役人が楽しんだ組踊などの文化と、村人が楽しんだエイサーや伝統芸能などに区分できるそうです。いわゆる「王府文化」と「庶民文化」の2つです。

琉球文化を学ぶ、という場合、まずイメージするのは王府文化かもしれませんが、2つの視点を持つことが非常に重要です。王府文化を学びながら高い教養を身に着けることもできますし、地元に密着した庶民の文化に興味を向けることもとても大切です。
また、現代では組踊をもっとわかりやすく伝えていこうという視点から、そこに楽しい・にぎやかな要素を取り入れる形で、王府文化と庶民文化の融合も見られます。今後、沖縄の芸能文化がどのように進んでいくか・いくべきか、ということを考察することも、琉球文化研究の大事な視点です。

◎琉球文化コースの学生たちはどんな研究をしているの?
狩俣先生のゼミでは、琉球の言語文化を通して、芸能、昔話、民謡などを中心に研究を行っています。実際に、地域の伝統行事などをゼミ生と見に行くことなどもあるそうです。今年度のゼミ生(4年生)は次のようなテーマで卒論を書いています。
・道成寺と執心鐘入の比較研究
・羽衣伝説の比較研究
・グイスの研究
・伝統エイサーと創作エイサーの比較研究
・琉歌の研究―節名と歌詞について―
・琉球舞踊の研究
・蛇聟入の比較研究
・「ザン」についての研究



◎新任の先生からのメッセージ
この日は、狩俣先生の後任として4月から学生とともに琉球文化研究室を運営していく新任の先生にもご挨拶に来ていただきました。新しい先生は沖縄ご出身で、琉球の古典芸能コンクールでも受賞歴がある、研究者であり、実演家・表現者でもある先生です。中国への留学経験もあるとのことで、沖縄の文化は、そのルーツを探って海外の文化と比較・対照する視点でも研究が深められるというお話しもありました。
また、4月から研究室でともに学ぶ学生たちへ、
「大学は自分の疑問を解決する場です。皆さんも自分の疑問をまず見つけて、いろいろなことに問題意識や疑問をもって、卒業研究を通して考える力を身に着けてほしいです。4月から一緒に頑張りましょう」
というメッセージも頂きました。



2年生への各研究室のプレゼンテーションも本日で終了。あとは各ゼミの選考を受けるための研究計画書の作成という大きな課題が待っています。2年生の皆さん、希望する研究室に進めるように最後までしっかり頑張ってください!