文字サイズ

日本文化学科のブログ

ブログ

【卒業論文奨励賞 授賞式&報告会を行いました!】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、4年生による卒業論文の執筆が必修化されており、各専門領域の下で各自が興味関心のあるテーマや題材を決めて、1人あたり50枚から(長い場合は)200枚に及ぶ論文を執筆することになっています。そして、学科の「ディプロマポリシー」に即して、学術的に価値の高い論文、または将来の進路につながるような卒業研究を行ったを学生を表彰する「卒業論文奨励賞」の表彰を2年前から実施しています。





2020年2月3日の2年生必修科目「ゼミナール入門」では、今年度の卒業論文の奨励賞受賞者9名による報告会を開催しました。奨励賞受賞者は以下の通りです。

【国語教育分野】
●漢字指導における機械的反復練習法の効果について
●クリティカル・リーディングの指導と評価法
【文学分野】
●資本主義の餌食ー葉山嘉樹論
●『セロ弾きのゴーシュ』における境界の研究
●田山花袋「少女病」論ー杉田古城にみる近代男性のまなざしの誕生をめぐって
【言語学分野】
●谷崎潤一郎「少年」における勅諭表現ー五感による認知に注目して
●聴覚障がい者はどのような国語教育を受けて、どのようなことを感じていたか。
【古典文学分野】
●芥川龍之介「桃太郎」論ー善悪構造の分析から観る桃太郎像
【図書館情報学分野】
●学校図書館におけるライトノベルの取り扱いに関する一考察ー沖縄県内の小中・高校の学校司書を対象とするアンケート調査より









報告会では、卒論を終えた4年生から、これからゼミに入り、卒論に取り組んでいく2年生に向けてのメッセージとして、
「卒業研究では、自分の好きなことかつ、長年の疑問を解決できるテーマに設定すると、辛さの中にも楽しさを見出すことができ、最後まで全力でやり遂げることができると感じました。」
「日本文化学科のゼミは、それぞれ違った特徴をもっていると思うので、自分に合った領域・環境であるゼミを見つけるといいと思います。」
「自分が興味をもった分野について深く研究できたことは素晴らしい経験になったと思います。模擬授業や教育実習と卒業論文の両立は大変だと思いますが、頑張ってくだい!」
などのコメントがありました。



報告後は表彰式が行われ、さらに各研究室の指導教員からのコメントがありました。図書館情報学担当の山口先生からは、受賞者の宮城さんへの以下のような講評と2年生への研究室選択に向けてのアドバイスが寄せられました。
-------------------
図書館情報学のゼミからは、宮城さんの卒業論文を奨励賞として選出しました。
図書館情報学という学問は、2年生のみなさんが普段学んでいる文学や言語学とは違って、歴史の浅い学問です。ですので、研究成果の厚みはあまりありませんが、その分、まだ解明されていない謎も多く、誰もまだ着手していない新しい研究ができるという面白さもあると思います。
宮城さんの卒業研究は、学校図書館での「図書館の自由」の実践というレアなテーマと、さらにそこに「ライトノベル」というサブカルチャーを掛け合わせたもので、ほとんど誰もまだ研究していないことに取り組んだという点がまず高く評価できる論文でした。また、沖縄の小中学校、高校のすべてを対象とする膨大な量の調査を実施した点や、関連領域の先行研究の調査も、司書課程での学びを生かして、徹底的に行っている点、図書館学の分野ではよくある、噂レベルで言われていることが実際にどうなのか、を科学的な手法で冷静に検証した点も、奨励賞にふさわしい内容だと思います。

さて、宮城さんは春から県立高校で働くことになりますが、司書に必要な資質の1つは、利用者が読みたいものを否定しないということだと思います。なぜなら、読みたい気持ちを否定することはその人の人格そのものを否定することにつながるからです。ですので、ライトノベルのような若い世代に人気がある本が好きだということは、学校の司書としてとても良い資質だと思います。ただ、宮城さん自身もいつか歳を取って、もしかするとライトノベルを卒業する時が来るかも知れません。そんなときはこの卒論を読み返して、司書にとって大切なことを思い出してほしいなと思います。

その他の受賞者の皆様も、卒論をやり切った人にしかできないたくましい表情をしていて、頑張った様子が伝わってきました。2年生の皆さんも2年後はここに立っていることを目指して頑張ってください。改めて、受賞されたみなさま、おめでとうございます。
-------------------

4年生がしっかり取り組んでくれた卒業論文は、各研究室にて「卒業論文集」として1冊の本にまとめ、学科の資料として大切に後輩に引き継いでいきます。卒論をしっかり取り組んだからこそ見せてくれる素敵な笑顔に溢れた報告会は、これから研究室を選択して、卒業論文に取り組んでいく2年生にとってもよい刺激になったと思います。

奨励賞受賞者の皆さん、おめでとうございます。そして、2年生のみなさんも、2年後の卒論奨励賞を目指して頑張っていきましょう!