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日本文化学科のブログ

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【「多文化体験実習」で東京に行ってきました】

多文化間コミュニケーションコースの取り組み
 日本文化学科の科目の中に「多文化体験実習」という科目があります。集中講義形式で様々な場所を訪れ多文化について学ぶことを目的とした科目です。
 
 2022年度は、東京に行ってきました。企業における外国人人材の採用や活躍を支援するコンサル企業、沖縄からの移住者や海外うちなーんちゅ(海外に移住した沖縄出身の人やその子孫)が多く住む横浜市の鶴見区を訪問し、多様な背景を持つ人がどのように共生していくのか考える材料を得ました。
以下、学生からの報告です。



 今回は横浜市鶴見区の見学と、内定ブリッジ株式会社のコンサルの様子を見学をさせてもらいました。
 まず、横浜市鶴見区の見学では、事前学習で、現地の横浜市鶴見区は沖縄と南米にゆかりのある場所であることを学びました。戦前では、工業地帯としての横浜があり、労働力として朝鮮や沖縄などから人が集まりました。プラザ合意による円高と南米全域でのハイパーインフレと経済状況の悪化で、ボリビアやブラジルからの移民がありました。こうした歴史背景があり、現在の横浜市鶴見区が形成されてきたことを考えると、改めて、多様な人種の人達に支えられていることを実感しました。現地では、いくつかの南米料理店が見られ、どれもメニューの内容として肉系が多いことが見られました。沖縄や南米料理を食べたいときには、食事処として非常に良い地域だと考えました。

 また、連続テレビ小説「ちむどんどん」の、舞台にもなっており、地域発信の面や、観光業にも取り組んでいることが分かりました。ドラマの舞台にもなっているので、現地は賑わっているのではないかと出発前は考えていましたが、実際には「住宅街」が広がっており、小さな観光スポットとしての役割であると思いました。南米料理専門店の他に、「沖縄物流センター」や、「沖縄そば屋」といったものが見られました。沖縄と南米意識が強く感じられました。横浜市鶴見区を訪れたことにより、歴史的背景を考えることの重要性を学ぶことができました。沖縄と南米の文化を取り込みながら、「多文化共生」のための取り組みも強化してほしいと感じました。



 次に、内定ブリッジ株式会社のコンサル見学をさせてもらい感じたことが、外国人材に適した、会社内での育成プログラム作成が重要だと考えました。今回は、建設系の会社のコンサルを見学しましたが、外国人材の採用後のプログラムについてお話を聞くことができました。これほど外国人材を育成するために力を入れている会社は見たことがなく、「多文化共生」の観点から外国人材に寄り添える取り組みだと思いました。その反面企業側の社内課題として、受け入れ態勢が確立していないところが多くあることが事前学習で分かりました。その他にも、外国人側の就活問題や企業側採用問題もいくつかありました。見学できた建設系会社のような、外国人人材に適したプログラムを社内で作成していくことが、これからの労働力不足の日本を支えることに繋がってくると考えました。

 そして、内定ブリッジの事業内容も興味深いものでした。日本語のレッスンや研修を外国人材向けにした内容の事業をしており、外国人材を積極的に採用したい会社に、手厚いサポートができる内容となっている。これらをボランティア活動としてやっているところは聞いたことがありますが、事業として展開している会社は少なく、その中で事業を成功させていることは非常に難しいことだと感じました。労働力不足が深刻な日本では、これから外国人材を採用していく会社は増えてくると考えられる。そのため、「内定ブリッジ株式会社」のような外国人材の受け入れを支援してくれる会社は重要なものになるため、さらに事業を幅広く展開させてほしいと思いました。ビジネス日本語に限らず、専門的な業種ごとに分け、頻繁に使用される語彙を抽出し、多様性を目指すのも面白い取り組みになると考えました。そうすることで、より安定した日本語教育を提供することができると共に、たくさんの会社をサポートすることができるのではないでしょうか。








 最後になりますが、多文化体験実習を通して、多様な人達と触れ合うことができました。沖縄では、見ることが少ない、南米料理専門店や、聞いたことが少ないポルトガル語なども聞くことが出来ました。現地の人達とたくさん交流する機会は取れませんでしたが、内定ブリッジのコンサル見学と合わせて、非常に良い経験になったと思いました。この経験を糧に、外国人材に関わる職業や、「多文化共生」について深く考えていきたいと思います。

 外国人材の話や会社の話を聞かせてくれた内定ブリッジ株式会社の「淺海」さん、引率してくださった「奧山貴之先生」、多文化体験実習に関わってくれた皆様、本当にありがとうございました。