文字サイズ

日本文化学科のブログ

ブログ

【2年生による優秀レポートの報告会&授賞式が開催されました!】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、2年生必修科目として前期に開講されている「アカデミック・ライティング」において、3年生から本格的にスタートする卒業論文を書くためのレッスンとして、学術論文のテクニック、先行研究の調べ方・引用方法、テーマの決定方法、分析方法などを、学科ライティングセンターによるサポートも受けながら学んでいきます。そして、夏休みの課題として、日本文化学科の専門領域である文学や言語学などをテーマとする論文執筆を全員に課し、各クラスごとに優秀レポートを選出し、その報告会・授賞式を後期必修科目である「ゼミナール入門」の中で行っています。

今年度は、厳正な審査のもと3名による以下のテーマによる論文が優秀賞を受賞しました。

「英語の教科書にみる人種差別的表現の実態ー1980年代と2020年代の教科書を比較して」
「ことわざからみるジェンダー観ーAIテキストマイニングを手法として」
「食に関するオノマトペは日本語と英語でどのように違うのか?」







「英語の教科書にみる人種差別的表現の実態ー1980年代と2020年代の教科書を比較して」は、中学校、高校で使用されている英語科の教科書の中に登場する「イラスト」に注目し、古い教科書では、英語を使う外国人=白色人種に限定されており、アフリカ系の人やアジア系の人といった、有色人種が描かれていないのではないか、また、白色人種のイラストについても、鼻が高い、目が青い色、金髪、といった、いわゆる「ステレオタイプ」的な表現が多いのではないか、という仮説を立てて、15冊の教科書を分析するというレポートです。

1冊の教科書に出てくる外国人のイラストは何十人にもおよぶため、そのひとり一人を分析していくくのはかなりのスケールになります。丁寧な調査、分析の結果、当初の仮説通り、1980年代の教科書の多くは、英語を使う外国人=白色人種、かつ鼻が高い、金髪といったステレオタイプ的表現がみられること、2020年代に入ると多様な人種、特徴をもつ人々が描かれるようになること、などが明らかとなっただけでなく、出版社別に分析すると、1980年代であっても、すでに人種の多様性に配慮した会社があった、という意外な結果も示され、会場からは驚きの声が聞こえてきました。







今後、本日の報告をふまえて、日文の先生たちの会議の中で3本の論文の中から「最優秀賞」が選出され、来年度の夏休み前に1年生向けのブックガイド『にちぶん 羅針盤(こんぱす)』に掲載される予定です。



「ゼミナール入門」という授業は3年生から始まる各研究室での卒業研究に向けて、研究室のテーマと学生一人ひとりのやりたいことにミスマッチが生じないように、毎週、各研究室の紹介や研究計画の立て方など、さまざまなことを学んできました。2年生のみなさん、ゼミの希望調査と選考は目前です。本日の3人の優秀賞受賞者のレポート報告を通して、研究をするということはとても楽しい、面白いことだと感じられたのではないかと思います。
また、惜しくも受賞は逃しましたが、夏休みのレポートを楽しみながら取り組めた人の中には、このレポート作成が実は3年生からのゼミの研究テーマの設定にもつなあっていたことに気が付いた方も多いのではないでしょうか。

2年生のみなさん、研究計画書の作成、楽しみながらがんばってくださいね。