文字サイズ

日本文化学科のブログ

ブログ

【連載:研究室に行ってみよう②日本語教育・多文化間コミュニケーション研究室へようこそー奥山貴之先生】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科には専任教員12名ごとに研究室が設けられています。日文生は3年生になるとそれぞれの研究室に所属して卒業研究・卒業制作を進めていきます。各研究室ではどんな研究ができるでしょうか? ゼミ担当の先生に、受験生向けに語ってもらいましたのでご紹介します。
----------------------

◎日本語教育学ってどんな学問なの?  
私の研究室には、多文化間コミュニケーションコースの学生が多く在籍しています。海外の文化と日本の文化との違いに関心を持ったり、将来は海外で仕事をしてみたいと考えていたり、最近では、「日本語教師」という職業を目指している学生も増えてきました。
高校生の皆さんは「日本語教師」という仕事をご存知でしょうか? 簡単に言えば、日本語を母語としない人に日本語を教える仕事ですが、日本語を教えるといっても本当に対象は幅広くて、ボランティア教室、日本語学校、専門学校や大学、海外の学校や大学、教える場所も相手も様々です。相手の立場やニーズによって、仕事の内容も変わってきますし、所属する機関なども変わってきます。
例えば、日本で大学へ進学したいという留学生は、多くの場合日本語学校で日本語を勉強して、そして進学していきます。このような日本語学校で教える場合、生活で必要な日本語から、日本の大学で勉強するために必要な日本語の指導、そして大学生にふさわしいトピックなどについて考えたり話したり書いたりできるような指導も必要になってきます。それから、仕事で日本に来た外国人の場合、本人もそうですが、その配偶者や子供も、日本語が分からなくて困っていることも多いです。配偶者の場合、地域のお知らせが分からなかったり、近所の人とコミュニケーションがとれなかったり、ということもあります。子供の場合も、学校でクラスメイトと話せなかったり、話すことはできても勉強の時に使われる言葉が分からなくて困っていたりします。こうした方々へのサポートや日本語教育もニーズが高まっています。こうした部分はボランティアの方が担うことが多いようですが、沖縄ではそうした人材が不足していると聞きます。
このように日本語を教える仕事は、様々な形でかかわることができると言えます。それぞれ求められるものが違うので、もし日本語教師を目指すなら、どこでどんな人に教えたいのかをよく考えて、何が必要か調べたほうがいいでしょうね。興味がある人はオープンキャンパスで私に相談してみてください。

◎日本語教師になるには? 資格・免許は必要?  
日本語教師は、小中高の学校の先生のように免許はありません。だから、どんな人でも日本語教師の仕事することができるし、それで全く法律には触れません。ただ、現実的に仕事をしようと思ったときには、資格を持っていないとなかなか採用されませんね。具体的には、「日本語教育能力検定試験」「日本語教師養成講座」「大学で日本語教育が主専攻または副専攻」などがメジャーな資格です。沖国では、日本語教員養成のカリキュラムが組まれていますし、台湾やタイなどで実習もできるんですよ。
沖国で日本語教員養成のカリキュラムを受講したり、海外実習へ行ったりした卒業生が県内外で日本語教師として活躍もしています。

◎ゼミ生たちはこんな研究をしています  
研究分野としての日本語教育って、とても幅が広くて、言語、社会、学習者、授業、試験、教師、など、それぞれにスポットをあてた研究、また、それらをつなげた研究が行われています。私は大学の留学生や、大学へ進学希望の留学生を多く教えてきたことから、どんな授業をすると学習者は大学生として必要な能力が身につくか、などに興味を持ってきました。学習者主体の会話授業だったり、小説を読んで学ぶ授業だったり、そうしたことを実践して研究してきました。「内容重視」と言いますが、何かの内容に興味があるからこそ言葉を使おうとしたり、内容を学ぶ中で言葉を身に付けていったり、というような考え方の授業です。
私の研究室には、言語、人、社会、文化が結びついたテーマに興味を持っている学生が多いです。うちなーやまとぅぐち、テレビCM、海外映画の翻訳、オノマトペ、などをテーマに研究している学生がいます。言葉、社会、文化などを関連付けて考える研究(日本語教育の関連分野の研究)が私の研究室の主なテーマです。

写真:奥山先生の研究室には海外からやってくる留学生や、研修・実習で海外に行ってきた学生からの「お土産」がいっぱい。