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日本文化学科のブログ

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【連載⑩ゼミナール入門ーー下地賀代子先生「私たちの”ことば”を考える」ゼミのご紹介】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。

11月5日の「ゼミナール入門」第十回目は、言語学を担当している下地賀代子先生の登場です。以下、当日の授業内容を簡単にご紹介します。受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。


◎下地先生の研究室ではどんな研究ができるの?
下地先生は言語学の研究をしており、琉球語、特に多良間言語・方言について研究しています。大学生時代に多良間の言葉に出会い、なんと10年以上も研究なさっているそうです。今回のプレゼンテーションでは、ゼミの紹介、下地先生のご専門である多良間の言語についての紹介、下地ゼミに所属している4年次の卒論発表がありました。

多良間とは、多良間島+水納島をまとめて多良間と呼ぶのだそうです。下地先生は、ここ数年は水納島の方言についても研究なさっているそうです。多良間の言語は琉球の言語の中でも特徴的な言語で、例えば「猫」は琉球語のほとんどが「マヤー」系なのに対し、多良間では「ニカ」となるそうで、語源も不明なのだそうです。他にも母音の「イ゜」の音や、子音の「リ゜」など、語彙だけでなく音にも多良間独特の特徴が多いそうです。また、琉球語の研究は積み重ねがまだまだ少なく、研究のためには、琉球語と兄弟言語である日本語の研究も必要不可欠だそうです。

4年次の卒論発表では、「わざ言葉」をテーマにした卒業論文を発表してもらいました。「わざ言葉」とは、「足にボールがくっついているような」「ボールでアーチを描く」などのような、体の使い方を探求させることを目的とした言葉だそうです。今回の発表では、卒論の中から、「ボールを高く上げる」という表現について、「作中では「ボールを放つ」という意味で使われているが、それだけではなく、この言葉はフォロースルーを意識させる言葉であり、時間的な隣接性(メトミニー)を含む言葉ではないか」という分析を紹介してくれました。下地ゼミでも初めての卒論テーマだそうで、学生たちも「わざ言葉1つからこんな分析ができるんだ」と興味津々な様子で聞いていました。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
下地ゼミでは、「言葉に関すること」をテーマに、現代日本語・琉球語・文学作品・漫画作品・若者言葉などを研究対象として共時的な分析・通時的な編纂などを研究することができるそうです。
ゼミ生たちは次のようなテーマで卒論を書いています。
・季感の弱い季語の成立背景について
・日本語の乱れについて
・沖縄の若者言葉にみる男女差について

◎下地先生から一言
卒論のテーマは「ドヤ顔で相手にしゃべりたいもの」をテーマにしてください。3年次から4年次1月まで向き合わなければいけないのが卒論です。好きなものなら頑張れます。一度、自分の興味を掘り下げてみてください。
言葉は身近なもので、その当たり前に不思議を感じることから言葉の研究は始まります。言葉に関して研究したい人大歓迎です。ぜひ下地ゼミに来てください。