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日本文化学科のブログ

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【日本文化&古典文学研究室のご紹介 葛綿正一先生「ゼミナール入門」より】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からゼミナールを選択するための準備を行う時期に当たります。

日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。

9月23日、ゼミナール入門の第1回目は、日本文化コースを担当している葛綿正一先生が登場。当日の授業内容を簡単にご紹介しますので、受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。



◎研究室ではどんな研究をしているの?
葛綿先生の研究室では、古典文学を中心に研究を行っています。
今回のプレゼンテーションでは、古典文学と学生たちとの相性を図るために、実際に古典文学に接して、気づき・考えを挙げる小レポートを課し、古典文学の研究の仕方をレクチャーしてくださいました。
授業では『雨月物語』から「夢応の鯉魚」という作品を取り上げました。もともとは中国の「魚服記」という話が原型で、お坊さんが夢の中で魚になって泳いでいるうちに、釣り上げられてしまい…という作品ですが、太宰治の短編作品や、沖縄出身の作家である目取真俊の作品にも同じタイトルのものがあり、多くの作家の琴線に触れた作品だそうです。また、今回取り上げたのは「読本」と呼ばれる文章中心で挿絵が少ないものですが、挿絵だけみても、魚を捌くために押さえる際に、お箸を使って押さえているなど、当時の文化がわかる楽しみがあるそうです。
また、授業内では、この「夢応の鯉魚」から「魚」という部分に注目して、「さかな」の語源について少し解説をしてくださいました。なんでも、「魚」に「さかな」と読み始めたのは比較的最近の話で、古くは「うお」と読んでいたそうです。「さかな」と読むようになったのは、お酒に合う「肴(さかな)」から転じたためだとか。
「原文という証拠品を並べて、先行研究の盲点を突いていくのが卒業論文です」という葛綿先生。実際に作品を読み、朗読CD・葛綿先生から作品の説明を聞いて、学生たちがレポートに取り組み始めると、「これでいいのかな?」「難しいね」という声があがっていました。今回は練習のために面白いと思った部分を引用し、コメントをつけてみましょうという内容でしたが、文章を抜き出せてもどのようなコメントをつけるかが悩みどころだったようです。盲点を突く視点を持つことの難しさが感じられたかと思います。



◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
葛綿先生のゼミでは、古典文学を中心に研究を行っています。古典文学は先行研究も豊富で、ジャンルも幅広く、いろいろな研究ができるそうです。古典が苦手だと思っている人も多いと思いますが、最近では現代語訳や解説がついているものも多く出版されているそうです。
ゼミ生は次のようなテーマで卒論を書いています。
・鬼について
・御伽草子について
・伊曽保物語(イソップ物語)について

最近では『古事記』や『日本書紀』などの神話を研究する学生も増えてきています。神話にはファンタジーの要素もあるので、高校時代までにファンタジー小説をたくさん読んできた人は、このジャンルにはまるととても楽しく研究ができるそうです。

◎葛綿先生からの一言
古典文学は先行研究がたくさんあるので、自分が研究してみたいことがやりやすいという良いところもあります。
研究室選びのアドバイスとしては、県外や国外に旅行にいける研究室もあるので、学生時代にいろいろな経験ができて良いと思いますよ。また本当にやりたいことがすでに決まっており、ゼミの希望があるのなら、担当の先生に相談してみましょう。
今回の講義で古典文学と相性がいいなと感じたたなら、ぜひ葛綿ゼミへ来てください。