【司書課程の学生たちが神奈川県のグループホームでの「認知症の方にやさしい文庫づくり」の実習に挑戦!】
図書館司書課程通信
司書課程のアドバンスド科目として9月末から取り組んでいる、「認知症の人にやさしい文庫づくり」プロジェクト。
神奈川県川崎市にある認知症の方々が暮らしているグループホームの中に、文庫コーナーを設置し、認知症の進行予防にもつながる「回想法」に役立つような様々な資料をそろえてみよう、という取り組みで、日本文化学科で図書館情報学を学んでいる2年生が中心になって頑張っています。
これまで、文庫コーナーに必要な資料を考え、実際に本やおもちゃ類をネットショッピングサイトから選び、グループホームを運営する介護福祉士の職員の皆様にプレゼンを行った上で、文庫コーナーの名称や資料整理法なども検討してきましたが、いよいよ11月27日に、神奈川県にある施設を訪問して、文庫づくりを行うことになりました。
●学生たちが考えた文庫コーナーの名称は「太陽と森とことりの文庫」。
陽の差し込む森で小鳥のりを聞くようなイメージを沖縄の豊かな自然とリンクさせ、自然のような豊かな知識や気持ちを思い出してほしいという願いを込めて、親しみやすい名前になるよう「太陽と森とことりの文庫」という名前にしました。また「OOとOOとOO」というリズミカルな並びもこの文庫名の魅力の一つです。好奇心を喚起させ、新しい冒険の世界に飛び込んでほしいという願いも込められています。スタッフの方や家族と一緒に笑顔で楽しめるような空間にもなってほしいと考えています。
●ブックトラックの色を選定した理由は以下の通りです。
文庫コーナー名が「太陽と森と小鳥の文庫」なので、その名前にそった自然な色にしました。また、親しみがあり、認知症の進行予防となる「お家にいるような安心感」を演出できると思い、この色にしようと思いました。
●選書した資料には、青、ピンク、緑、黄色のシールを背などに貼り付け、ブックトラックの棚の淵の部分に色テープを付けてコーナーを区切り、資料をもとの場所に戻しやすくなるような工夫も施してみました。
●今回の文庫は、認知症の進行予防に役立つ資料として、昭和の街並みを写した写真集、かわいい動物の写真集、認知症の方々と歩みを共にしてきた皇室の方々の記録写真、著名人(石原裕次郎、ミスター長嶋など)、簡単なクイズの本、わかりやすい言葉で書かれた詩集、懐かしい映画のDVD、高齢者人気の高い氷川きよしさんのコンサートDVD、手指や頭の運動につながるパズルや積み木、おもちゃ類なども集めてみました。これらの資料を大きく、写真集・図鑑、読み物、おもちゃ類、CD/DVDに区別して、ミニコーナーを作り、それぞれのジャンルごとの利用状況をモニタリングするために、ブックトラックの側面に木のイラストを貼って、資料が利用されるごとにジャンルを表す色シールを貼ってもらう、という方法も提案してみました。
実習開始前には、施設を運営する、株式会社アイ・ディー・エス、バナナ園グループの代表取締役の矢野さまから歓迎の言葉と励ましの言葉をかけていただきました。また、施設長の栗山さまからも、学生たちが沖縄から面白い本を届けに来てくれることをとても楽しみにしていたこと、認知症に役立つ文庫づくり、という皆さんの研究をぜひ施設としても応援したいといった言葉をかけていただき、2カ月かけてがんばってきた取り組みが介護の専門家の方々から大いに期待されていることを改めて実感することができました。
この日は受講生を代表して10名が現地実習に参加し、残りのメンバーはZoomで施設と大学をつないで、文庫づくりの様子を視聴したり、動画を見てアドバイスをしたり、文庫の利用状況を把握するためのアンケートの検討なども同時に行いました。現地実習に参加できなかったメンバーも頑張ってくれました。
現地での実習に参加した学生からは次のような感想が寄せられました。
「ふだんは自分のために本を選んでいますが、今回は誰かのために、さらに、自分とは世代が違う方に高齢者の方に向けて本を選ぶという体験をしたので、難しさを感じつつも、司書の仕事の面白さとやりがいも感じることができました。施設の皆さんに効果の検証にも協力していただけるとのことで、自分たちが選んだ本やおもちゃが実際にどのくらい利用されるのか、とても楽しみです」
「最初は、おじいさん、おばあさんのために本を集めて、文庫コーナーをつくるだけでよいのかな?、と思っていたのですが、文庫の効果を検証するという課題もあるとうかがって、スタッフの皆さんが日々、認知症予防に真摯に取り組んでおられること、そして、大学生として研究面でも大いに期待されていることを感じました。ゼミでの研究についてはただ論文を読んでまとめるというイメージしかなかったのですが、これからのゼミ選択に役立つ体験ができました」
「事前学習として「グループホーム」についてレクチャーを受けていましたが、実際に行ってみると、入居者の方がとても元気で、家庭的な雰囲気の中で穏やかに暮らしておられる様子が伝わってきました。園芸療法を取り入れたレタスの水耕栽培を入居者の方が楽しみにされていると聞いて、私たちが作った文庫コーナーもそうした楽しみの一つになるといいなと思いました」
「午前中の限られた時間で作業を進めないといけなかったので、いろいろと忙しい一日になりましたが、スタッフの皆様から「ありがとう」という言葉を何度もかけていただき、とても励みになりました。こうした実習の場を作っていただいたことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいです」
「文庫づくりの最中に入居者の方が声をかけてくださる場面が何度かあり、私たちが集めた本を興味深そうに遠くから眺めてくださるようすをみて、とてもうれしかったです。沖縄からやってきた私たちをあたたかく迎えてくださり、本当にありがとうございました」
「周囲に認知症の方がいないので、施設を訪問する前はとても緊張していましたが、入居者の方が私たちにやさしく話しかけてくださったり、文庫づくりの様子を見に来てくださったりして、緊張がほぐれました。サインパネルの設置や資料のカテゴリ分けなど、授業で計画していたことが実際にはうまくいかずに、試行錯誤の連続でしたが、完成してみると素敵に仕上がったのでいまは達成感でいっぱいです。今回の体験を通して、高齢化社会の中で司書として求められる力が少し身に付いたように思います」
設置した文庫コーナーは12月~1月上旬にかけて、施設のスタッフの皆さまの協力も得ながらモニタリングを行い、その成果報告を1月下旬に沖縄国際大学にて行う予定です。今後の活動もぜひご期待ください!
神奈川県川崎市にある認知症の方々が暮らしているグループホームの中に、文庫コーナーを設置し、認知症の進行予防にもつながる「回想法」に役立つような様々な資料をそろえてみよう、という取り組みで、日本文化学科で図書館情報学を学んでいる2年生が中心になって頑張っています。
これまで、文庫コーナーに必要な資料を考え、実際に本やおもちゃ類をネットショッピングサイトから選び、グループホームを運営する介護福祉士の職員の皆様にプレゼンを行った上で、文庫コーナーの名称や資料整理法なども検討してきましたが、いよいよ11月27日に、神奈川県にある施設を訪問して、文庫づくりを行うことになりました。
●学生たちが考えた文庫コーナーの名称は「太陽と森とことりの文庫」。
陽の差し込む森で小鳥のりを聞くようなイメージを沖縄の豊かな自然とリンクさせ、自然のような豊かな知識や気持ちを思い出してほしいという願いを込めて、親しみやすい名前になるよう「太陽と森とことりの文庫」という名前にしました。また「OOとOOとOO」というリズミカルな並びもこの文庫名の魅力の一つです。好奇心を喚起させ、新しい冒険の世界に飛び込んでほしいという願いも込められています。スタッフの方や家族と一緒に笑顔で楽しめるような空間にもなってほしいと考えています。
●ブックトラックの色を選定した理由は以下の通りです。
文庫コーナー名が「太陽と森と小鳥の文庫」なので、その名前にそった自然な色にしました。また、親しみがあり、認知症の進行予防となる「お家にいるような安心感」を演出できると思い、この色にしようと思いました。
●選書した資料には、青、ピンク、緑、黄色のシールを背などに貼り付け、ブックトラックの棚の淵の部分に色テープを付けてコーナーを区切り、資料をもとの場所に戻しやすくなるような工夫も施してみました。
●今回の文庫は、認知症の進行予防に役立つ資料として、昭和の街並みを写した写真集、かわいい動物の写真集、認知症の方々と歩みを共にしてきた皇室の方々の記録写真、著名人(石原裕次郎、ミスター長嶋など)、簡単なクイズの本、わかりやすい言葉で書かれた詩集、懐かしい映画のDVD、高齢者人気の高い氷川きよしさんのコンサートDVD、手指や頭の運動につながるパズルや積み木、おもちゃ類なども集めてみました。これらの資料を大きく、写真集・図鑑、読み物、おもちゃ類、CD/DVDに区別して、ミニコーナーを作り、それぞれのジャンルごとの利用状況をモニタリングするために、ブックトラックの側面に木のイラストを貼って、資料が利用されるごとにジャンルを表す色シールを貼ってもらう、という方法も提案してみました。
実習開始前には、施設を運営する、株式会社アイ・ディー・エス、バナナ園グループの代表取締役の矢野さまから歓迎の言葉と励ましの言葉をかけていただきました。また、施設長の栗山さまからも、学生たちが沖縄から面白い本を届けに来てくれることをとても楽しみにしていたこと、認知症に役立つ文庫づくり、という皆さんの研究をぜひ施設としても応援したいといった言葉をかけていただき、2カ月かけてがんばってきた取り組みが介護の専門家の方々から大いに期待されていることを改めて実感することができました。
この日は受講生を代表して10名が現地実習に参加し、残りのメンバーはZoomで施設と大学をつないで、文庫づくりの様子を視聴したり、動画を見てアドバイスをしたり、文庫の利用状況を把握するためのアンケートの検討なども同時に行いました。現地実習に参加できなかったメンバーも頑張ってくれました。
現地での実習に参加した学生からは次のような感想が寄せられました。
「ふだんは自分のために本を選んでいますが、今回は誰かのために、さらに、自分とは世代が違う方に高齢者の方に向けて本を選ぶという体験をしたので、難しさを感じつつも、司書の仕事の面白さとやりがいも感じることができました。施設の皆さんに効果の検証にも協力していただけるとのことで、自分たちが選んだ本やおもちゃが実際にどのくらい利用されるのか、とても楽しみです」
「最初は、おじいさん、おばあさんのために本を集めて、文庫コーナーをつくるだけでよいのかな?、と思っていたのですが、文庫の効果を検証するという課題もあるとうかがって、スタッフの皆さんが日々、認知症予防に真摯に取り組んでおられること、そして、大学生として研究面でも大いに期待されていることを感じました。ゼミでの研究についてはただ論文を読んでまとめるというイメージしかなかったのですが、これからのゼミ選択に役立つ体験ができました」
「事前学習として「グループホーム」についてレクチャーを受けていましたが、実際に行ってみると、入居者の方がとても元気で、家庭的な雰囲気の中で穏やかに暮らしておられる様子が伝わってきました。園芸療法を取り入れたレタスの水耕栽培を入居者の方が楽しみにされていると聞いて、私たちが作った文庫コーナーもそうした楽しみの一つになるといいなと思いました」
「午前中の限られた時間で作業を進めないといけなかったので、いろいろと忙しい一日になりましたが、スタッフの皆様から「ありがとう」という言葉を何度もかけていただき、とても励みになりました。こうした実習の場を作っていただいたことに、改めて感謝の気持ちでいっぱいです」
「文庫づくりの最中に入居者の方が声をかけてくださる場面が何度かあり、私たちが集めた本を興味深そうに遠くから眺めてくださるようすをみて、とてもうれしかったです。沖縄からやってきた私たちをあたたかく迎えてくださり、本当にありがとうございました」
「周囲に認知症の方がいないので、施設を訪問する前はとても緊張していましたが、入居者の方が私たちにやさしく話しかけてくださったり、文庫づくりの様子を見に来てくださったりして、緊張がほぐれました。サインパネルの設置や資料のカテゴリ分けなど、授業で計画していたことが実際にはうまくいかずに、試行錯誤の連続でしたが、完成してみると素敵に仕上がったのでいまは達成感でいっぱいです。今回の体験を通して、高齢化社会の中で司書として求められる力が少し身に付いたように思います」
設置した文庫コーナーは12月~1月上旬にかけて、施設のスタッフの皆さまの協力も得ながらモニタリングを行い、その成果報告を1月下旬に沖縄国際大学にて行う予定です。今後の活動もぜひご期待ください!