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日本文化学科のブログ

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【日文系サークル紹介2024 その② 芸能文化サークル ピリカウタリ】

日文系サークル
日文系サークルとは、日本文化学科の学生が多く所属し活動を楽しんでいるサークルのことです。
日文系サークル紹介2024 その② は芸能文化サークル ピリカウタリ です。
サークルメンバーの学生が記事を書いてくれました。どうぞご覧ください。



夢=やりたいこと
 これはピリカウタリの団長の川勝渚羽太(かわかつしょうた)が口癖のように言っている言葉です。団長が大学2年生の時、この言葉のもと仲間を集め、芸能文化サークルピリカウタリは誕生しました。“沖縄の文化芸術にとって新しい舞台を作ること”という団長の夢と各々の夢を持ち寄って。そしてその中に当時大学1年生だった僕の姿と、その僕のひとつの漠然とした夢もありました。 
 ピリカウタリが立ち上がったのは2022年の春のことでした。確かコロナ禍に少し収束の兆しが見え始めた頃だったかと思います。新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたコロナ禍は、知っての通り多数の業界に暗い影を落としました。もちろんその中にはエンタメ業界もあり、舞台の世界もありました。

 少し自分語りにはなってしまうのですが僕は大学に入る前から「創作エイサー」のプレイヤーとして活動しており、コロナ禍で下火になっていくエンタメ業界を最前線で感じていたひとりでした。高校1年の終わりの頃、突如ひっくり返ったそれまでの日常。それでもいつか以前のような世界は戻ってくる。当時の僕は自分自身にそう言い聞かせ、信じていました。しかし、2年、3年、そして高校卒業、と時がいくら移ろえど続いていくコロナ禍に、もう以前のような活動はできないのだろうかと、いつしか半ば諦めの気持ちを抱くようになっていました。
 そんな時に僕が出逢ったのが、沖国大で舞台活動を始めようと仲間探しをしていた川勝渚羽太、その人でした。彼も大学に入る前から現代版組踊を中心に舞台活動をしていたプレイヤーで、大学入学後は青年エイサーサークルである琉球風車(リュウキュウカジマヤー)のメンバーとして活動していました。僕との出逢いは、琉球風車で一年間活動したのち自分の思い描く芸能を形にしようと彼が走り始めていた時でした。彼の夢、つまり彼のいうところの“やりたいこと”を彼と過ごし聴いていくうち、いつしか忘れていたことを思い出し、熱い気持ちがこみ上げてきたことを覚えています。自分のこれまでやってきた舞台活動の素晴らしさや、時勢の中で思ったように活動ができない中でも足掻いていた自分は間違っていなかったのだと教えてもらえた気がしました。そして諦めていた自分の中で再び何かが灯りました。やがて、漠然とした、しかし強い気持ちを伴ったひとつの夢を、僕は彼に重ねるようになっていました。−もう一度舞台で大勢の観客の笑顔と真っ正面から向かい合いたい−



 こうして彼の夢に賛同した僕は1年生ながらピリカウタリに加わり、今日に至るまでたくさんの時間を団長の川勝や集った仲間たちと共にしてきました。くだらないことで笑ったり、ぶつかったり、出演の度に泣いたりはしゃいでいたりしています。側から見ていると大層忙しないサークルに見えたことでしょう。無論それゆえ僕らは強く繋がれましたし、ピリカウタリは僕らにとっての居場所であり、遊び場であり、僕らの特別な関係性そのものになりました。
 さて、そんなこんなで僕は大学3年生、川勝は大学最後の年になり、ピリカウタリは今年で結成3年目になりました。では、ここに至るまでの日々で、川勝と僕の夢は叶ったのでしょうか。結論から言うとおかげ様で僕の夢は叶いました。1年次、2年次と通してありがたいことに僕らの活動に賛同してくれる方々に呼んでいただき、そこで演舞をさせてもらうことができました。そしてそこで一人一人の明るい表情と僕は再び出会うことができました。僕の夢、やりたいことは進行形で叶い続けています。そしてこれもありがたいことに昨年(2023年)は京都にも呼んでいただき、よりたくさんの方々と出会うことができました。このように多くの方に演舞をする機会を与えていただき楽しんでもらえたことは、ピリカウタリの一人としても一個人としても本当に演者冥利に尽きます。



 これまで関わった全ての方に届くかはわかりませんがここで改めて言わせてください。僕らの演舞に暖かい眼差しを注いでいただき本当にありがとうございます。あなたのその眼差しが演者としての僕を再生してくれました。そして、あなたがその眼差しがある限り、これからも僕は演者として生き続けます。
 では、団長川勝自身の夢である「新しい舞台を作ること」はどうなのか。彼に聞けばきっと笑顔で「叶った」と言うかもしれません。まあ実際は本人には聞いていませんし、聞くのも野暮な気がするので聞けませんが、多分そう言ってくれるとは思います。でも僕はまだだと思います。本人はたとえ叶ったと本心で思っていたとしても、僕はまだまだ川勝を驚かせる新しいことができる自信がありますし、ピリカウタリには川勝だけでなく僕自身も驚くであろうまだ見ぬ可能性があると信じています。きっと自分自身が気が付かないほどの可能性があるサークルなんてそうそうないでしょう。そういう意味で僕はこのサークルを贔屓目無しにお勧めできます。もしこれを読んでいるあなたが新入生なのだとしたら、その可能性があなたなのかもしれませんしね(笑)。
 最後に、ピリカウタリには関係ありませんがひとつ、今後のあなたにとって素敵な大学生活を送るヒントになるかもしれない言葉を残しておきたいと思います。僕はメンバーとしても、一友人としても、ピリカウタリのメンバーのことが好きで仲良くさせてもらっているのですが、いつもの流れでメンバーと話していた時のこと、メンバーの一人が改まってこんなことを言った時がありました。「大学生ってさ、経験した大人みんなが戻りたいって後悔してる世界じゃん。せっかくその世界で生きてるんだから思いっきり過ごそう」と。このメンバーは昨年、京都に一年間留学し、自分の興味から日本全国を回って過ごしていた人でした。その一年で彼は、沖縄では見られないたくさんの世界と、そこで生きているたくさんの人と出逢ったと話してくれました。その土地で暮らす同年代の学生や社会人の人達、本土で暮らす中高生時代の友達とも会ったそうです。そして、沖縄とは違うその土地土地の社会を回す大人たち。彼ら彼女らとの一期一会の中、一人一人の生き様と交わり別れていく時間と向き合う果てで、彼自身まだ知らない自分との出逢いがあったのでしょう。時々電話で話していた彼の言葉が、季節を追うごとに微かな変化と質量を帯びていったのを感じる時がありました。そんな彼が大学生という立場の自分として、今後何をするべきかを出逢った人に訪ね、自分自身の中でも問答した末に出した今の答えとして前述の言葉を聞かせてくれました。その言葉を聴いた時、僕は純粋にこのサークルで時間を過ごせたこと、過ごしていることが誇らしく思えました。一つのことに皆で本気になって、悔しくなって、嬉しくなって、そんな僕たちの言葉にできないほど溢れる気持ちが大学生という時間を彩っている。今この時点で僕は悔いのないほどに満足いく大学生活を送っている自信があります。これはピリカウタリだからそうと言うわけでは決してなく、自分の居場所を見つけられたからそうなのだと思っています。ですから、これを読んでいるあなたも、ぜひ“大学生のあなた”が輝ける居場所を見つけてください。その一つとして僕はサークルをお勧めします。
 長くなりましたがあなたの大学生活がより良いものになるよう願っています。最後まで読んでくれてありがとうございます。では。