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日本文化学科のブログ

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【3・4年生合同のグループディスカッションを行いました! テーマはジェンダー・離島の読書環境】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では3年生になると、学生一人ひとりの将来目標やの興味関心をベースに、専門領域とからめながら、各自が自由なテーマを設定して「卒業研究」を進めていくための研究室を選択することになっています。

4月中旬から「ゼミナールⅠ・Ⅲ」という、研究室メンバーによるゼミ形式の授業が12の領域でスタートしていて、5月のこの時期は、同じ授業を受ける4年生との交流を目的としたワークが様々な形で行われています。

この日は文化情報学研究室で「グループディスカッション」が行われました。
昨年度の卒業論文集に掲載された2つの論文を事前に読んだ上で、基礎知識をふまえて、当日与えられるテーマについて、4~5人のグループで解決策を提案したり、原因を考えて、ディスカッション後にプレゼンテーションを行う、というワークです。





テーマの1つ目は、「ここは沖縄のある離島です。この離島(村)には書店がありません。子どもたちの読書環境をよくするためにどのようなことができるでしょうか?」(ある離島(村)の職員採用試験を想定)というもの。

文化情報学研究室には、司書課程を受講しているゼミ生が多いため、資格課程での知識を生かして、①県立図書館からの移動図書館の巡回回数を増やしてもらう、②設置義務がある学校図書館の蔵書を充実させるためにクラウドファンディングで資金を増設する、③書店を誘致するのは難しそうなので、VR書店の利用を促進する(体験会を学校で開く)、④自治体がオンライン書店の送料を負担する、⑤子どもが本に親しむためには保護者の意識改革も必要、学校図書館を地域に開放して、親の世代の読書も活性化させる、といったアイディアが次々に寄せられました。

1年生の時に「図書館概論」で学んだ、図書館の構成要素である「資料」「職員」「建物」という3つに注目し、①沖縄県立図書館の移動図書館の誘致による子ども向け資料の充実、②役場の正規職員として専門性をもつ司書を雇用、③親子で読書を楽しめるフリースペースの設置・家庭読書の促進、というプレゼンを行ってくれたグループもありました。



2つ目のテーマは「ジェンダーフリーを意識したトイレのマークを作りなさい」というもの。
トイレのマークは、男性は肩幅が広いピクトグラム、女性はなで肩でスカートのピクトグラム、色は男性は青、女性は赤、というように、女性らしさ、男性らしさのバイアスが表れているように思われます。誰もが気兼ねなく利用できるようなマークにするためにはどこを修正すればよいのか?

学生たちが提案したマークは、①バイアスを感じさせない男女共通のマークを採用し、色も統一、男女の区別は文字でする、②マークにこだわるとどうしてもバイアスから抜け出せない上に、見慣れないマークでは間違えてトイレに入る心配もあるので、色だけを記号的な印象のある黒に変更する、③そもそもトイレを男女に分けずに、(コンビニのように)すべて男女どちらが使ってもよい個室だけにして、手洗い場を共有し、マークは海外でも通用するように「W・C」とする、④ジェンダーフリーは男女の問題だけではないので、多様な人たちが自由に利用できるアクセシブルなトイレも設置し、レインボーカラーでマークを作る、といったものでした。



2つ目のディスカッション終了後には、今回のワークでは、上の画像にもあるように、「ジェンダーフリー」を、「性別がないこと」「性差を感じさせないこと」とらえるグループが多かったのですが、「「ジェンダーフリー」のフリーとは学生の皆さんが考えるように「ジェンダーを無いこと」にするがゴールなのか、「ジェンダーから自由になる」とはどういうことなのか、まだまだ理解が不十分かもしれませんので、これからのゼミで一緒に学んでいきましょう」という、担当の山口先生からのコメントもありました。

4月にゼミナールの授業がスタートして、3・4年生が一緒にワークを行うのは今回が初めてでしたが、4年生がリードしつつ、3年生も得意を生かしてイラストを描いたり、プレゼンテーションをサポートしたり、とこれから1年間ともに学ぶメンバーとの交流を深めている様子も印象的でした。



文化情報学研究室では、表現の自由の観点から、漫画やアニメーション、ドラマ、CM、小説などの様々なメディアの中のジェンダーバイアスを捉えたり、過去から現代への推移を調べたり、といった研究を行う学生も多く在籍しています。ジェンダーフリーを含む、ポリティカルコレクトネスの視点から研究を行う学生もいます。
今日の学びをきかっけにして、表現の自由やジェンダーの考え方について理解を深めていきましょう。