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日本文化学科のブログ

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【西岡敏先生のハワイ通信① ハワイの言語教育を視察しました】

先生も頑張ってます
しまくとぅば研究をリードする日本文化学科の西岡先生。しまくとぅばと同じように、消滅の危機に瀕しながらも、その復興に取り組んでいるハワイの言語教育(ハワイ語の復興)からヒントを得るために、西岡先生らがハワイに滞在して現在調査を行っています。
西岡先生から1日目のレポートが届きましたのでご紹介します。



ハワイ滞在1日目。

 オアフ島のホノルルに一旦、トランジットし、ハワイ島のヒロに到着。昨年と同じく、ハワイ大学ヒロ校を訪れました。ヒロ校は、大学生に対するハワイ語教育で最先端の取り組みを行っているところです。
 今回、派遣チームの側からは、沖縄県立芸術大学(西岡は共同研究員として参画)におけるしまくとぅばを使った学生への指導を紹介し、先方のスタッフからはハワイ語教育における現状を紹介していただき、互いの意見交換会を行いました。
 言語の復活・再生には、次世代を担う若い人への言語の継承が欠かせません。現在、沖縄県では「しまくとぅば講師養成講座」(沖縄県しまくとぅば普及センター主催、2018年10月~)を開講され、しまくとぅば講師の養成が始まったばかりですが、ハワイ語ではカフア・バイオラ(すいません、音写正確ではないかも)というのがあって、しまくとぅばの指導者になる制度が整えられているようです。

 沖縄県では、また、これからしまくとぅばの検定試験を行なうとしています。ハワイ語に検定に相当するものがあるかの質問も行いました。ハワイ語には検定試験に相当するものはないそうです。ただし、大学の卒業や修士課程の修了においては、そのレベル相応のハワイ語の能力が厳密に測られ、その能力に達していない場合には卒業や修了ができないとのことです。
 また、教材に対する提言もありました。子どもたちが楽しんで取り組める教材を作る必要があるとのこと。ハワイ語では、歌にしたり、ゲームにしたり、短い話などを作ったりなど、子どもたちの興味が出るように教材作りにも工夫を凝らしているとのことです。

 ハワイ語の創作活動についても質問しましたが、たいへん盛んなようです。ハワイ語を学ぶ学生たちは、イベントやパーティーなどで、ウクレレやギターを弾きながら、自分たちの創作したハワイ語の歌を披露したりするそうです。それが何時間も続くとのことで、他の語学を学ぶ学生さんと比べて際立っているとのこと。スタッフの先生方の中にもハワイ語の歌詞をいくつも作っていらっしゃる方がいるそうです。また、ヒロ校ではないが、マノア校にハワイ語による芸能を披露する学生団体があって、ヒロ校にも公演に来たことがあるそうです。
 ハワイ語では、「聞く」「話す」「書く」「見て表現する」という能力を学生たちに高めてもらおうとカリキュラムが組まれており、これからの沖縄におけるしまくとぅば教育にも参考になることが多々ありました。

2日目に続く。

※写真はハワイ大学マノア校リンカーンホール(宿舎)前でのものです。