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日本文化学科のブログ

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【文学を学ぶってどいういうこと? 文学研究の面白さをリポート!】

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日本文化学科のカリキュラムの中心は「日本語学」「言語学」ですが、横断する学問として「文学」ももう1つの柱になっています。
「ことばのスペシャリスト」を目指す日本文化学科で「文学を学ぶ」ことはどのように役立つのでしょうか?

昨日のブログに続いて、日本文化学科の受験を考えている皆様に向けて、在学生(2年生)の3名が、文学担当の村上陽子先生の研究室に行ってうかがったお話をレポートとしてまとめてくれましたのでご紹介します!



―― 日文は言語学を中心としたカリキュラムになっていますが、それを横断する学問として、「文学」が学べるという特徴もありますよね。文学とことばの研究はどうつながるのでしょうか?

村上先生 文学研究では研究対象とする詩や小説を〈テクスト〉と呼びます。〈テクスト〉の語源は「テキスタイル」、つまり【織物のこと】なんです。織物って、縦糸と横糸が絡まり合ってできていますよね。詩や小説も、実は織物と同じで、いくつもの「ことば」によって織り上げられているわけです。文学研究では、その織物を構成する糸の一本一本をさまざまなやり方で検証していくんです。

―― ストーリーを楽しめばいい、というわけではないんですね?

村上先生 主人公の気持ちに寄り添って物語を楽しむというのは、小説の読み方の一つです。しかしそれだけでは、文学研究は「おもしろかった!」「感動した」で片付けられるものになってしまいます。主人公以外の視点で読んでみたり、ストーリーを解体したり、些細な一語に注目して読みを深めていったり、文学研究はそういう方法で進めていきます。

―― 具体的にはどんなことをするのでしょうか?

村上先生 例えば、一つの小説を解釈するとき、その小説が書かれた時代・小説の舞台となった時代はどういう時代であったのかという同時代史の研究が必要になります。【歴史学に近い】イメージですね。また、登場人物の心理や行動を説明するために精神分析の理論を用いることもあります。【心理学的な勉強】も入ってくるわけです。そして、「人は何のために生きるのか」などの難しいテーマを考えるときには【哲学の思想】に基づいて考察したりします。文学研究は、いま目の前にあることばを手がかりにして、多くの領域の学びを横断する学問なんですよ。そうやって、いままでにはなかった新しい読み方をつくっていくんです。

―― 小説に何が書いてあるかを理解するだけではなく、書かれたものを手がかりに読み方を広げていくんですね。 

村上先生 その通りです。詩や小説は、詩人や作家が頭の中で組み立てた独立した芸術表現なのではなく、社会や読者と強く結びつくものです。だから、文学研究はとても広い問題に取り組んでいることばの研究ということになりますね。



―― 日文には小説を読むのが好き、という学生もたくさんいます。読書と文学研究はどういうところが違うのでしょう?

村上先生 小説を読むのは私も大好きです。しかし文学研究は単なる感想やレビューではなく、新しい読み方を導くと同時に「なぜそのように読めるのか」を実証していくものです。難しいかもしれませんが、しっかり取り組めば高度な日本語リテラシーが身に付きますよ!

―― 今日はありがとうございました!