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日本文化学科のブログ

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【図書館学担当の山口先生が山口県立山口図書館での講演会の講師を務めました】

図書館司書課程通信
2024年3月20日、山口県立山口図書館第1研修室で開催された、学校図書館を考える会・やまぐちが主催する学校図書館講演会に、日本文化学科で図書館情報学の授業やゼミを担当している山口先生が講師として参加しました。

いつものような図書館現場で働いておられる司書の方を対象とした研修会とは異なり、今回は学校図書館に関心を寄せておられる市民の方を中心とする会の講演会ということで、「学校図書館と「図書館の自由」―沖縄で考えたこと・学んだこと」と題して、1999年に沖縄国際大学に着任してから25年間を振り返りながら、現場の学校司書の方々から寄せられた質問や相談を紹介しつつ、現場の方々と「図書館の自由」という視点でどのように学びを深めていったか、というお話をさせていただきました。

講演の中で取り上げた質問は、

「6.23の平和学習の一環として、図書館でも沖縄の戦争被害を写したパネル展を毎年行っているが、死体などが映っているパネルは、教員・保護者・本人からの要望もあり、展示を控える学校が増えています。図書館の自由、平和教育のあり方としてこれでよいのでしょうか?」
「オスプレイの安全性を主張する記事を載せた在沖米軍の雑誌をパンフレットコーナーに置いていたとこころ、市民・新聞社からクレームを受けた。思想・情報のひろばとして当然収集するべきという説明でよいでしょうか?」
「2022年8月に、文科省から拉致問題関係資料の充実を求められたけれど、そもそも何が問題だったのがよくわかりません。拉致問題をテーマとするからダメなのでしょうか? 文科省だからダメなのでしょうか? 環境省からSDGsの本、総務省からLGBTQの権利拡大に関する本の充実を求められても絶対に応じてはいけないのでしょうか?」
「あるクラス担任の先生から、子どもたちの学校図書館での様子をよく質問される。図書館に関心を持ってくれる先生は珍しいので、できれば図書館としても協力をしたい。学校図書館は学校の機関なので協力しない、というのは難しいです。どこまで協力していいのでしょう?」

などで、いずれもマニュアル通りの回答が難しい問題です。
講演会では、「図書館の自由」という考え方がどのようなものか、基本に立ち返るために、そもそも知る自由とはどのような権利内容なのか、政治的に中立であるとはどのようなことか、さらに、プライバシーとはどのようなものか、という3つのテーマで説明が進められました。

学校図書館と図書館の自由の関係については、「公共図書館の考え方をそのまま当て嵌めることに無理がある」という意見もあります。しかし、「基本的人権の保障、国民主権、という憲法の原理をもとにつくられた図書館の自由という考え方が学校図書館に当てはまらないとすれば、それこそ大きな問題ではないでしょうか」と山口先生。









講演会が終わったとは、参加者の皆様に会場に残っていただき、感想や意見交換、情報交換なども行いました。
講演会当日は、前日からの暴風雨とみぞれ交じりの雨がふって、外の気温はなんと4℃、かなりの悪天候となりましたが、たくさんの方が会場に足を運んでくださり、あたたかな雰囲気の会となりました。ご参加くださり、ありがとうございました。