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日本文化学科のブログ

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【大学4年間をふりかえって その③】

そのほかもろもろ
【大学4年間をふりかえって その③】
卒業生が大学生活をふりかえって書いている記事の第3弾【大学4年間をふりかえって その③】です。
今回は、古典文学と国語教育について学べる田場ゼミの学生が大学生活をふりかえってくれました。



 日本文化学科では「琉球語・文学の歴史や読み解き・沖縄の芸術・異文化との交じり合い」といった文化的側面を中心に多くを学ぶことが出来ました。
 一番記憶に残っているのは、日本文化学科に在籍した生徒の多くが言うだろう、鬼慶良間という作品を学科一丸となり作り上げたことです。既存の作品を読み解き解釈を深め、大勢で共有の世界観を構成し、そこから再び作品に向き合いました。それは与えられた劇を完全な指導の元で行うこと、一から作り上げるとも違う新しい感覚と挑戦でした。
 さらに演者だけではなく衣装や背景に演出。役割分担とそれらの相互理解が必要となる作業であり、使うことのなかった脳の筋肉を鍛えるような体験です。特にコロナ禍という大きな障害と戦いながら、会うこともままならず作成に挑み続けたことで得た「協力・理解力・伝えること・表現すること」という経験は確実に私たちの糧となり、社会人になる自分にとって大きな自信とスキルアップにつながっていくものであると大きな自負があります。



 文化の比較という講義や経験も記憶に残っています。
 例えば、日本文化と琉球文化・日本と海外・継承される文化と新たに生み出される文化・文化が交じり合う前後・戦前後の文学。これら比較を通して文化の変遷を知って自らで理由を考える、文化そのものの歴史を知りルーツを学び、多くのことへ見識を広げていく。社会で多くの人が国境や宗教に時間空間の制約も無く人々が触れ合える現代社会、この感覚や感性を鍛え鋭敏にしていくことは非常に大切です。それを感覚的だけでなくきちんとした裏付けや、専門の教授の元で学び経験できたことは楽しく、自ら次の進路に足を踏み出す前に学べたことは有意義でした。主体性と共に客観性をも鍛え上げられ、社会における自己、自己の観点から見える社会という視座も学びました。



 最後はゼミで過ごした二年間です。田場ゼミでは国語教育と古典を中心に、学生の主体性を重視した指導を受けることが出来ました。「古典」という言葉には多くの人を忌避させる、「困難で難解である」と強いイメージが纏わりついていると思います。それを面白く細かく、私たちと同じ人間がしてきた歴史であると学ぶことが出来ました。古典文学で描かれていることは人間の歴史の中にあるものだということは当然でありながら、見落としがちなことです。だからこそ、それに気づいた時に古典という世界の奥行きは一気に広がり、とても面白い歴史と文化の移り変わりを見せてくれました。
 この学科で多くのことを学べた四年間は、私の人生にとって大切で楽しい期間でした。。