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日本文化学科のブログ

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【連載⑦ゼミナール入門ー図書館情報学+文化情報学研究室のご紹介】

研究室・ゼミナール紹介
国語の先生、図書館司書、日本語教師・・・、日本文化学科に対して皆さんはどんなイメージをもっているでしょうか?
いまあげた3つは日文の学生の多くが目指している専門職ですが、日本文化学科では他にもたくさんの分野の勉強・研究ができます。
この連載では、2年生向けに開講している必修科目「ゼミナール入門」より、日本文化学科の先生が、ゼミ生のスカウトのために趣向を凝らして自分自身の専門分野やゼミでの研究の様子をプレゼンする様子をご紹介していきます。


11月12日の「ゼミナール入門」は、山口 真也 (Yamaguchi Shinya)先生と各ゼミ生のみなさんによるプレゼンテーションが行われました。
図書館情報学の研究室では、
①文化情報の流通装置としての図書館を中心として書店・出版業界にも関わる研究ができるほか、
②図書館学の基盤である「表現の自由」「知る権利」「知る自由」「知的自由」の研究(ポリティカルコレクトネス研究)
という領域の研究も可能です。

図書館学は言語学や文学とは違って、とても新しい学問なので、まだ誰も着手していないテーマや研究が薄い分野がたくさんあり、オリジナルの研究ができるところが面白いそうです。
たとえば、ファッションに興味があれば、図書館学と結びつけて、図書館員のファッションを調べてもいいし、書店に興味があれば、図書館と書店の排架法のどちらが利用者には分かりやすいのか実験する、という調査も、先輩の卒論で取り上げたことがあるそうです。LGBTの権利運動に興味がある学生は、公共図書館や学校図書館で子ども達が手に取れるところにLGBT関係の資料があるかどうか、を調査したりしました。

②の「ポリティカルコレクトネス研究」に関する研究は、世の中にあふれる表現を「正しさ」「公平さ」という観点から見つめ直すという内容です。
たとえば、アニメ「サザエさん」の食卓のシーンは、ジェンダーフリーという観点からみると、男性(波平)中心の図になっていて、女性は男性に仕える、というイメージが問題点として読み取れるそうです。「戦隊ヒーロー」ドラマでも、男性が中心、女性は補助的な役割で、コスチュームもピンク色だったり、スカートだったりして、ジェンダーバイアスを子どもたちに受け付ける表現が横行しています。
ポリコレ研究は言語学とも結びつけて考えることができます。ドラマやマンガなどを見ていると、女性のキャラクターが「かしら」「わ」「よ」といった文末表現を用いて話していることがあります。文学作品を読んでいると「かしら」「うふふ」といった女性のセリフが書かれていることもあります。しかし現実にはどうでしょう。女性でそんな言葉遣いをしている人はいませんよね。なのに、なぜメディアの中でそうした女ことばが残存しているのか、残存することによってどんな影響が生じるのか、という研究もポリコレ研究の1つです。
ちなみに、女ことばは現代では「おねぇ言葉」として残存している、という指摘もあります。「おねぇ言葉」がメディアの中であふれる現象をどうとらえるか、というのも面白い研究になりますね、といった説明もありました。

授業後半は、山口ゼミから4年の仲田さん、3年生の宮城さん・親川さんと、吉田ゼミから大城さん、神里さんの4人による卒業研究のプレゼンとゼミの特徴紹介もありました。それぞれが生き生きと卒業研究を頑張っている様子が伝わってきました。

吉田先生はあいにく同時間帯に授業があるため参加できませんでしたが、11月24日・25日に開催される大学祭で、「よしだんご」というお店を出品しているそうなので、ゼミのことを聞きたい2年生はこちらに来て先生と交流してね、というPRもありました。

次回の「ゼミナール入門」は、日本語教育学・多文化間コミュニケーション論ゼミの奥山貴之先生の登場です。お楽しみに!