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日本文化学科のブログ

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【連載⑧ゼミナール入門ーー奥山貴之先生「多文化コミュニケーションと日本語教育を考える」ゼミのご紹介】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。

11月19日の「ゼミナール入門」第8回目は、多文化間コミュニケーションコースを担当している 奥山 貴之 (Takayuki Okuyama)先生の登場です。以下、当日の授業内容を簡単にご紹介します。
受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。


◎奥山貴之先生の研究室ではどんな研究をしているの?
奥山先生は昨年の9月に赴任されたばかりの先生です。日本語学教育を研究しており、現在日本文化学科で設置されている日本語教員資格課程の科目を中心に、多文化コミュニケーションコースの科目も担当しています。ということで、奥山先生の研究室では、多文化間コミュニケーションを中心に、日本語教育学も研究することができます。

今回の研究室紹介は、「外国人旅行者が何か困っているようです。あなたならどうしますか?」という質問から始まりました。質問された学生たちからは「出来る限りの英語で話しかける」「日本語で挨拶したり、何か手伝いますかと声をかける」などの意見があがりました。旅行先では、現地の言葉を使ってみたい・交流してみたいという外国人も多いという奥山先生。「外国人=英語ではなく、英語=母国語でない外国人も多い」というお話のあと、実際にあったお話として、フランス出身の学習者の方に英語で話すことは二重の差別にもつながってしまう、など「白人=英語ではない」というお話もしてくださいました。
多文化コミュニケーションは必ずしも英語である必要はなく、日本語を勉強しているなど、状況によっては日本語で話しかけることも多文化コミュニケーションの選択肢の一つであることを説明してくださいました。
また、日本語が非母語である外国人の方と交流するためには「フォリナートーク」という、非母語話者に合わせて敬語表現をしない、短い文でシンプルに文をまとめるなどの技術も必要だそうです。実際に学生たちも、ネイティブの日本語から外国人にわかりやすい文章に言い換える問題に取り組んでみると、シンプルでわかりやすく言い換えることの難しさを感じたようでした。

授業の後半では、多文化間コミュニケーション研究室に所属する3年生5名も交えて、ゼミではどのような研究が出来るのか、ゼミでの特徴的な取り組みなどを紹介してくださいました。
3年生によるゼミ論の紹介では、「ニュースで見てトレンドだから面白そう、と思い、プリキュアとジェンダー表現について研究しているが、分析基準を作る上での先行研究が見つからず、項目作りで苦労した」というお話や、「ゼミ論は1万字書くので、自分が好きなことを絡めたいと思い、youtubeの字幕をテーマにした。好きなことを研究しているので、ゼミ論を進める上で壁を感じたことはない」、「あいまい表現について普段の会話から気になってゼミ論のテーマとして取り上げたが、自分の知識の浅さから大変な思いをして、ゼミ論を甘く見ていた」など、ゼミ論のテーマを決めるときに大切にしたことや、失敗談など、ゼミ論を執筆した3年生だからわかるリアルに、学生たちも真剣な表情でお話を聞いていました。夏休みに開催されるゼミ合宿の様子や、今週の土日に行われる沖国祭で綿あめ屋として出展するというお話など、ゼミでの楽しそうな様子も伝わってきました。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
奥山先生の専門は日本語教育ですが、奥山ゼミでは社会との関係の中で言語を見る社会言語学を中心として、周辺分野として対照言語学、コミュニケーション、ジェンダー、ステレオタイプ、比較文化という5つの分野も学ぶことが出来るそうです。
ゼミ生たちは次のようなテーマで卒業論文を書いています。
・広告キャッチコピーについて
・海外メディアにみる日本人のイメージについて
・反疑問文末表現について

◎奥山先生から一言
卒論・ゼミ論のテーマは、日常の面白い、疑問、趣味からいろいろ考えることが出来ます。ただ、何を対象にするか、基準にするかをしっかり定めないと研究になりません。専門的研究の枠組みにどう当てはめるかが大切です。社会言語学は言語が絡めばなんでも出来る分野でもあります。興味のある人はぜひ奥山ゼミに来てください。