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日本文化学科のブログ

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【連載⑨ゼミナール入門ーー兼本敏先生「文化や言語を比較・対照する」ゼミのご紹介】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。
12月3日の「ゼミナール入門」は、多文化コミュニケーションコースを担当している兼本敏先生が担当されました。当日の授業内容を簡単にご紹介します。受験生の皆さんには、日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。


◎兼本先生の研究室ではどんな研究ができるの?
兼本先生の専門は中国語と中国文化研究で、ゼミでは比較文化、英語・中国語を中心とした対照言語学の研究を行っています。何かと何かを比べ、新しい発見を見出すことが主な目的です。

講義では、沖縄の言語学習環境の現状と、大学生として何を意識して学んでいくべきなのかについてお話してくださいました。

多文化コミュニケーションを取る上で、話す言語の丁寧さ、流暢さ、正確さなど、何を大事にするべきかはその時々の状況によります。沖縄では、敬語や丁寧語を軽視し、コミュニケーションを重視する風潮があり、日本語・外国語を学ぶ環境としては良くない状況が続いているそうです。大学で学ぶべき言語とは、「外国の方へ文化を紹介するための言語」であり、留学をするための英語とはまた違うのだそうです。

「沖縄で日本語を学んでいる外国人も、沖国で外国語を学んでいる学生も、県外での就職や大学院大学の試験など、落ちる人が多いです。面接の時点で、職場や目上の人に使う敬語が使えていないためです。」と兼本先生。

実際に、中国への留学経験がある学生に「「○時○分発の○○便はただいま登場案内中です」を中国語で言ってみなさい」というと、留学の際に必ず聞いているはずの敬語の文章でも学生は言うことができなかったというお話や、英語を学んでいる学生も、最初はとても丁寧な英語を使っていたのに、外国人の友人ができていくうちに丁寧ではない表現が多くなっていってしまうことが多いという現状をお話してくださいました。学生たちも何を目的として言語を学ぶのか考えながらお話を聞くことができたかと思います。

「ゼミとは、客観的に物事をみるために、ひとつの物事に対して違う視点からの情報を集める場所である」という考えから、兼本ゼミでは、ゼミに所属してからまず、客観性を鍛えるために3年生は4年生と一緒に調べ物の課題が課せられるそうです。他にも、毎年ゼミで行っている海外旅行(タイやグアム、台湾など)では、学生たち自身で企画から現地での細かい行動計画まで全て行うそうです。過去にはひとつの情報源だけに頼ってしまったせいで、駅のどの出口から出るべきなのかわからなくなってしまったり、バスの路線がわからず大幅に時間をロスしてしまった、などの失敗もあったそうですが、失敗から学びながらゼミ生一丸となって計画を練るそうです。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
兼本先生の研究室に所属する学生たちは、比較文化論や対照言語学を中心に研究しています。過去には『山月記』から、実際に虎の被害がある国、虎はいるが被害があまり無い国、虎が存在しない日本でことわざに違いがあるのか、という研究を行った学生もいたそうです。
ゼミ生たちは次のようなテーマで卒業論文を書いています。
・中日仏教について
・日韓の怒りの感情表現について
・動物が含まれることわざについて

◎兼本先生からのメッセージ
大学とは国の定める最高学府です。日本文化学科を卒業するということは、言葉・文化について確実にわかっている人間になる、説明ができなければいけないということです。大学では、年齢差を乗り越えて、知識の広さと相手に理解させる力を高めていってください。
卒業論文には「これだけは書かないといけない」というしっかりとした基準があります。自分の書くものに対して責任を持って、しっかりと取り組んでください。言語・文化について興味のある学生はぜひ兼本ゼミに来てください。