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日本文化学科のブログ

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【古典文学と国語教育を学ぶなら? 田場裕規先生による「ゼミナール入門」レポート】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。

日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。




10月21日の「ゼミナール入門」第5回目は田場裕規先生が登場。当日の授業内容を簡単にご紹介しますので、受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。

◎研究室ではどんな研究をしているの?
田場先生は、国語教育と古典文学を専門に研究しています。ご自身は万葉集の研究を中心にされているそうですが、「1時間机と向かい合っても新しいことがわからない」と話されており、古典研究の奥深さ、難しさの一端を感じ取ることができました。国語教育については、地域の国語研究という観点で、同じ日本文化学科に所属されている狩俣恵一先生と共同で、「しまくとぅば」を学校で教えるための研究をされているそうです。
また、今までには「組踊」の再現上演を沖縄と東京で行ったほか、かつて大学に在籍しておられた、故遠藤庄治先生が残された「しまくとぅば」を記録した千本以上のカセットテープをデジタル化するといった研究活動が国に認められ、幾ばくかの援助も受けておられたとか。田場先生は「申請しても通ると思っていなかった」と笑っておられましたが、国も大切であると考えているすごい研究をなさっていることがよくわかります。



田場先生の研究室は教職課程の生徒専門のゼミというイメージがあるかもしれませんが、「田場ゼミは教職課程専門のゼミではなく、現在ゼミに所属している学生で教職を履修している人は半分半分です」という話もありました。
卒業研究のテーマについては、「狭く入って広くでる」ことを念頭に置いた方がよいと話していました。研究テーマに選んだものがあまりにも抽象的だと、調査する際に確認しなければならないものが多くなりすぎて、研究が苦しくなってしまうのだとか。なので、逆にものすごく具体的なもの、たとえば「万葉集に登場する色の『白』について」というようにテーマを設定し、そこから、対照的な『黒』はどうか、といったようにテーマを少しずつ広げてゆくことが、研究をうまく進めるコツだそうです。

ゼミ生のプレゼンテーションでは、研究室に所属する3年次と4年次が駆けつけて、ゼミ活動の楽しそうな様子と、どのように卒業研究に取り組んでいるのかを伝えてくれました。

ゼミナールが始まってすぐ、セミナーハウスで歓迎会があり、その中では小中学校での体験を紹介する、「教育体験記」の発表を行うそうです。今回は実際に、3年次の川満さんと4年次の德元さんが自身の教育体験記を披露してくださいました。お話の中ではちょっとしたクイズもあり、教室内が笑いに包まれることもありましたが、受講生の皆さんは真剣に先輩の話を受け止めていました。
続いては4年次の仲間さんが登場し、卒業研究のテーマについて発表してくださいました。そのテーマとは桃太郎の回春譚についての考察。なんでも、昔話「桃太郎」において、主人公の出生のパターンが2つあり、よく知られている桃から生まれる「果生譚」、桃を食べて若返ったおじいさんとおばあさんの間に生まれる「回春譚」があるそうです。仲間さんは読んだ本から偶然にもこの「回春譚」の存在を知って興味を持ったことから、研究テーマに選んだのだとか。受講生に向けたアドバイスとして、自信が興味のあることについての先行研究を何か一つでも読み、具体的に何ができそうかをまとめてから研究計画書に取り組むとよい、と参考になるお話をしてくれました。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
田場先生の研究室では、国語教育・古典文学の研究を行っています。また、沖縄の文化について研究することもできそうです。教育問題と琉球文化やしまくとぅばを組み合わせた研究を行っているゼミ生もいるそうです。
ゼミ生は次のようなテーマで卒業論文を書いています。
・金太郎伝説の考察~逸話や伝承からみる昔話~
・江戸落語「死神」
・『古事記』における女神の死についての研究
・『御曹司島渡』論
・増賀上人奇行論~『発心集』における「増賀」と「境界」
・『らくだ』論
・日本文学の食に関する擬音語論



◎田場先生からの一言
勉強や卒論は一人の勝負です。しかし、意見交流の場が大切だと考えています。ゼミ紹介では遊んでいるようにも見えたかもしれませんが、私は遊びだとは思っていません。集団での行動や共感・共有が経験になり、それが一生の宝になると思います。また、グローバル化の中で自分たち沖縄の文化を考えることも出来るゼミです。ぜひ興味のある学生は田場研究室に来てください。



次回は国語教育研究室から桃原千英子先生、図書館情報学研究室から吉田肇吾先生のゼミ紹介です。お楽しみに!