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日本文化学科のブログ

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【中高の国語の先生になるには? 桃原千英子先生の国語教育学研究室へ】

研究室・ゼミナール紹介
日本文化学科では、3年生になると各先生の研究室に所属し、卒業研究を進めていきます。2年生の後期は、3年生からのゼミナールを選択する時期に当たります。
日本文化学科には、2年生の必修科目として「ゼミナール入門」という科目があります。毎回、各先生が研究室での研究内容をさまざまな趣向を凝らしてプレゼンし、2年生のゼミ選択の参考にしてもらっています。



10月28日の「ゼミナール入門」第6回目は、日本文化コースを担当している桃原千英子先生の登場です。
当日の授業内容を簡単にご紹介しますので、受験生の皆さんには、この連載を通して日本文化学科で学べるカリキュラムのイメージを広げてもらえるとうれしいです。

◎先生の研究室はどんな研究をしているの?
桃原先生は国語科教育を研究する「国語教育学」を専門としており、ゼミ生もみな教職課程を履修生ている学生で、研究テーマも国語科教育に特化しています。沖縄国際大学では中学校と高校の国語教員の免許が取得できるので、卒論で取り扱うテーマも中学校や高校における国語科教育に繋がるそうです。
先生は国語教育学を「生徒の立場に立ってどのように良い授業を作るのか」を突き詰める学問だと話されていました。その研究の視点としては、表現学や言語学など、教材の内容から研究する「内容学的な視点」と、指導法や教材研究、社会学の会話分析といった「方法学的な視点」がありますが、実際は一体であるので、どちらの視点も持つことが大切だと話されていました。また同じ小説などを扱う文学ゼミとの違いとして、「教育という視点から、文字を読んだり、言語、読書について考える」研究アプローチであることを挙げていました。
卒論のアプローチ方法もこの2つの視点に基づいたもので、「内容学的な視点」に立ち、先行研究を基に理論をまとめ、考察し自分の考えを論じる文献調査タイプと、「方法学的な視点」に立ち、先行研究で提示された理論に基づいて模擬授業などで実践を行い、得られたデータから学習デザインを考え、学習改善を検討する理論+授業実践タイプの2つがあると話されていました。
また、桃原先生のゼミを希望する生徒に向けて、大学生活4年間の計画表を作って説明されていました。ゼミでは全員が教職課程を履修している関係上、4年次に教育実習などに時間が必要なため、2年生までに基礎を完成させ、3年生の段階で卒論を半分ほど完成させ、4年生の後期で仕上げに入るそうです。


 
卒論紹介では、4年生・3年生から計7名が登場。それぞれが取り組んでいるテーマについて説明して下さいました。その中からいくつかを紹介します。

4年生の城間さんは『文学作品においての読みの多様性』と題して、古典である「竹取物語」を題材に、議論の中で自らの解釈を作り出す「読みの交流」についての研究を行っていると話されていました。
3年生の蔵元さんは『「敬語」と国語科教育』と題し、人間関係に重要であるはずの「敬語」が、国語科教育内で深く取り扱われていないと問題提起をし、これからの敬語教育の形を研究の中で模索していきたいと語っていました。
同じく3年生の當間んは『漢文の苦手意識を緩和し、魅力を引き出す指導方法』と題し、生徒たちにあまり人気のない「漢文」の授業を、漢文の魅力を伝えつつ、わかりやすいものにしてゆくにはどうしたらよいのか、テクスト論や時代背景などを取り入れた指導方法を研究しているそうです。本日はその一環として、講義内でアンケートも行っていました。



3年次4年次の発表のあとに、合宿の様子、実際のゼミの様子や、ゼミ合宿の写真をスライドで紹介してくれました。ゼミでは毎週ゼミ生のゼミ論・卒論について発表があり、またゼミで行う学外の活動には、国語科教育の学会への参加や、他大学の方との交流会もあり、自身の学びに繋がる取り組みがあるそうです。質疑応答においては、「教職を取っていなくてもゼミに入れますか」という質問に「ゼミでは教職課程に特化した研究をおこなっているため、それ以外のテ―マを選ぶと残りの大学生活が辛くなるかもしれないのでオススメはできない」という現状からのアドバイスや、「ゼミに入る前にやっておいてほしいことは?」と言う質問に「ゼミに入る前には国語科教育法を受講し、国語教育学についての基礎をしっかり固めておいてほしい」と応えていました。

また、本日は吉田先生の研究室のみなさんも登場。図書館情報学を専門にしている吉田ゼミの紹介を行ってくれました。卒論のテーマとして図書館のWebサイト、YAサービスや図書館員の接遇、他国の図書館サービスと日本の図書館サービス比較など、図書館情報をメインに扱っていることを説明してくれました。また、ゼミ合宿では頻繁に図書館見学があり、司書課程で得た知識を更に深める場が設けられていることや、飲み会などの先輩たちとの交流、学祭での出店など、楽しいゼミ活動の様子を報告してくれました。

◎ゼミ生たちはどんな研究をしているの?
桃原先生の研究室では、国語科教育についての研究を行っています。ゼミに入るためには、教職課程を履修している、もしくは日本文学物講Ⅰ・Ⅱを必修していることが条件だそうです。
ゼミ生たちは次のようなテーマで卒業論文を書いています。
・「ファシリテーターとしての教師の役割」
・「クリティカル・リーディングの始動と評価方法」
・「文学作品における多様性を促すための効果的な発問の検討」
・「日本における「鬼」の概念」
・「沖罠文学の教材化―大城貞俊「一九四五年チムリグサ沖縄」」
・「国語科の授業における音読・朗読・群読の扱い方の再検討」
・「国語科における評価」
・「国語科教育における民話の教材化―方言教育の視点から」
・「ジェンダーに囚われない思考を育む国語科教育」

吉田先生の研究室では、図書館情報学についての研究を行っており、司書課程・司書教諭の過程を履修していることと、吉田先生の担当する講義「図書館文化論」の履修がゼミに入るための必須条件となっています。しかし、吉田先生と相談することで、3年生の時点で講義を履修中であってもゼミに入れることがあるそうです。ゼミ生は以下のテーマで卒論をかいています。
・「沖縄県内小学校図書館のユニバーサルデザインの現状と課題」
・「公共図書館の諸問題をめぐる一考察―北欧諸国と日本の比較をとおして―」
・「沖縄県内公共図書館のPR活動と課題」
・「図書館の建築構造とデザイン性に関する一考察」
・「公共図書館の震災対策について」
・「指定管理者制度における受託業者の視点」

◎桃原先生から一言
ゼミ選択では、自分が大学・日本文化学科にきて関心がある分野、就職先について、両方を考えて選ぶことが大切です。そのために、2年次の間にたくさん勉強をしてほしいです。4年次はあってないようなもので、3年次で勉強や就職活動を終えて、その成果をまとめるのか4年次です。たくさんの経験を開拓していってください。桃原ゼミに興味がある人は、ぜひ一緒に学会参加などたくさんしましょうね。