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日本文化学科のブログ

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【サブカルチャーを学ぶってどんなこと? アニメを学ぶ「児童文化論」のご紹介】

おもしろ授業
日本文化学科は、言語学・文学を中心として、各自の興味関心にあわせて幅広く文化や表現を学ぶことができる学科です。
3年生から各研究室で取り組む卒業研究のテーマはまさに∞(無限大)。メインカルチャーだけでなく、サブカルチャー領域を題材として、文学理論や言語理論を用いて研究をする学生も増えてきています。

2年生から受講できる「児童文化論」(山口先生担当)は、そんなサブカルチャー領域の研究についてモデル的に学習する科目の1つ。
今年度のテーマは、児童文化の一つとして、マンガ・アニメーションに注目し、「ポリティカル・コレクトネス」という視点で、過去と現在の作品を比較対照することでどのような表現の違いがあるか、どのような表現が規制されているか、を探求しています。



この日は、藤子・F・不二雄先生原作の漫画作品『ドラえもん』を題材として、1960年代後半から1970年代前半に描かれた原作コミック(1990年代に入って作者自身が書き換える以前の版)と、2005年~2017年に放送されたテレビアニメを比較し、どのような変更が生じているか、さらに、なぜそうした変更が必要なのか、漫画とアニメを見比べながら、グループごとに考えるワークを行いました。



今回の授業で取り上げたエピソードは「わすれトンカチ」と「のろいのカメラ」。
参考として1980年代前半に放送された同じエピソードも視聴したところ、2010年代の作品と比べると原作に忠実ながらも、1980年代の時点ですでに差別的な表現や暴力的な表現は一部規制されていることもわかりました。





学生たちがグループワークを通して発見した面白い変更点としては、
「とんかちの道具の形状や機能には変更はないが、色が変わっている。原作はいかにも鉄アレイ風の、黒々とした色だが、2010年代のアニメではオレンジ色になっている。大工道具は子どもたちの身近にあるので、色を変えることによって、現実感を薄め、事故が起こらないように配慮しているのでは?」
「トンカチで頭を殴るときに、直接、頭にトンカチがぶつかる場面を描かずに、星マークが散らばる、というような演出になっていた。コミカルな効果音が追加されていたりいて、暴力的な表現をできるだけ抑えようという配慮では?」
「のろいのカメラでは、お葬式ごっこなど、「死」にかかわる表現はすべてカットされていた。身近な人を亡くした子どももアニメを見ているかもしれないので、「死」をギャグとして描くのは避けるという配慮がみられるのでは?」
「原作漫画の女性は全員がスカートを着用しているが、アニメでは、スカートの女性もいれば、パンツルックの女性もいる。女性は必ずカートという固定観念を排除し、多様性を反映した結果では?」
などがありました。



「児童文化論」の授業ではこのあと、今回の授業で取り上げた、子ども向けのコンテンツの表現規制のあり方や必要性・課題を深く理解した上で、沖縄の昔話・民話を題材としたオリジナルのアニメーションを作り、YOUTUBEにアップする予定です。今年はどんな作品が出来上がるのか、こちらもどうぞお楽しみに!