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【2026年9月】レオン大学(スペイン) 山下さん 総合文化学部 社会文化学科

レオン大学(スペイン)
第2回 持ってきたもの、持ってくるとよいもの、要らなかったもの

第2回は持ち物について書きます。渡航前にいちばん迷うのは、たぶん何を持っていくかだと思います。以下は私の例で、価格はすべて私がレオンで実際に見た店のものです。

持ってきてよかったもの
変換アダプター
現地でも売っていますが、20〜30€ほどで、高いか、性能がいま一つかのどちらかでした。日本で買っておくほうが確実です。
日本円の現金5万円
帰国時と、カードが使えなくなったときの備えです。
常備薬
頭痛薬、胃薬、整腸剤、湿布、かゆみ止めを持ってきました。私自身は使いませんでしたが、一緒に来た友人がお腹を下したときに整腸剤を渡しました。語学学校の先生によると、日本やアメリカから来た生徒は9月ごろに腹痛や風邪で体調を崩すことが多いそうです。水、食事、気温差、そして疲れが重なる時期なのだと思います。
ここに風邪薬を入れ忘れたのは失敗でした。9月29日に風邪をひき、ホームステイ先からパラセタモール(アセトアミノフェン)をいただきましたが、1錠1000mgでした。日本の市販の風邪薬に含まれる量とはかなり違います。
スペインでは薬局が身近で、薬剤師に症状を伝えれば対応してもらえます。ただ、自分に合う薬・合わない薬は現地で調べるより日本で把握しておくほうが確実なので、渡航前にかかりつけ医や薬剤師に相談し、成分名を控えておくことをすすめます。成分名が分かれば、現地の薬局でも話が早く済みます。持病の薬がある人は、必要な手続きや持ち込める量を出発前に確認しておいてください。

持ってくるとよいもの
日本の硬貨
私の周りでは、留学生どうしが記念に自国の硬貨を交換しています。私の相手は、Welcome Week で親しくなったメキシコとイタリアの学生でした。日本の硬貨は、穴の空いた5円玉と50円玉がとくに珍しがられます。
ただ、私は用意してきたわけではありません。たまたま財布にあった各種3枚ほどで、汚れたものが多く、数も足りませんでした。きれいなものを多めに持ってくるといいと思います。
ハンドタオル
こちらはバスタオルが主流で、日本でいう小さいタオルを私はまだ店で見かけていません。持っていると便利です。
シャープペンシルの芯
私が行ったスーパーや近所の店では見つけられませんでした。
使う人は持ってきてください。また、日本は電気が従量課金制ですがスペインは一日ごとに電気料金がオークションされ、時間帯によって電気料金が変わるといった形態の契約が多く、洗濯は週一であることが多いです。そのため下着は1週間分+4日分は持ってくるといいです。
要らなかったもの
水筒、ノート、ボールペン
いずれも現地で十分手に入ります。9月13日にメキシコの学生と蚤の市(rastro)へ行きました。何も買いませんでしたが、ノートは1€、ボールペンも1本1€ほど、少し質のよいものでも3€ほどでした。蚤の市は日曜日のPaseo Papalaguinda で9:00-15:00までやっています。衣類や家具も安いのでぜひ行ってみてください。
なお、日本以外の学生はボールペンか鉛筆を使っている人がほとんどで、シャープペンシルは少数派です。配られるプリントは白黒コピーなので、持っていくなら青のボールペンが見やすくておすすめです。
現地で買ったもの
衣類
9月のレオンは日中暖かく、ジャケット、デニム、長袖のTシャツ、パーカーを買いました。8月の到着からの合計で約200€です。これを書いている10月初旬には冷え込み始めています。コートやダウンが要るかどうかは次回に書きます。個人的には持ってくる服は少なめでも構わないと思います。ZARAなどの値段も日本と比べると安めなので現地で購入するというのもいい選択肢かもしれません。

9月の出来事
語学学校の同級生は、中国、ノルウェー、モロッコ、イランなど、出身がばらばらです。10日に同級生と焼肉へ行き、その後も何度か飲みに行きました。
15日はメキシコの独立記念日で、メキシコの学生たちと一緒に祝いました。日本で暮らしていると、独立を記念する日というものに立ち会う機会がありません。構えて参加したのですが、実際には政治的な色はほとんどなく、同じ国から来た者どうしが集まって食事をし、国の名前を口にする、という場でした。国外にいるからこそ、国の祝祭が政治の文脈から切り離されて、自分がどこから来たかを確かめる儀式として働くのかもしれません。
そのとき料理を作っていただきながら、スペインで patata(じゃがいも)と言うものを、メキシコでは papa と言うと教わりました。調べれば出てくることではあります。それでも、同じ食卓で、現物を指差しながら聞くのとでは感じ方が違いました。この種の語彙の違いはほかにもあって、ordenador と computadora(パソコン)、móvil と celular(携帯電話)、zumo と jugo(ジュース)など、授業で習うスペイン語はあくまでスペインに限ったものだと意識させられます。これは教室の外でこそ気づくことだと思います。9月の末から市内でサン・フロイラン祭りが始まりましたが、10月にまたがるので次回にまとめます。

話せないことは、どう変わったか
第1回で、つまずくのは語彙と活用だと書きました。一か月たって、活用のほうはいくらかましになりました。現在形は考えずに出ますし、動詞の形で詰まることは減りました。
ただ、楽になったというより、詰まる場所が移っただけだと思います。いま聞き取れないのは、単語そのものではなく、単語と単語のあいだです。冠詞や前置詞が前後の語とくっついて、どこで語が切れているのか分からなくなります。一語ずつ書き出してもらえばすべて知っている単語なのに流れると取れません。

通じたこと、通じなかったこと
9月に、二度ほど日本の話をする機会がありました。
一度目は十五夜で、メキシコの学生に、日本ではこの日に月を見て餅を食べると話しました。二度目はホームステイ先で、「12星座に似たものはあるか」と聞かれ、十二支を紹介しました。どちらも通じました。
通じなかったのは、十二支の由来のほうです。動物たちが順番を競った話をしようとしました。鼠が猫を起こさなかったので猫は間に合わず、だからいまでも猫と鼠は仲が悪い。この話が伝えられませんでした。最後は翻訳アプリを使いました。
この二つの差は、たぶん語彙の多い少ないではありません。紹介のほうは、相手が「12星座に似たものはあるか」という枠をあらかじめ出してくれていたので、私はそこに当てはめるだけで済みました。月見も、「月を見る」「餅を食べる」という動作を並べれば形になります。由来の話はそうはいきません。誰が誰に何をしなかったのか、その結果どうなったのか、そしてそれがいまも続いていること。順序と理由と時間の対比を、自分で組み立てる必要があります。いまの私にできるのは前者だけです。

話しやすさの順番
話しやすい順に並べると、ホームステイ先、語学学校の教室、同級生との飲みや遊びの席、になります。
理由は語学力ではなく、場の条件だと思います。ホームステイ先は一対一で、静かで、相手が私に合わせて話してくれます。聞き返すのも日常茶飯事で、それが許される場です。教室は、発言の順番があらかじめ決まっています。飲みの席にはそのどちらもありません。話す内容はあっても、入る隙を探しているうちに話題が次へ移ります。
正直に書いておくと、同級生とはスペイン語より英語で話すことのほうが多いです。互いにスペイン語を学びに来た者どうしなので、速く確実に通じるほうへ流れます。英語が通じない相手とはスペイン語で話しますが、二人とも同じくらいのところにいるので、これはこれで難しい。メキシコの学生は母語話者なので速度がまったく違い、こちらが追いつきません。

数えられること
こちらに来てから、自分用の練習アプリを作りました。単語・動詞の活用・文法・読解・聞き取りを一つのページで練習できるもので、間違えた問題が自動で復習に戻ってきます。毎日続けていて、学習済みの項目が1,010件になりました。ほとんどが単語です。
ただ、これは私のアプリが私の解答を記録した件数であって、1,010語を使えるという意味ではありません。数えられるのはここまでです。

一か月で変わったこと
まとめると、話せるようになった、とは言えません。変わったのは、何ができないのかが前より具体的になったことです。活用ではなく語の切れ目。難しい話かどうかではなく、話の形を自分で組み立てる必要があるかどうか。語学力ではなく、静かかどうかと、順番があるかどうか。
翻訳アプリなしで会話が続くところまでは、まだ来ていません。