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【2023年5月】東海大学(台湾)上地さん 経済学部地域環境政策学科

東海大学(台湾)
不安に思ったら行動するのみ、帰国1ヶ月前、実感がない!

皆さんこんにちは、東海大学に交換留学中の地域環境政策学科の上地です。最後、という言葉がついにやってきました。もう帰るまでに残り1ヶ月となり、帰りの航空券も買わないといけなくなり、留学の終わりが現実味を帯びてきた月でした。今まで築き上げてきた日常に溶け込んでいたのに、もう帰るんだねという言葉を毎日のように交わしながら、それ全部が戯言のようで、でも実際に帰国の日は迫っていて、よくわからないはじめての感情です。今月は振り返りと思いっきりやりたいこと、やり残したこと、ここでしかできないことをやりました。その結果、本当に毎日が飛ぶように過ぎていき、気づけ5月が終わっていました。今月は、マンスリーを書くのが辛くなるくらいまとまりがなくて、うまく紹介できるか分かりませんが書いていきたいと思います。

5/3 お酒のサークルで泡盛を紹介した!
5/7 とうもろこしを食べるためだけにジャーイーへ
5/18 攝影比賽 スピーチコンテスト
5/26-28 私の冒険pt2 台東〜綠島〜屏東
5/30 お酒のサークル最後!
大きなイベントとしてはこんな感じでしたが、一日一日が忘れたくない大切な日常でした。

(言語)
もう帰るのにもかかわらず、相変わらず伸びているのか伸びていないのかわからないのが現状です。しかし、先月も書いたように、ものすごく悩んでいるかと言われたらそうでもなく、自分の弱みに向き合っている感じがします。もう帰るまでに残された時間が少ないので、ここにいられる間にできることに重きを置いて、帰った後も学習を継続できる環境を整えたいです。
また、留学前には、中国語以外にも英語も伸びたらいいなと思っていた私ですが、二カ国語を習得できるほどの余裕はなく、私の英語力は後退してしまったなと思います。リスニング力は維持できるものの、スピーキングにおいては、圧倒的に中国語が得意になりました。得意と言っていいのかと少しまだ自信を持てずにいますが、友達とお喋りしたり、雑談をしたりするのにおいては、留学に来たばかりの頃と比べるとずいぶん成長したなと感じます。いまだに一度では通じなくて、ちょっとだけ心が折れそうになったりしますが、来たばかりの頃は挑戦するガッツも挑戦できる能力もありませんでした。その頃に比べたらきっと、少しは成長したと認めてあげてもいいかなと思います。

(お酒のサークル)
前期から入っていて、今期も継続して加入したサークルです!サークルは週に一回二時間〜三時間くらいの活動時間でした。今月をもってサークルの活動が終了しました。毎週講師としてバーテンダーの方が来てくれ、講義をしてくれ、サークルメンバーと一緒になってカクテルを作るということがとても新鮮で毎回楽しく、そして学びになっていきました。
このサークル活動の最後には、グループになって自分たちが作りたいカクテルを作り、それぞれのチームで競い、お客さんにも来てもらって、実際のバーのようにカクテルをする大会が開催されます。その際には私たちは、一から自分たちで作ったカクテルをお客様に提供するまでチームメンバーで全て行い、さらに、これまで授業をしてくれた講師(バーテンダー)の方がそれぞれのグループがつくったお酒の審査を行ってくれます。
私たちのグループは、お酒にお茶を入れた「茶酒」というものを使って、甘さと酸っぱさのバランスがあるカクテルを作成しました。今月はこれまで学んだ知識や技術を使って自分たちのカクテルを一から作って、大会に向けて練習を重ねました。まず自分たちで一からカクテルを作るというのはとても難しいことに気づかされました。前学期も同じように作成したのですが、今学期はメンバーの人数が少なく、私も前学期から少し成長し、議論に参加できるようになったのでそう感じたのかもしれません!また前学期、私は大会の際には終わったグラスを洗う役割だったのですが、今回はなんと私がカクテルシェイカーを振ってお客様の前に立つ役割を担うことになりました。最初はできるか不安でいっぱいでしたが、メンバーの子たちが励ましてくれて、無事任務を果たすことができました。
当日には、友達がたくさん来てくれ、なんと売り上げ一位になりました。また、先生たちが審査をするときに、とても緊張しながらも、どうしてこの材料を使ったのかについて拙い中国語でしたが伝えることができました。
私にとって、このサークルに参加したことはとても大きな財産になりました。自分が好きなものを中国語で学ぶということの楽しさと、サークルに参加している台湾の大学生たちとの交流の難しさ、お酒の知識はもちろんのこと、日本では経験できない、ここ東海大学でしか経験できないことを得ることができました。
あまり大きな何かができたわけではないけれども、私にとっては、毎週が大きな挑戦でした。外国人の1人の中、私を受け入れてくれたサークルの方々にも感謝です。
もし皆さんも、自分の好きな分野があったら、少し勇気を出して踏み出して活動やイベントに参加してみてください!

(綠島)
5月の最後の週に、ずっと行きたかった緑島に、ついに行くことができました。緑島は多くの観光客の方には、海が綺麗でダイビングが有名な離島として知られていますが、私の目的は、緑島のもう一つの顔を見に行くためでした。
過去のマンスリー報告の中でも何度か紹介してきましたが、台湾の戒厳令の歴史は、第二次世界大戦後日本統治後の1950年代から1990年代まで続きました。今の台湾からは想像がつかないほど厳しい時代だったようです。それは遥か昔のことでもなく、記憶はまだ色濃く残っています。
あの時代、台湾では、自分が思ったことを自由に発言したり、発信したり、好きな本を読んだり、映像を見たり、今では当たり前にある自由が奪われていました。その奪われ方は、自分たちの命さえも無くしてしまいたくなるくらいの、とても重く厳しいものでした。
そして、私が行った緑島は、その時代に禁じられていたものを破り、新たに『教育』が必要と見なされた人たちが、罰としてその島に連れていかれ、そこで新たな教えを学び、労働を科されていた場所です。
台湾に来て1ヶ月くらいの頃、私はその物語に関する映画を、映画館に観に行きました。「流麻溝十五號-Untold Herstory」というタイトルの、その時代の女性政治犯の方々の経験が描かれた映画です。もし台湾の歴史やこの時代について知りたいと思っている人にはぜひみて欲しい作品です。
その舞台になっていたのが緑島であり、その映画をきっかけにして、私は必ずそこへ行って、自らの足、目、体で感じる必要があると思っていました。
緑島には、その白色恐怖(テロ)記念館があります。当時実際に使われていた監獄や建物が保管されており、そこで何があったか、どういう場所であったかを知ることができます。音声ガイドもあり、日本語ももちろんありました。その場所は思っていたよりも広く、静かで、よく太陽が当たる場所でした。
私は、実際に行ってみて感じたことを言葉で表現するにはまだ時間がかかるかもしれません。あの映画の中で見たものや、ネットや本で理解していた気でいた私に、その場所はとても私の心では受け止められるものではありませんでした。
緑島の暑さにうろたえていた私でしたが、この暑さの中で、彼女たちが強いられていた環境やここで行われていた労働を想像すると、暑さのなかなぜか鳥肌がたち、緊張感に覆われました。私が感じた緊張感よりも何億倍も強い緊張感と、恐怖感を当時の彼らは感じていたでしょう。私は、ここで起きたことを想像するたびに胸が苦しくなり、そこを歩くのも少し精一杯でした。
実際に自分の足で、目で、感じることが一番重要なことだと思っていましたが、今回感じたものはとても重過ぎて自分1人では抱えきれないくらいのものでした。

実は今回、初めての一人旅でしたが、初めて台湾の東部の方へ足をのばしました。台湾の島の真ん中に大きな山があり、島の西から東へ行く際は、まっすぐ直線で行くことはできず、迂回して島をぐるっと回っていくしか方法がありません。そのため今回は鉄道に乗って向かいました。緑島は台東という場所の離島であり、船に乗って50分くらいの距離にあります。また、今回改めて台湾の方達の優しさを強く感じました。緑島では、バスや自転車があまりなく交通手段はバイクが主になります。しかし私はバイクに乗れず、ずっと徒歩で歩かなければなりませんでした。とぼとぼ歩いていた私を、全く知らない方がみかねて声をかけてくださり、私がいきたいところまで乗せてくださいました。人生でやったこともないヒッチハイクしようか迷うくらい、歩くのはとても暑くて途方に暮れていたのですが、島の優しい方が声をかけてくれ、いきたいところまで乗せてくださって、本当に感動と感謝でいっぱいでした。

今回、帰国前にずっといきたいと思っていた緑島に行くことができてよかったなと強く思いました。私はまだ自分の思いを言葉にすることはできていないけれども、緑島で見て感じることができたものは、そこでしか経験できないものだと思います。自分の故郷である沖縄の未来を考える上で、台湾の過去を調べたつもりでした。まだまだ知らないことが沢山ありますが、まずは自分にできることを始められたらいいなと思います。ここに来て、台湾のことを知るたびに、自分の国はどうだろうか、沖縄はどうだろうかと考えることが癖になっています。帰国したら平和記念公園や佐喜真美術館など、新たに訪ねて行こうと思っています。
留学は、その土地に実際に足を運び、体感して深く理解することができますが、それに加えて、自分の国についての関心や自分の国を振り返ってみる機会にもなると思います。皆さんも、その国のことを知るだけでなく、自分の国について振り返って、少し思いをはせてみてもいいかも知れません。明るい未来のために。

(終わり)
来た頃に思い描いていたような理想的な生活とは少し違っているかもしれないけど、毎日充実した日々を過ごせて、ここでしか経験できないことを全部して、ここでしか出会えなかっただろう人たちと知り合えて、私の大切な人たちができて、この先、この経験が一生のものになることは間違いないことだと思います。
ここからもう1ヶ月もない留学生活ですが、悔いのないように、毎日を大切に過ごしていきたいと思います!